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癌細胞を自爆させるスイッチ特定

◉謎ロジーに興味深い記事がありました。カリフォルニア大学デービス校の医療機関が「がんの細胞死を引き起こす「自爆スイッチ」を特定した」というと、回りくどいですが。要するに、癌細胞が自分で死んでしまう状態を引き起こす、そのスイッチとなるものを見つけた、という話ですね。癌細胞を攻撃して殺すのではなく、自分から細胞としての死を迎えるようにする。癌細胞への攻撃だと、他の健康な細胞にも攻撃を加える=副作用がありますから。でも自滅なら、範囲は限定的でしょうから。

【がんの細胞死を活性化させる「自爆スイッチ」を特定することに成功!】ナゾロジー

押したら死にます。

米国のカリフォルニア大学デービス校の医療機関(UC Davis Health)から「がんの細胞死を引き起こす「自爆スイッチ」を特定した」とする驚きのプレスリリースが発表されました。

研究者たちは、この自爆スイッチを押す仕組みを、がん細胞と戦うように改造された免疫細胞(CAR-T細胞)に組み込むことで、治療効果を高められると述べています。

例えるならば、悪の怪人(がん細胞)と戦うために体を改造された正義のヒーローに、敵の自爆スイッチを押す新技を体得させる計画と言えるでしょう。

さらに研究では自爆スイッチにを認識して作動させるにあたり、2つの重要部位の特定にも成功しました。

今回は、新たな技を身に着けた改造免疫細胞「CAR-T細胞」が、がん細胞をいかに倒すかを、イラストを用いてわかりやすく解説したいと思います。

研究内容の詳細は2023年10月14日に『Cell Death & Differentiation』にて公開されています。

https://nazology.net/archives/139474

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ニューロン細胞っぽいイラストです。神秘的ですね。

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■癌が人類最後の難関■

生命保険文化センターによれば、日本人の死因の1位は癌(悪性新生物)で、26.5%を占めています。これは、癌が増えてるというよりも、昔は寿命が短かったので、それ以外の病気で死ぬ人間が多かっただけで。今は、長生きできる時代になり、癌以外の病気ではなかなか亡くならないという面もありますからね。 ちなみに2位が心疾患で14.9%、3位が老衰で10.6%、4位が脳血管疾患で7.3%、5位が肺炎で5.1%と続くそうです。肺炎とか、これまた歳を取ると原因として増えますしね。

逆に言えば、癌をあるていど克服できれば、人類の多くは老衰で死ぬ人生になれそうなんですが。死因の30%が老衰とか、苦しまずに死ねるのですからね。でも、細胞の暴走ですから、なかなか難しく。森喜朗元総理大臣のがんを治療したニボルマブ(商品名はオプジーボ)とか、画期的なんですけどね。悪性新生物は白血病や骨肉腫なども含み、多岐にわたりますしね。発症する場所によって、治療も複雑で。

■癌細胞のステルス性■

癌の治療が難しいのは、免疫細胞の攻撃を避ける、ステルス能力があるから。元は本人の細胞ですから、当然ですね。癌細胞は、通常の細胞がある回数を分裂すれば、そこで寿命が来るのに、永遠に分裂し続ける性質を持つものがあります。癌の研究に使われるヒーラー細胞(HeLa細胞)というのは、アメリカ人女性ヘンリエッタ・ラックスの腫瘍なんですが。彼女は1951年に亡くなっていますが、細胞は今でも元気に分裂し、研究に使われています。自分の細胞が自分を殺す、癌とは特殊な細胞です。

がん細胞には免疫から姿を隠すステルス能力が備わっており、普通の免疫細胞では攻撃することすらできません。
しかし改造された免疫細胞「CAR-T細胞」は、がん細胞のステルス能力を見破る力を備えており、がん細胞を倒すことが可能となっています。

同上

人体には、細胞傷害性T細胞という細胞があります。別名、キラーT細胞。ウィルスなどが体に入ってくると、異物として攻撃します。免疫力の正体の多くは、このキラーT細胞のおかげ。ただ、腎臓移植とか心臓移植をすると、このキラーT細胞が異物として攻撃するので、移植手術には問題になるのですが。癌細胞も、攻撃するのですが。ステルス性を持つ癌細胞は見逃してしまうんですよね。この、キラーT細胞を改良して、CAR-T細胞にして、ステルス性の癌細胞を発見するということですね。

■CAR-T細胞の可能性■

で、敵の癌を倒すのではなく、自爆させる。これは孫子の兵法で言えば、スパイを使って敵を内部撹乱し、自滅させる戦法。兵法三十六計の反間計や、敵を本拠地から誘い出し、味方に有利な地形で戦う調虎離山の計や、敵の内部を混乱させ敵の行動を誤らせたり自分の望む行動を取らせる混水摸魚の計もそうですね。自滅させられれば、ピンポイントで癌細胞を倒せますし。これは、CAR-T細胞を利用した癌の予防にも利用できますしね。上手くすれば、ノーベル賞級の発見かも?

そこで研究者たちは、がん細胞と戦うように改造された免疫細胞「CAR-T細胞」に自爆スイッチを起動させる機能を追加装備する方法を提案しました。
もしこの方法が実現すれば、CAR-T細胞の目の前で、がん細胞を攻撃して目の前で自爆させることが可能になります。

同上

自分の知り合いとかでも、癌で亡くなる人は多く。80歳とかなら、まだしも達観できるのですが。50歳そこそこで亡くなる方もいますからね。アナウンサーの逸見政孝さんとか、48歳で亡くなりましたし。ジャイアント馬場さんも、61歳で大腸癌で。亡くなったときは、ちょっと早いなぐらいな感じでしたが。今となっては、平均寿命よりずっと短いですからね。若年性の癌で亡くなる人も一定数います。そういう意味でも、こういう研究は本当に心強いと思います。今後に期待しますm(_ _)m

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