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国際捕鯨委員会が破産の恐れ?

◉国際捕鯨委員会(International Whaling Commission; IWC)が、財政難に陥っているようです。日本は2018年の12月25日に、安倍内閣で脱退を決定したのですが、それまでは最も分担金を負担していたんですよね。そりゃあ、大口スポンサーが消えれば、財政難は当然。IWCは本部建物を売却とかのようですが、すぐにどうこういう話ではないでしょう。そもそも日本はオブザーバーとしてIWCには残っていますし、まだまだ国際的には有力な団体ですから。IWCに代わる捕鯨のコントロールを行う新団体を捕鯨国と立ち上げるにしても、もうちょっと先の話でしょうね。

【国際捕鯨委員会「破産の恐れ」 3年前に日本脱退、本部建物の売却も】朝日新聞

 国際捕鯨委員会(IWC)の総会が13日、スロベニアのポルトロージュで始まった。2019年に日本が脱退して以降、対面形式での開催は初めて。捕鯨の規制についての議論は低調となりそうだが、新たに財政状況が課題として浮上している。会期は21日まで。
(中略)
 今回はブラジルなど「反捕鯨」側の3カ国が、南大西洋を禁漁区とすることを提案するなど規制に関する議題もある。ただ、1982年に採択された「商業捕鯨モラトリアム(一時停止)」で、すでに加盟国はすべての海域で商業捕鯨が禁止されており、実質的な意味は乏しい。

 むしろ深刻なのは、IWCの財政状況の悪化だ。
 IWCの資料によると、20…

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https://www.asahi.com/articles/ASQBG64Z9QBFULFA02Y.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、クジラの切り絵ですね、背景に青空と組み合わせて、独特の雰囲気があっていいですね。

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■IWC脱退は短慮だったか?■

たぶん、見出しで捕鯨派を誘って煽って有料会員を増やそうという、朝日新聞らしいセコい記事でしょうね。最後の方に、見出しとは違う内容の結論を持ってきている可能性大。確認する気はないので、邪推ですが。そもそも朝日新聞は、IWC脱退に反対だったんですよね。2018年12月23日の社説では、見出しでも本文でも、短慮だと批判しています。国際連盟脱退を称賛した新聞社が、「短慮と言わざるを得ない。脱退はやめるべきだ。」といい切るのですから、脱退は大成功だったと言わざるを得ない、ということで。

【(社説)IWCと日本 脱退は短慮に過ぎる】朝日新聞

 自国の意見が通らなければ、国際的な協議の場から出て行く――。そんな国と思われていいのだろうか。

 政府が、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退する方向で最終的な調整をしている。地元に捕鯨漁業を抱える与党の有力者からは、脱退に向けた「決意」を示す声があがっている。

 短慮と言わざるを得ない。脱退はやめるべきだ。

https://www.asahi.com/articles/DA3S13824230.html

聖徳太子の昔から国際政治音痴のこの国にあって、安倍装晋三元総理は非常に稀有な国際感覚を持った方でした。もちろん、佐藤誠三郎門下の北岡伸一氏とか、優秀なブレーンも多く抱えていたのでしょうけれど。将に将たるには器量が必要。国際情勢を見極め、むしろ熟慮の末に、脱退したほうがメリットが大きいと判断し、決めたのでしょう。実際、朝日新聞などの大騒ぎとは逆に、国際社会で日本が孤立することもなく、アメリカなど反捕鯨国から大きな報復を課せられることもなく。脊髄反射的な短慮は、むしろ朝日新聞では?

■安倍政権での絶妙な一手■

そもそも、捕鯨というのは日本の場合、和歌山も長崎も千葉も、沿岸捕鯨が基本でしたしね。江戸時代になり、稲の害虫であるウンカの駆除方法に、鯨油を使用するのが有効とわかり、需要が拡大して組織的な捕鯨が発展しました。水田に鯨油を撒くと、水の表面に薄く皮膜を張りますね。そこに、稲を揺さぶってウンカを払い落としと、落ちたウンカの気門(呼吸をするための穴。昆虫では多くが体側にあります)がふさがって窒息死するんですね。福岡藩とか、この鯨油を確保するため、長崎の捕鯨組織と連携したり。

クジラって、海の生活に適応して、形状も魚に似た体型になっていますし、泳ぐ時に抵抗になる体毛がほとんどなくなって、代わりに分厚い皮下脂肪があるんですよね。江戸時代は、特に脂肪層が分厚く、死んだあと海面に浮かぶセミクジラが捕鯨の主体で、やがて漁業方法が発達すると、網や集団の船を利用した方法で、いろんな種類のクジラを捕鯨できるようになったので。戦後の南氷洋の捕鯨は、江戸時代との伝統とは違うので。各地の沿岸捕鯨で地産地消という方向転換は、国際的な非難もかわせて、一石二鳥。アメリカだって、先住民の捕鯨はやっています。それも、絶滅危惧種の北極セミクジラも。

■日本の捕鯨の今後は?■

IWC脱退でクジラが安く食べられるようになるという人に対しては、自分は一貫して疑義を投げています。安くなったら食べる、なんて人は実際は安くなっても食べるか、疑問です。そうではなく、高くても食べるという人の需要を的確に掴み、きちんと利益が出るようにしないと、日本の他の漁業と同じになってしまいます。すなわち、値下げ競争と乱獲です。産業は費用対効果。もっと多くの人に食べてもらおうと、値下げを始めたら危険な兆候ですらあります。それは、別件でも言及しましたが。

自分だったら、実力あるベテランに、クジラ料理人を目指す若き料理人を主人公に、漫画でも小説でも描いてもらいますね。それこそ、雑誌に掲載枠を買い取ってもいいぐらい。もちろん、内容はお役人があれも入れろこれも入れろではダメで、大前提として人間ドラマがあること。その上で、クジラの料理ってこんなに多種多様にあり、江戸時代から研究されていたのかとわかり、何より美味しそうと思わせること。それができれば、億単位の助成金を付けて安く振る舞っても、一過性のものでしかないです。『築地魚河岸三代目』のはしもとみつお先生とか、『蒼汰の包丁』の本庄敬先生とか。

鍋島雅治先生が存命なら、故郷長崎の捕鯨に絡めて、良い原作を書いてくれたでしょうね。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ