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軍事音痴の単純思考

◉漫画家の東村アキコ先生が、防衛費増額に対して抗議されています。別に政治的な意見を持つのは問題ないのですが、その論の前提となる知識や思考が、どうにもオールド・リベラリストの非武装中立論の、焼き直しにしか見えません。共産主義の疑似科学ぶりがばれてしまった令和の世に、「今こそ共産主義思想を見直そう」的な言説を振り回す学者と同じで。ご本人は最先端を走っているつもりなのに、周回遅れと言う悲しい現実に見えます。個人の感想ですが。

【「ミサイル購入で平和が守れますか?」東村アキコさんが抱く岸田政権の軍拡への疑問】女性自身

岸田政権の防衛費倍増に、抗議の声をあげた東村アキコさん。詳しい説明がなされないまま強引に進む国の政策には不安を感じると、その心境を語ってくれた。
「防衛費を増額するというニュースを聞いたとき“防衛に関わるものに使うんだろうな”と、あまり深く考えていなかったんです。
ところが、私たちの税金が“敵を攻撃する”ためのミサイルに使われるのだと知って、すごく驚きました。本当にそれで戦争を抑止できるのか、生活を犠牲にしてまで軍拡すべきなのか、わからないことだらけ。だからこそ、思い切って声をあげてみたんです」

https://jisin.jp/domestic/2180881/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ポトリスのイラストだそうです。

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■泥縄的な思想性■

「エンタメの世界で生きてきたクリエーターとして、純粋に作品を楽しんでもらうために、あえて政治的な発言は控えてきました」と東村アキコ先生。別に控える必要はないですし、控えていたのではなく単に勉強不足だっただけではないか……と思うのですが。軍事どころか政治とさえ距離を置いてきた40代50代が、急に政治に目覚めて、慌てて泥縄的に左派の文脈に飛びつくのって、よく見る光景ですからね。

東村先生は1975年生まれの宮崎県串間市出身。小中学生の頃、赤い教師の洗礼を浴びた世代で、親和性が高いってのもあるでしょうけれど。九州って保守的な地域というイメージがありますが、昔は日教組の組織率が高い地域でした。今では組織率20%を切ってる鹿児島県でも、自分が中学生の頃のストライキではほぼ全員の教師が休んでいました。大分県が今でも全国的にも高いですし、長崎県は意外なことにかなり組織率が低いですが。ここらへんは広島とは違うようで興味深いです。

■非武装中立論2.0■

あと、未だに左派が強いマスコミが、文化人扱いしてチヤホヤしてくれるって部分もありますが。一般社団法人Colaboの問題とか、文化放送と産経新聞が熱心に報じていますが、他はガーシー議員の件で浜田議員の答弁を報じても、Colaboというワードを避けている状況ですから。双方向性のあるインターネットに比較して、一方通行の旧メディアでは、稚拙な意見でも垂れ流せますし、マスコミの代弁をしてくれる有名人は重宝な存在ですから。しかし、この意見は酷いですね。

「“何をそんなに甘いことを”“平和ボケだ”と言う人もいるでしょう。でも、ウクライナにロシアが侵攻してから1年がたちます。当初、圧倒的な軍事力があるロシアが、数日以内に制圧すると報じられていたし、私もそうなんだと思っていました。しかし、戦いはまったく終わりません。毎日のように何発ものミサイルを撃ち合って、犠牲者が出ても、戦争は続いています。

仮に日本がトマホークを500発購入したところで、本当に平和につながるのでしょうか。戦争の抑止につながるのでしょうか。ウクライナの状況を見ると、とてもそうは思えないんです」

引用同上

自分が何を言ってるのか、自覚されてるんでしょうか? 一方的に侵略された側が必死に抵抗している状況なのに、これではウクライナが抵抗するから戦争が長引いているんだと言わんばかり。要するに、軍備があるから攻め込まれる、丸腰ならば攻め込まれないという非武装中立論の、お花畑平和論を別の言葉で言ってるに過ぎません。ウクライナに侵略しても報復されないと思ったからこそ、プーチン大統領は踏み切ったわけで。抑止力の意味がわかっていない。

■左の国粋主義■

鎌倉時代の貴族たちは、元寇での武士の奮戦を認めたくなくて、神風を強調した面があります。憲法九条があるから日本は戦後平和だったという詭弁も、日米安保と在日アメリカ軍がいたからこそ、もっとはっきり言えば米軍の核の傘があったからこそ、戦後日本の平和は維持されたという現実を見たくないわけです。そこには、表面上はリベラルでありながら、心の奥底にある反米ナショナリズムという国粋主義があるのです。

実際には、何らかの形で平和条項を持つ憲法を持つ国は、世界で150カ国以上あるわけで。日本国憲法が国連憲章をベースにしているように、他国だって同じです。ところが日本のリベラルは、日本国憲法を世界で唯一の平和憲法だと、勘違いしているわけです。これって国粋主義です。日本のリベラルが、バラモン左翼と揶揄されるのは当然で。元々が鵺的なものを内包しているんですね。

■鵺的本地垂迹思想■

この鵺的な部分というのは、戦前からそうで。戦前の右翼と思われている人達は、国家社会主義者ですから。でも本来は相容れないはずの天皇主義者と、社会主義者と、日蓮主義者が奇妙な連帯をしていたのが、戦前の日本です。と言うか日本という国は「和をもって貴しとなす」が国是。小さな島国なのに山がちで平地が少なく、意見が対立すると大陸文化のように敵対者を九族皆殺しにはしない……というかできない文化です。

その結果、意見が対立するとそれを納めることを優先し、折衷する文化が生まれた面はあるのでしょう。本地垂迹思想、と呼んでも良いのですが。重要なのは、本地垂迹説も反本地垂迹説も、メタ視点ではどちらも非常に日本的な折衷思想であるという点。表層的な部分から、右だ左だと分類しても、あまり意味がありません。無神論の共産主義思想が、実はユダヤ・キリスト教の千年王国思想を焼き直した、むしろ純化された宗教であるように。

そんなとき、漫画のモデルにもなっている実業家の奥谷禮子さんから『平和を求め 軍拡を許さない女たちの会』を一緒にやろうというお誘いをいただいたんです」
メンバーに東大名誉教授の上野千鶴子氏、法政大学前総長の田中優子氏、経済学者の浜矩子氏らが名を連ねた同会。防衛費の対GDP比2%への引き上げを撤回し、女性や子供の視点に立った政策を進めるよう、署名活動をしている。

引用同上

上野千鶴子・田中優子・浜矩子で大三元っすな。東大名誉教授とか法政大学前総長とか、そういう肩書きとは無縁の部分で漫画家というのは、自分の腕一本で食っていく自営業者だったんですが。叩き上げの創業者が歳をとると勲章が欲しくなるのと一緒で、フリーランスの作家が40代50代になると、鬱病になりやすいって問題とも関わってきます。職業政治に興味を持つこと自体には賛成なので、上野千鶴子御大のダブスタに気づき、数年後には転向していることを期待します。室井佑月先生パターンというか。

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