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自滅したドイツのエネルギー政策

◉ウォール・ストリート・ジャーナルの社説が、メルケル前首相らが推進したドイツのエネルギー政策に対して手厳しいと、話題です。日本でも、東日本大震災に伴う福島第一原発事故以来、ドイツでは~ドイツでは~と連呼する、出羽守が大量に出現しました。もちろん、ちゃんとした科学知識がある人は、ドイツの政策は見た目はエコロジーを思考しながら、原子力発電大国でもある隣国フランスから電力を買う偽善だと、指摘していたのですが。

【【社説】ドイツの自滅的なエネルギー敗戦】ウォール・ストリート・ジャーナル

原子力発電所の段階的廃止、自国の弱体化に大きく貢献
 歴史的なエネルギー危機に直面している国なら、エネルギー供給を拡大するためにあらゆる手段を試すと考えられる。しかしドイツは、今年末までに3つの原子力発電所を閉鎖する計画を進めている。これは、同国の原子力発電の約半分に相当する。
(中略)
 太陽光・風力発電政策に翻弄される状態を自らつくり出してしまったドイツは現在、電力供給維持のためロシア産天然ガスへの依存度を強めつつある。これがロシアのウクライナ攻勢に対し、ドイツの反応が鈍いことの背景にある。同盟諸国の反対にもかかわらず、ドイツはロシアからのガス輸送パイプライン「ノルドストリーム2」計画を断固として支持しており、東欧支配を狙うウラジーミル・プーチン・ロシア大統領の計画に対する欧米諸国の対抗姿勢を阻害している。

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■エネルギー政策は国の大事■

ロシアの天然ガスのパイプライン建設を推し進めたのですが。結果、現在のロシア共和国とウクライナの緊張状態があるわけです。ロシアのエネルギーに依存したヨーロッパ諸国は、急所に匕首あいくちを突きつけられた状態です。もちろん、そこを見越した上での、ロシアの強硬な態度なんですが。理念先行のドイツの悪い癖が、脱炭素だ再生可能エネルギーだと突き進んだ結果、ドイツのみならずEU全体にも悪影響を与えています。

何度も書いていますが、太陽光・風力などの再生可能エネルギーは不安定で、安定的な供給は無理。地熱はロケーションが限られ、波力発電や潮汐力発電、海洋温度差発電などは一部の海洋国家に限られ、現時点ではまだまだ密度が低く、主要なエネルギーにはなりえません。水力もロケーションが限られますしね。けっきょく、可能性があるのは原子力発電。でも、これさえもドイツは否定して、前述のように偽善的な脱原発を目指してるわけで。

■大陸国家と海洋国家の対立軸■

けっきょく、イギリスのEU離脱って、先見の明のような気がするんですよね。今、世界で問題を起こしているのは中華人民共和国・ロシア共和国・ドイツ連邦共和国。これらの国の共通点は、大陸国家であるということ。不凍港が悲願だった帝政ロシアは言うまでもなく、歴代中華帝国は東アジア型専制君主国家で大陸国家。ドイツはそのルーツが、これまた専制君主的な神聖ローマ帝国で、実は非常によく似ています。そして、アメリカ合衆国・グレートブリテン及び北アイルランド連合王国・日本国は海洋国家。

そう、現在の世界の対立軸は、かつての大陸国家と海洋国家の、その対立なんですね。アメリカは海洋国家であり、同時に大陸国家ですが、南北戦争やユタ戦争などあっても、基本的に連邦としては穏やかな大陸国家ですしね。これは、インドなども両方の性格を兼ね備えていますが。いずれにしろ、安倍元総理が提唱したクアッドは、日米豪印の海洋国家連合であり、台湾やフィリピンなども歴史的・地理的には海洋国家の性格がありますから。この対立軸は、割と重要ではないかと。

■第三次世界大戦が起きるなら■

第二次大戦は、日独伊三国同盟は海洋国家と大陸国家と半島国家の枢軸国と、アメリカ・イギリス・中国・オランダ・フランス・ロシアと言ったこれまた海洋国家と大陸国家のモザイク状の連合軍の戦いでしたが。もし第三次世界大戦が起きるなら、完全に海洋国家と大陸国家の戦いになるでしょうね。もちろん、現状ではそのような対戦にはならず、局地戦になるでしょうけれども。その引き金を、ロシアが引くか中国が引くかはわかりませんが。

そうなった時、EUはその理念の行き詰まりが見えますし、そうなった時にイギリスがEUの盟主として、ドイツ一強の現状に楔を打つ形で、EU再編と主導権を握るかもしれません。で、国連自体も再編に動くかもしれませんね。中露を排除した、新たな枠組みの再編。もし、米中が本気でぶつかれば、中国は解体に向かうかもしれませんね。もともと、言語も民族もバラバラな国。アメリカの大きさと近いですから、50ぐらいの国と地域に再編される方が、かえって良いかもです。

■第4世代原子炉の開発を急ぐ■

思えば、大日本帝国が滅びの道へ驀進したのも、石油という石炭に代わる新エネルギーの時代に、アメリカに輸入を依存しておきながらアメリカに戦争を仕掛けるという、追い込まれた状況が原因でした。まさに、エネルギーは国の大事。田中角栄失脚の一員にも、独自のエネルギー政策を採用しようとしたのが、アメリカに睨まれたとも言われますが。そこはわかりません。でもエネルギー政策は「たかが電気」なんて言えないぐらい、国民の命に関わる部分です。

日本としては、無能な方の菅元総理大臣のせいでストップした原子力発電所を順次稼働させ、同時にメルトダウンしづらく安全性が高い第四世代原子炉の超高温ガス炉の研究開発を進め、同時にアメリカやイギリスとも技術的に提携し、2030年を目標に第四世代原子炉の稼働を目指すネキでしょうね。日本が足踏みしている間に、後発の中国は今年10月には商用実証炉が臨界に達しましたし。ある意味で日本の反転攻勢は、原子力発電に舵を切るところから始まるでしょう。

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