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レアアースの脱中国依存と国際政治

◉民主党政権下での尖閣諸島衝突事件から、中国がレアアースを利用して輸出制限で、嫌がらせをしてきたわけですが。兵法における、指桑罵槐ってヤツですね。日本はレアアースの再利用技術や、代替物質の開発や、代替はできなくても使用量を大幅に減らす技術の開発で、対応したわけですが。それでも、まだ約6割を中国に依存している状況があるわけで。最高でも40%か、それ以下に分散するのが理想でしょう。

【<独自>レアアース、脱中国依存へ 政府が国内に精錬所整備】産経新聞

 スマートフォンや次世代自動車の製造に欠かせない希少金属のレアアース(希土類)のサプライチェーン(供給網)強化へ、政府が国内精錬所の整備に取り組むことが13日、分かった。レアアースの原料だけでなく、精錬所も中国に集中している現状は、日本の経済安全保障を脅かすと判断した。中国依存を避け、オーストラリアなどから調達する原料を日本国内で精錬できるようにする。企業への支援策などをまとめ今後、予算規模を詰める。
 レアアースの精錬は、原産地で採掘したレアアースを含む鉱石を処理し、金属を取り出す中間工程。中国は採掘から精錬までを自国で行える強みを持つ。

この話は、ちょっと懐かしいれガン大統領時代の国際政治との駆け引きにも、通底する話ですね。

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■カーター大統領とレーガン大統領■

アメリカは、ニクソン大統領のウォーターゲート事件の反動で、南部のジョージア州知事出身で、地味ながらも誠実そうなカーター大統領が棚牡丹的に誕生したのですが。カーター大統領、米ソ冷戦の真っ最中に、国際政治を切り盛りする才覚は無かったので。ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻に抗議して、モスクワ五輪ボイコットを西側諸国に呼びかけるという、悪手を打ったのは有名です。

それだけでなく、ソビエト連邦への穀物農産物の輸出制限に踏み切り、ソビエトを兵糧攻めにしようとします。ところが、これでアメリカの農家が怒ってしまった。けっか、1980年の大統領選挙では、輸出解禁を公約にしたレーガン大統領が勝利。民主党=リベラルで平和愛好、共和党=保守的で強硬外交というイメージとは、ずいぶん違いますよね? コレって割と重要です。

■戦わずして勝つが上策■

で、レーガン大統領は実はニクソン元大統領に相談して、政治指南を受けます。ウォーターゲート事件で極悪非道の大統領のイメージがありますが、国際政治においては評価が高いんですよね。キッシンジャー氏と組んでの外交政策は的確で、レーガン大統領に対しても、国内は穀物輸出解禁で支持を受けつつ、スターウォーズ計画を打ち上げ、軍拡競争に引きずり込みます。

結果、ソビエト連邦は国民が生きるに必要な農作物の輸出制限では倒れませんでしたが、アメリカとの軍拡競争では倒れてしまったわけで。タカ派で強硬な意見が目立ったレーガン大統領ですが、実際は戦わずして勝つという、孫子の兵法の理想を実現していたわけです。これ、言葉は強いけれど、実際は武力衝突を避けつつ、国益に叶う手を打っていたトランプ大統領に、ちょっと似ていますよね?

■北京冬季五輪ボイコットの可能性■

民主党ケネディ大統領のようなベトナム戦争の泥沼を、ニクソン・ドクトリンを出しつつ終結に向かわせ、対中国関係の改善アドデタントを進めたりと、アクロバティックではありますが国際政治における政治的手腕は、大した物です。というか、アメリカはブッシュ親子を例外に、対外戦争を起こすのは基本的に民主党政権なんですよね。共和党は国内政治優先で、良くも悪くも外交には無関心のモンロー主義。

この、ニクソン元大統領の外交手法は、日本学者アルバート・クレイグの招きでハーバード大学に研究留学した佐藤誠三郎東大教授とその門下生にも受け継がれ、安倍政権での外交ブレーンである北岡伸一氏らにも、受け継がれています。逆説的に、民主党のバイデン政権は、ケネディ政権やカーター政権のような、稚拙で強硬な外交政策を採る可能性が高いと言うこと。北京冬季五輪ボイコットは、充分あるでしょう。

政治は60年代のケネディ政権から連続性があるわけで、そこを見ないと判断を誤るでしょうね。日本のリベラルとか、こういう視点がスッポリ抜けていますから。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ


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