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北海道新聞80万部割れ

◉北海道新聞──通称道新は、琉球新報や沖縄タイムス社と並ぶ、左派地方紙として有名なんですが。それが80万部割れ。北海道の総人口は、Wikipedia先生によれば508万2974人ですから、ピーク時の110万部という数字が、いかに大きなものだったかが解りますね。道民の5人に1人が取ってるのですから、支配率は圧倒的。さすがに広い地域なので、あさひかわ新聞とか網走タイムズとか、けっこうな種類があるようですが。部数を落としたとはいえ、6.4人に1人が取っているのですから、驚異的です。

【「北海道新聞」発行部数80万部割れ、ピーク時の3割減】北海道リアルエコノミー

 北海道新聞の発行部数が、2024年1月以降、80万部を割り込み、同年3月で79万3944部となった。ピーク時には110万部台だったが、その頃からおよそ3割減少した。夕刊廃止後のコストダウン効果が、部数減により圧縮されかねない。

 道新は、2000年代に朝刊120万部、夕刊80万部の朝刊・夕刊セットで200万部体制を目指していた。しかし、メディアの多様化やSNSの普及で新聞購読層が減少、部数は、減少傾向をたどっている。2020年10月には、朝刊・夕刊セット料金を月額4037円から4400円に10%値上げした。値上げは、1996年以来、26年ぶりだった。

https://hre-net.com/syakai/masukomi/73833/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。

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■希望的観測■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。北海道新聞の苦境は明らか。過去には値上げによって、財務体質の改善効果が期待されたのですが、焼け石に水だったようで。創刊当初から発行してきた夕刊の発行を昨年9月には終了。産経新聞が東京本社の夕刊を廃止したのが2002年3月末でしたから、むしろ遅すぎた改革のような。逆に産経新聞の夕刊、約25万部もあったのですから、思い切った英断というか。押し紙の廃止にしろ、産経新聞はそこがドライというか、経営合理化は名より実を取っており、見栄を張る左派新聞より果断で先進的ですね。

道新関係者の言葉として、「2020年の値上げにより部数減少は避けられなかったが、80数万部で底を打ったという見方が大半だった。今年に入ってからの80万部割れは、底ではなかったという意味で極めて深刻な状況だ」とのこと。いやぁ、ただの希望的観測ですね。むしろ、今後10年は下げ止まらないぐらいに、覚悟しておくべきでしょうに。新聞業界のピークは、発行部数が5376万部だった1997年。もう27年前です。出版業界が1995年でしたから、バブル後にピークが来たという点では、新聞出版とひとまとめにされるだけあって、似てる部分はあります。

■電子化の波■

週刊少年ジャンプは、1995年の650万部をピークに、減る一方でもう100万部を年内に切るでしょう。『ONE PIECE』が連載終了したら、50万部を切るかもしれませんね。そういう意味では、雑誌離れが底を打たないのに、新聞が底を打ったとか、希望的観測に過ぎます。2023年10月時点の新聞発行部数は2859万部で、26年間で2517万部も減っています。毎年96万部が減ってる計算ですが、むしろ部数の落ち幅は、近年のほうが酷いですからね。ピークの4割で下げどめれば御の字、50万部を割って45万部ぐらいが、北海道新聞の攻防ラインでは?

徳島新聞社の労働組合も、来年以降の新入社員を子会社で採用し、賃金水準を現在の75%に抑える計画を進めているのに反発して、ストライキを起こしています。新聞業界自体が、黄昏の業界です。ただ出版業界は、2022年には電子書籍の爆発的に売上アップがあって、雑誌の部数は下げどめないのに、売上自体は過去最高を更新するという、ある意味で雑誌から電子書籍への、切り替えのビッグウェーブが来ています。そしてこれは、NYタイムス社など欧米のマスコミでも起きていることなんですよね。電子版の読者がグングン増えて、一昨年の時点で有料購読者が693万人に。

■地方紙生存■

ところが、日本の新聞は、このビッグウェーブに乗れていません。日経新聞は、デジタル有料媒体の購読数が100万を超えていますが、朝日新聞は30万人ですっかり足踏みしています。本当にクオリティが高い内容なら、有料でも購入すると思うんですよね。けっきょく、マスコミはそういう「買ってでも読む価値がある記事」が少なく、プロメテウスの罠みたいな企画は批判にさらされ。たぶん、このジリ貧の先にあるのは、かつて満州事変を批判して部数が下がったら、戦争翼賛に走った過去と同じことを、やらかすと自分は見ています。戦前戦後、マスコミは一貫して大衆迎合の風見鶏ですから。

今年の夏、F-16の投入でロシア軍が完全に追い込まれたら、マスコミは手のひらを返すと思うんですよね。勝馬に乗ろうとして。アメリカ大統領選挙の前に趨勢がはっきりすれば、トランプ大統領もそのまま、勝馬に乗るでしょうから。個人的には、それで新聞の部数が回復するとは思っていないのですが、新聞もしょせんは営利企業、右旋回は起きるだろうと予言しておきます。ただ、地方紙は逆に、地域密着という形で、ある程度生き残れる・読売新聞に吸収されて縮小しながら生き残ろと思うのです。いずれにしろ、今後10年ぐらいは新聞は底を打たない、と思っています。滅びはしないですけど。


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