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ゼレンスキー大統領の胆力

◉ウクライナのゼレンスキー大統領によるアメリカ議会での演説で、真珠湾攻撃に言及したことで、無礼だの日本の支援が欲しくないのかとか、吹き上がっている国粋主義者たちがいますが。ゼレンスキー大統領は、ロシアに攻撃され苦しい立場ではありますが、別に各国におべっかを言うのではなく、言うべきことは言っているので。助けてあげる、とか上から目線で日本の国会での演説を捉えてる人間には、とんでもない苦言が飛び出す可能性さえあります。

【ゼレンスキー氏、独を批判 経済一辺倒、「欧州に新たな壁」―議会演説】時事通信社

【ベルリン時事】ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、ドイツ連邦議会(下院)でビデオ演説した。支援に謝意を示す一方、ドイツはロシアとの経済関係を深めて戦費を稼がせた上、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟などの要望をはぐらかし、ウクライナと欧州の間に「新たな壁」をつくることに加担してきたと批判した。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ウクライナ問題用の専用ヘッダーということで。

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■全肯定か全否定の幼稚さ■

こういうのが、政治家の胆力というものでしょう。例えば日本とアメリカの関係は、宗主国と属国であるのは疑いないでしょう。表面上は、イコールパートナーシップなど耳障りのいいことを言っていても。しかしだからといって、アメリカは様の言うことはうご無理ごもっともでペコペコしても、石原慎太郎氏のように反米姿勢を打ち出して文句を言っても、それはベクトル違いの同じ穴の狢ですから。

例えば、岸信介はアメリカとの日米安全保障条約改定し、その結果、CIAのスパイだの金をもらってるだの、散々言われていますが。そもそも岸信介は国家社会主義者であり、反米主義者。しかし同時に、現実主義者の政治家でもありましたから。日本の現状を鑑みて、日米安保しか選択肢がないことを分かっていて改訂し、同時に反安保条約の学生運動の盛り上がりを利用して、日米地位協定の改定にも成功しています。

■理想の大統領を演じる■

さらに岸は国連では、アメリカやイギリスの核実験を批判しています。奴隷の如く唯々諾々とアメリカの言うことを聞くのでもなく、かと言ってなんでもかんでもアメリカのやることは反対と幼児的な反発をするのでもなく、したたかで有能で手強い政治家としての、剛腕を発揮していたわけで。ここら辺は吉田茂や中曽根康弘などなど、戦後の優れた内閣総理大臣は、実に巧妙に自分に対する敵対者さえ利用していただけで。

その意味ではゼレンスキー大統領は、短期間でしたたかな政治家としての剛腕を、磨き上げた印象です。数々の発言の背後には、3年前の時点でロシアのウクライナ侵攻を冷静に予見していた優秀なブレーンや、イギリスなどのアドバイスなどがあるのは間違いないでしょう。しかしそういう部分を、きっちりと演じ切るにも、本人の胆力が必要。アメリカではいまだに人気があるレーガン大統領もまた、政策はニクソン元大統領にアドバイスを求めつつ、頼りがいのある老獪な賢者としての大統領像を、演じ切りましたから。

■問われるのは非常時の胆力■

今回の、ウクライナ侵攻で、いろんな人たちの薄っぺらさがあらわになりました。それは、元SEALDsの若者や福島瑞穂社民党党首はもちろんのこと、立憲民主党の泉健太新代表や共産党の志位委員長、民間でも鳥越俊太郎氏なども含めて。戦争絶対ダメ憲法9条にノーベル平和賞を、で思考停止してきたリベラル勢が特に酷いです。保守系でも、橋下徹元大阪府知事や鈴木宗男議員などの、親ロシア発言も、ベクトルが違うだけで同じ穴の狢。

【ウクライナ「報道」でも目立つ、ワイドショーでの適当で無責任なコメントたち】Newsweek

<良い報道には現地の取材だけでなく解説や分析も必要だが、「タレント」の能力を超えた問題についての発言が「報道」と受け取られる危険性を認識すべきだ>

ニュース番組でもない、娯楽番組でもない、ハイブリッドな日本のテレビのワイドショーを初めて見たときにはとてもびっくりした。なぜなら、多くのレギュラー出演者(タレントや弁護士、大学の教授など)はどんなニュースであっても、どんなテーマであっても迷いなくしゃべる。
表現の自由は大事だから、誰が何についても、自分の意見が言える環境を確保するのは重要なことだ。ただワイドショーに出演するタレントなどは自分の意見を述べることだけでなく、どこかの状況を説明したり何らかの事件の原因について仮説を立てたりすること、つまりほぼ事実として説明する役割を担っている。

自分たちが前面に立って主張することは怖くてできないくせに、文化人を使って自分たちの主義主張を代弁させてきたマスコミの、薄っぺらさも明確になりつつあります。国のために女性や子供たちを逃がし、自分達は踏みとどまって敵と戦う。日本の戦後お花畑平和主義が最もバカにして、否定してきた価値観をゼレンスキー大統領が世界に向けて発信しているのですから。ゼレンスキー大統領のポピュリズムや、将来的な変更の可能性は十分にありますが、今のところは急速にしたたかな政治家に変貌しつつあります。

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