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倒産寸前のAppleに入社した理由

◉Appleが倒産寸前だった。こういう話って、もう忘れ去られているんですけどね。1997年にスティーブ・ジョブズが正式に復帰したAppleは、まじに倒産寸前だったんです。それを、奇跡のように立て直したのが、ジョブズがカリスマ経営者たる所以。iMacにiTunes、iPod、iPhone、iPadとヒット商品を次々と送り出し、世界的な企業に。あの時代、Appleに入社するというのは、愚か者の結論だったでしょう。自分も知り合いに、MacなんかこだわってもAppleは倒産するとアナリストも言ってるぞと、言われたもんです。

【ティム・クックはなぜ「破産寸前だったApple」に入ることにしたのか?】ライフハッカー

AppleのCEOであるティム・クック氏は、自身のことを語らない人物として知られてきました。

そんな彼が、「GQ」が先日行なったインタビューでは、これまで口にしてこなかった私生活や成功、トップに登り詰めるまでの道のりなど、多くのことを語っています。

なかでも、読者が興味を抱かずにはいられない告白の1つは、彼が下した「Apple入社」の決断についてでした。なにしろ、当時のAppleは破産の危機に瀕していたのですから。

https://www.lifehacker.jp/article/2304-the-reason-apple-ceo-tim-cook-chose-to-work-for-steve-jobs-comes-down-to-7-words/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、MacBook Airの写真です。

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■目先の利益を追うな■

就職に関して言えば自分たちが高校生の頃、田舎の進学校の進路相談は、文系で成績優秀だったら弁護士を、理系だったら医者や歯医者を進める教師が、多かったですね。ところが現在は法科大学院のせいで、弁護士あまり状態。医者は大学病院などでの過剰労働が指摘され、東京の歯医者はコンビニエンスストア よりも多くなり、倒産からの夜逃げが続出。歯科医師免許を持つ人は全国に10万人ほどいて、難関を突破して夜逃げの現実……。

年上の従兄弟たちの時代は、土木建築業界が田中角栄の列島改造ブームに乗って景気が良かったので、工業高校の土木 家や建築家は大人気だったわけですが。平成不況で従兄弟の土建会社は倒産。今はこれが人気だとか景気がいいとかいう言説に乗っかるのは、かなり危ういです。今がピークであとは落ちるだけ、あるいはとっくに ピークを過ぎているのに、古い情報に踊らされる。日本のバブル景気がはじけた以降の方が、蛇頭の密入国者が増えたようなもので。

そういう意味では、ティム・クックCEOの決断は、非常に参考になりますね。まるで『七人の侍』の官兵衛について行った、他のメンバーのようなもので。彼らは、飯が腹いっぱい食えるから野盗と闘ったのではなく。魅力的なリーダーに付いていこう、この人となら命を賭けても惜しくないという、意気を感じたわけで。神ならぬ身である自分たちには、未来を正確に予想することなどできません。であるなら、やりたいことを優先すべきなんですよね。

■七人の侍のように■

スティーブ・ジョブスがペプシコーラの社長だったジョン・スカリー氏をヘッドハンティングする時に口説いた有名なセリフが「このまま一生、砂糖水を売りつづけるのか、それとも世界を変えるチャンスをつかみたいか。」です。ペプシコーラの社長のままでいた方が、安定と利益は得られたでしょうけれど。人はパンのみにて生きるにあらず。やりがいがない仕事は、利益が多くてもうつまらないものです。やりがい搾取の問題は、また別の話。

パーソナルコンピューターや スマートフォンの価値がわからない人には、スティーブ・ジョブズが世界を変えたという実感は、ないかもしれません。でも、情報の流通と共有という面において世界は確かに変わりました。旧メディアを左派が牛耳り、国民のに知らせない権利・報道の不自由を行使していた時代に比較すれば、ずいぶん風通しが良くなりました。教授や弁護士や評論家という立派な肩書の方々が、専門外では素人以下の知識しかないことがばれたり。

カリスマ型の経営者の後を継いだ人物はだいたい、そのやり方を真似して失敗します。ジョブズが偉かったのは、自分の死期を悟ると、クックに後事を託し、さらにウォルト・ディズニー 亡き後のディズニー社の失敗例を引用しながら、自分の真似をせずにクック自身の判断と決断でAppleを運営するように、励ましています。仏教に傾倒していたジョブズですから、お釈迦様の自明灯・法明灯の教えを念頭に置いた、アドバイスだったのかもしれません。

■ジョブズと自明灯・法明灯■

ディズニー社は「ウォルトならどう決断したか?」を、創業者の跡を継いだ人々が考え、結果的に それが自縄自縛になってしまった面があったようです。ジョブズは、そういう弊害を見ていたのでしょう。自分は当初、経理畑出身のクック氏が後継者に指名された時、Microsoft 社のスティーブ・バルマー社長と同じで、ありがちな失敗パターンを踏襲するかと危惧しました。カリスマ創業者が亡くなった後、潰れる会社のパターンはだいたい似ています。

【Apple CEO在任期間最長を更新。ティム・クックを成功へと導いた「ジョブズから受け継いだ教え」】ライフハッカー

今月、ティム・クックのAppleのCEOとしての在任期間が、ジョブズを抜いて最長となりました。

2011年に亡くなったジョブズは、4249日間CEOを務めました。厳密には、ジョブズはそれ以前にも暫定的にCEOに就任していましたが、公式記録としてはクックの在任期間が最長です。

世界でも最大規模で、時価総額も大きく、さらにはクリエイティブの最先端を行くといっても過言ではない組織を率いることについて、今月、GQ誌のインタビューにクックが答えました。

https://www.lifehacker.jp/article/2305-tim-cook-is-now-apples-longest-serving-ceo-this-is-1-thing-he-learned-from-steve-jobs-that-most-contributed-to-his-success/

創業者の真似をして、大きな手柄が欲しくて危険な賭けの事業に手を出し、倒産のパターン。あるいは、経理畑出身の有能な、しかしクリエイティブではない人物がトップに立ち、会社の活力を失わせるパターン。ディズニー社のマイケル・アイズナー社長は、ヒットするかどうかわからない新作でリスクを負うより、過去のヒット作の続編やリメイクで十分と、クリエイターたちのやる気を削ぎまくって、没落を招いたわけですが。

スティーブ・バルマー社長もこのタイプで、先見の名も 時代を読む目もないタイプでした。そういう人間は、参謀やナンバー2には向いているのですが。クックCEOも、Appleの流通在庫の管理で経営を改善し、ジョブズの信頼を得た人物だったので。ところが 実際に社長になると、クリエイティブとは何かを理解していて、Apple Watchやヘッドフォン事業など、手堅く業績をアップさせています。

■経理畑出身社長への危惧■

豊臣政権も、石田三成という非常に官僚としては優秀な人物が、事実上の二代目を継ぎ、滅びました。資料を調べると、石田三成という人は、巷間言われているような人物ではなく、かなり魅力的な人物なのですが。優秀な人間故の嫉妬もあって武断派と対立し、関ヶ原の戦いでは敗北したのですが。徳川家康は、鎌倉幕府が三代で嫡流が絶えたことや、豊臣政権が秀吉のカリスマ性に頼りすぎて、組織作りが未成熟だったことを見抜いていました。

なので後継者は、カリスマ性のない秀忠を指名し、自分が大御所としてサポート役に回り、官僚組織を整備し、権力があるものは領地を少なく、領地が大きいものは権力の中枢から遠ざけ、御三家を作って将軍家の血統が絶えた時に備え、親藩の一族には政治に関与させず譜代に政務を執らせ。的確な手を打っています。しかし、貨幣経済の発達という時代の変化に思いが至らない 後継者は、何事も権現様の仰せの通りで改革を拒み、そのくせ 外様大名の幕政参加という部分は禁を破り。

本当に守るべき部分は守らずに滅びたわけですが。静岡県の小さな町工場を世界のホンダに押し上げた 藤沢武は、経理畑のトップでありながら「ホンダの社長は技術畑出身であるべき』という、大事な法明灯を残し。役員に個室を持たせると意志の疎通がスムーズにいかなくなり、派閥を作るという考えから役員大部屋制動を作ったり。技術者研究者が出世争いに血道を上げてはいけないと研究部門の肩書きをなくしたり。

現在のホンダに対する不平不満がある人もいるでしょうけれど、こういうシステム作りはAppleと似たところがあります。ジョブズもまた、新社屋の中心に森と空間を作り、最初の社屋にも社員が勝手に集まれる広いスペースを作ったとか。人間と人間が仕事をして クリエイティブなものが生まれるということを、理解していた人なのでしょう。クックCEOの跡を継ぐのが誰か自分には分かりませんが。割と早めに増上慢が見えたジョナサン・アイブを遠ざけたのはGJと。Appleの今後を占うのは、三代目が 誰になるかでしょうね。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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