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日本球界の悪癖

◉昔からSNSなどで阪神タイガースと横浜ベイスターズ(大洋ホエールズ)の問題点は度々指摘してきましたが、せっかくなのでまとめて。ハッキリ言えば、フロントの問題。フロントに長期的ビジョンがなく、行き当たりばったりで、スター選手を監督にして、話題性で凌ぐという手法を、何十年も繰り返してる訳で。それって、ホークスもやらかしてきた、球界の悪癖です。

【首位独走・阪神タイガースの裏で再評価される“鉄人の眼力”…金本知憲が描いていたドラフト戦略「最低3~5年後を見ないといけない」】Number

 阪神タイガース前監督の金本知憲がワイン通の一面を持つことは、あまり知られていない。自宅にはワインセラーも保有。特にお気に入りは、白ワインよりも熟成された赤ワインだ。監督業を離れて、はや3年。野球のことを考えずにグラスを傾ける日も増えただろう。現在は野球評論家、解説者としてネット裏から白球を追う。

「今年は阪神が好調だな」

 そんな野球ファンの声は前監督の耳にも届いているに違いない。

のっけから、文学青年崩れの悪文の典型ですが、それはともかく。

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■チーム編成はフロントの仕事です■

広島カープ・西武ライオンズ・福岡ダイエーホークスの3球団を立て直した根本陸夫さんは、日本では珍しいGM的な人でした。先ずは自分が監督として現場の問題点を把握し、フロントに回ってチームの問題を改善する。時間は掛かっても、強いチーム作りには効果てきめん。ところが、日本ではコーチや監督として何の実績もないスター選手を、監督に抜擢します。「名球会は最下位監督会」と揶揄される理由。

また、ファンもそれを不思議に思わない。MLBでは、あのベーブ・ルースでさえメジャーの監督はできなかったのに……。そして、チーム編成で監督の権限が強すぎるので、投手中心のチーム作りをしていた監督の後で、打撃中心のチーム編成を目指す監督が就任すると、ガラッと変わってしまう。コーチ陣も、監督が引き連れてくることが多いですからね。それでは、チームは強くならない。

■コロコロと変わる監督の問題点■

例えば阪神タイガースは、戦後の1946年から2021年の76年間で、29人の監督が就任しています。1人平均2.620年。しかも、藤村富美男・藤本定義・後藤次男・村山実・金田正泰監督が2回、吉田義男監督が3回も監督をやっています。戦前を含めると、松木謙治郎・若林忠志監督も2回やっています。つまり、コロコロ監督を変え、一度は解任した監督がまた、再登板する悪癖があるわけです。

横浜ベイスターズ(大洋ホエールズ)も、1950年からの71年の歴史で31人と、阪神どころではないコロコロぶり。平均2.290年。ただし、阪神のような再登板はさほどでもなく、別当薫・大矢明彦監督が2回のみ。同じリーグの読売ジャイアンツが、1946年の中島治康監督から第三次原辰徳監督までのべ14人、平均5.428年。藤田元司・長嶋茂雄が2回、原辰徳監督が3回ですから。

■フロントのサラリーマン体質■

以前、小学館の週刊少年サンデーの編集長がコロコロ変わる点を指摘しましたが。どの業界でも、現場のトップがそんな短期で結果を求められたら、長期的なビジョンなんて、持てるはずがありません。野村克也さんもそれは生前、批判されていました。監督は10年ぐらいやる中で、育てて・勝って・後継者を育成して、バトンタッチしてたわけで。本来は、そういう監督がフロント入りすべきなんですが。

阪神は学閥があり、大卒でないとコーチになれないとか言われますが。現場からフロント入りする人間が少ないのも、日本のプロ野球球団の悪癖。オーナー会社から出向した人間が、選手を筋肉バカと見下し、権力を独占する。でも、しょせんはサラリーマンなので、勝てないと監督に責任を押し付けて、クビにして終わり。問題の病巣が取り除かれないので、長期低迷も当然です。クビにすべきはフロント。

■プロ野球マスコミの問題点■

金本氏の考えは間違ってはいませんが、これは本来、フロントがビジョンを持ってチーム編成すべき。こんな記事が出ると、例えば矢野監督が低迷したり、あるいは勇退するときには、マスコミから金本監督待望論が出るでしょう。そう、マスコミの問題も大きいのです。元スター選手は現役時代の記憶がありますから、安易に記事が書けるので、マスコミも元スター選手の監督を待望しがち。

でも、マスコミ受けする記事をどう作り出すかも、フロントの仕事。公報が積極的に企画や話題を作り、積極的に広報していくべきなのに。監督に育成や編成を依存するだけでなく、公報的な部分でもおんぶに抱っこになってしまうわけで。それでプロと言えるのか? これはパシフィックリーグマーケティングのように、リーグとして足並みが揃っていない問題もあります。

■論語読みの論語知らず?■

重要なのは、阪神タイガースや横浜ベイスターズの問題が、週刊少年サンデーというまったく畑違いの分野で、似ているように。プロ野球球団の問題は日本の社会や組織に、共通する問題。現場を知らない幹部、学閥で硬直化した組織、責任を取らないサラリーマン社長、勝手に動く現場、職分が曖昧で能力のある人間に仕事が集中してしまう問題……経団連の問題と言ってもいいぐらい、とても似ています。

日本の経営者は、古くは三原脩監督や大松監督など、スポーツの監督の組織論が好きでよく読みますが、読んでるだけで活かせてないような。野村克也さんの組織論や人材育成論は、読まれてるはずなんですけどねぇ……。まぁ、楽天の三木谷浩史オーナーのような現場介入は論外としても。金本監督は、就任前から不安視されてて、案の定の結果だっただけ。育成力があるなら2軍や3軍監督が適正。この意見が正鵠かと。

■温存される守旧的体質■

高野連も、かの名医フランク・ジョーブ博士から批判されるような、成長期の子供に過剰な負担を強いる甲子園大会を、小手先の改変だけで、根本的に変えようとしません。アメリカや、お隣の韓国でも当たり前の球数制限を、頑なに導入しようとしない。導入すれば、豊富な資金力とセレクションで有力投手を抱えられる私立高校が有利になるから。有利になって何が悪いのでしょう? 学生の本分は勉学。

でもスポーツが得意な学生は、そういう私立高校で技術と体力を磨けば良いし、才能があればプロになれば良い。朝日新聞と毎日新聞の利益と、テレビの前の無責任な観客の娯楽のために、才能ある若者が犠牲になって良いはずもなく。それは、特攻隊に志願する同調圧力と、何が違うのか? 軍隊的と評される甲子園大会ですが、朝日新聞と毎日新聞は戦前の残滓を温存したい、守旧派か?

自分は、阪神タイガースと関西マスコミはこのまま変わらないと思いますが、IT企業が母体の横浜ベイスターズは、変わって欲しいと思っています。中畑清監督の失敗と、ラミレス監督の成功と、三浦大輔監督の失敗を苦い教訓として、三浦監督を今後最低でも五年は支える覚悟で、フロントは何をすべきか、根本から問い直してみるべきでは? そこでの経験は、本社にもフィードバックできるはずです。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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