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木材自給率倍増でも林業は絶望的?

◉2002年に18.8%にまで落ちていた日本の木材自給率ですが、2021年には41.1%と、2倍以上に上昇したようです。1996年頃から始まった円高が、安い外国産木材を呼び込んだわけで。民主党時代の2011年10月につけた1ドル=75円32銭の戦後最高値から、2022年10月20日には1ドル=150円と、2倍になったんですから、木材自給率も影響されないはずがないです。国内の林業も、一息つける感じでしょうか。ただ、木材自給率が上がったからと、単純に喜んでいられないようです。

【木材自給率が倍増しても林業が絶望的であるのはなぜ?】Wedgeオンライン

4月20日、東京地裁で東京都在住者の所有する宮崎県宮崎市の山林が伐採業者により無断でスギ69本を伐採された事件の公判が開かれた。同じ業者に自身の山林を7年前に盗伐された宮崎県盗伐被害者の会の海老原裕美会長は、この公判に出廷し宮崎県で起きている盗伐の実態を陳述した。

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/30281

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、木立の写真です。

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■マスコミの蝙蝠ぶり■

詳しくは上記のリンク先を読んでいただくとして。そこに利益が生じると、悪徳業者が跋扈するわけで。さらに木材に関しては、各地の御神木をわざと枯らして、買い取るという悪質な行為も見られますし。御神木になるような気は大きな古木ですから、やはり直系が大きな木はそれだけで価値が高いんですよね。さらに山にずらっと並べられたメガソーラーとか見ると、大雨で土砂崩れが起きるだろうなと暗澹たる気持ちになりますね。実際、伊豆ではそういう事態に陥ったわけで。しかもそこに、利権も絡んでいましたし。

昭和の時代のマスコミは、クロヨンだトーゴーサンピンだと、課税所得の捕捉率に関する業種間格差を批判したわけですが。給与所得者は約9割・自営業者は約6割・農林水産業従事者は約4割という意味でクロヨン、いやもっと酷いとトーゴーサン(10対5対3)が生まれ、いや政治家は1割だとトーゴーサンピン(10対5対3対1)が生まれたのですが。そのときに槍玉にあがったのが、農業・林業・水産業の人たちだったわけですが。そんなことを言われて、天候や気候に左右される不安定な仕事を好んで次ぐ人間は少なく。今は後継者不足を憂い、食の安全保障が~と嘆いて見せるマスコミ仕草。

■安すぎる国産材問題■

けっきょく、安いが正義の高度経済成長時代の幻想を、どの産業も脱却できていないんですよね。漁業も、とにかく魚は安くないと売れないと、あり得ない漁獲量設定で未成長の魚まで乱獲し、ドンドン資源を減らしています。時期を区切って禁漁にすれば、漁獲量は回復するのは、外国の例や国内の例でも明らかなのに、説得しようとしない。インフレはとにかく悪と叩き、アベノミクスの成果を実質賃金が~一人あたりのGDPが~と、手垢の付いた数字のごまかしで叩くマスコミが、そういう部分は啓蒙しようとはしない。バカバカしい限りです。

記事にもあるように、林業は安い丸太を輸出し、安すぎる国産材の問題を1990年代からずっと引きずっているのですから。建設ブームに乗って大量に杉の木を植林し、とにかく数を出せばいいという、昭和の価値観から脱却できないと言われても、仕方がないですよね? 昔はそれで良かったです。でも、時代は常に変化し、20年か30年でもう、昔の方法論はきしみが出てきて、干支が一回りで通用しなくなり、75年前後で大改革が必要になるのが、日本の歴史です。昭和30年代の感覚では、もう通用しませんから。

農業は言わずもがな、酒造業もそうでした。高度成長期、ナショナルブランドと呼ばれた大手の酒造メーカーに、地方の蔵元は桶買いという形で、作った酒を供給し。三倍醸造という手法で作られた安酒を供給していたわけですが。安さは絶対的な特徴ではなく。より安い酒が出現したら、相対的に高い酒になってしまうだけのものでしたから。酒の種類が多様化したら、たちまち桶買いを切られて小さな蔵元は倒産へ。

■経営哲学なき日本企業■

でも、一部の小さな酒造メーカーは、純米酒や吟醸酒に価値を見出し、高級酒〝も〟醸造する形で生き残りを模索し。安酒の代名詞だった焼酎も、長期熟成に可能性を見出し、早くから着手した蔵元があり。30年熟成ものとか、1980年代にすでに、手を打っていたわけです。これは、外国の自動車メーカーも同じで、安い日本車の攻勢に、高級車路線にシフトして生き残りに成功したメーカーは多いです。ベンツの関係者が、日本にもっとアメ車を買えというアメリカ政府を笑ったとか。我が社は日本人が買いたくなる車を作っていますよ、と。

いや、新興産業であるパソコンメーカーですら、そういう手を打っています。IBMが撤退し多くのメーカーが縮小する中、Appleは高い高いと文句を言われても、「健全な利益がなければダメだ」とスティーブ・ジョブズが批判を撥ねつけ、高級機種路線を堅持したわけで。そういう経営戦略・経営哲学が、日本にはないのです。文系学部なんていらないとうそぶく、経団連の社長たちこそ、日本を敗戦に導いた戦前の軍人官僚と同じです。俯瞰的な戦略を生み出す哲学のなさは、学問としての哲学を軽視する文化ゆえです。

記事を読むと、暗澹たる気持ちになってしまいますが。でも、漁業に関しても、きちんとした生き残りの方策を発信する個人アカウントも増え、変わりつつあるので。全学連全共闘世代の、昭和脳の暴走老人世代が去れば、この国は多少はましになるでしょう。もっとも、その次には秋元康・辛淑玉・辻元清美世代がいるんですが。この世代は今上陛下と同世代で、漫画やアニメやゲームに才能を送り出した世代でもあるので。自分らの世代でなんとか精算したいですね。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ