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東大と理研が画期的な塩水の脱塩素剤開発

◉海水から塩分を取り除いて、真水にする研究というのは、それこそ昔から研究されていたのですが。現在多くの脱塩プラントが採用する逆浸透法というのは、海水に圧力をかけて極薄の樹脂半透膜を通過させ、その途中で塩分などだけを濾過する方法です。これがなかなか難しくて、濾過するフィルターの素材研究がキモ。そこで、東京大学と理化学研究所が、フッ素系のナノチューブで、かなりの脱塩性能を叩き出したようです。水不足の時代、コレは大きいです。

【東大と理研、水を超高速で通すにもかかわらず塩を通さないフッ素ナノチューブを開発】日経新聞

今回、東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻の伊藤喜光准教授、佐藤浩平大学院生(研究当時)、相田卓三卓越教授(本務:理化学研究所 創発物性科学研究センター 副センター長)らの研究グループは、テフロン表面のように内壁がフッ素で密に覆われた内径0.9ナノメートル(注4)のナノチューブ(フッ素化ナノチューブ)を超分子重合により開発した。このナノチューブは塩を通さないが、これまでの目標であったアクアポリンの4500倍の速度で水を透過した。一般に高い水透過能と高い塩除去能を同時に満たすことは極めて難しいが、ここでは、密なフッ素表面が水分子の結合を切断し同時に塩化物イオン(注5)の侵入を阻止するために、これまでにない圧倒的なスピードでの塩水の脱塩が実現された。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、東大安田講堂の写真です。

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■砂漠緑化などへの期待■

地球の砂漠化は相変わらず進んでいて、真水は貴重な存在。水や水源を巡る争いは、ダニエル・クレイグが英国諜報員ジェームズ・ボンドを演じる007シリーズでも、ネタにされていましたが。地球にはおよそ14億立方キロメートルの水があるとされます。しかし97.5%は海水であり、淡水はわずか2.5%とか。しかも、その淡水の大部分は南極や北極などの極地域に氷として存在しているんだそうで。アマゾン川やナイル川とか、ビクトリア湖などの淡水の総量は、地球全体の水の約0.8%なんだとか。

逆に言えば、海水を高効率で淡水化できるなら、砂漠地帯にパイプラインを敷いて、真水を大量に供給し、それこそ人口の湖を作ることも可能でしょう。そうなれば、気温が下がって植物が周辺に繁茂し、生物もだんだん増えていくでしょうから、砂漠緑化の切り札になりえます。もちろん、あまり大規模にやると、それはそれで気候変動のマイナス要因になるかもしれませんが。砂漠には砂漠の、大気循環の役割がありますからね。でも、琵琶湖レベルの淡水湖が出現すると、生態系は変わるでしょうね。

■日本の素材研究■

そして、日本の素材研究。「日本はこのままでは後進国になる」とか、オオカミ少年の文化人が多いですが。そういう人は、自分自身の発展途上国差別に無自覚ですね。タイとかベトナムとか行けば、発展途上国の首都や副都レベルだと、東京や大阪より部分的にはよほど発展していたりします。タイとか、スカイトレインに地下鉄とか、後発の強みを生かして、実に計画的に設計されていて、便利で使い勝手が良く、素晴らしいです。途上国の大学とかも、トップレベルはかなりの人材がいますし。

で、ダメダメと言われる日本の科学技術ですが、素材研究は昔から強いんですよね。これは、ゼロの概念を発見して瞑想の文化が古くからあるインドが、IT関係で人材をバンバン供給しているように。日本人は縄文式土器や縄文漆器の昔から、素材を組み合わせて工夫するのが、大好きな民族ですからね。これは、焼き物の釉薬や日本刀の鉄の配合とか、そっちも同じ。調剤も昔から強いので、化学がこれから日本のノーベル賞の最多部門になるという予想さえありますから。

■ナノチューブへの期待■

韓国への高純度のフッ化水素の輸出問題でも、一時期話題になりましたが。日本はこういう素材研究には、恐るべき職人魂と粘り腰を発揮しますから。特にこの、ナノチューブの研究は、毎年ノーベル賞の発表の時期になると、名前があがる研究ですから。炭素系のカーボン・ナノチューブの研究が世界的には有名ですが、今回の研究はフッ素化ナノチューブですか。上手くすると、世界的にも貢献するのが確実な研究です。こういう研究には、ワクワクしますね。藤子不二雄先生のおかげですが。

個人的には、素材研究に加えて、ロボット工学にバイオテクノロジーに海洋開発、ここらへんが日本の未来を握っているとは思います。残念ながら、AI研究とかではアメリカには予算もマンパワーも勝てない部分はありますが。個人的には、これにコンテンツビジネスを加えて、文系も理系も日本の発展に貢献してほしいですね。日本人って、外国語は苦手と言われますが、翻訳者とか実は質量ともに大したレベル。コンテンツを多言語で発信していくの、大事だと思っています。

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