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エネルギー関連ネタ4題

◉安全性が高い第四世代原子炉のひとつである高温ガス炉は、小型モジュール炉(Small Modular Reactor=SMR)と呼ばれます。小型炉は、出力は第三世代炉の30%ほどと小さいですが、そのぶん建設の場所を選ばない(古くて硬い岩盤や冷却用の水が不要なので)メリットがあります。しかし、小型と言ってもそれなりの大きさが必要なんですが。三菱重工の超小型原子炉は、直径1メートルの長さ2メートルの、錠剤のカプセル型のタイプで、しかも25年間も燃料交換なしとのこと。

【直径1mで25年間燃料交換なし、三菱重工の超小型原子炉はどう動く】日経テック

三菱重工業が超小型原子炉(マイクロ炉)の開発を進めている(図1)。炉心サイズが直径1m×長さ2mとトラックで運べる小ささだ。可搬性に優れることから、離島やへき地、災害時の電源として期待できる。次世代原子炉としては電気出力300MW以下の「小型モジュール炉(SMR)」などにも注目が集まっているが、マイクロ炉はそのSMRよりも小さい。果たしてどのような構造、仕組みなのか。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、青空の写真です。

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■エネルギーの地産地消に期待■

記事を読むと、大型の燃料電池っぽいですね。原子力電池は昔からあって、アメリカでは70年代に打ち上げられた宇宙探査船にも、搭載されていましたが。放射性物質の熱崩壊のエネルギーを、電力に変える仕組みで、それよりは、規模も大きくて、構造も違いますね。詳しくは上記リンク先を読んでいただくとして。軽水炉のような、液体の冷却材を使わない全固体原子炉とのこと。第四世代原子炉も、冷却水に観時を使わず、ネリウムや溶融塩を使うタイプが研究され、高温ガス炉はヘリウムを使います。

福島第一原発の事故でも誤解している人がいますが、水を使うと、冷却には一次冷却材と二次冷却材があり、福島の場合は津波による電源喪失で、二次冷却剤の供給ができなくなり、一次冷却材が崩壊熱によって水蒸気爆発を起こしたのですが。どうも、あれを原子爆弾の爆発と同じと誤解しているようですね。この誤解から、ミサイルを原発に打ち込まれると核爆発を起こすと、さらに飛躍している人もいますが。原爆はウランを高純度に濃縮しないと核分裂に至りません。

■再生可能エネルギーへの疑義■

三菱の超小型炉、電気出力は500kWほどで、原子力発電所の大型軽水炉の電気出力を1GWとすれば、数千分の1の出力とのこと。まぁ、第三世代炉の出力は、それだけ大きいのですが。小型で安全な原子炉で、被災地や緊急的に電力が必要な地域なら、重宝するでしょうし。僻地の小さな集落なら、それこそ地産地消でいけそうですね。個人的には、米英で2029年に商用炉が稼働予定の高温ガス炉には、そういう地産地消型を期待したいです。そして、風力発電に対する宮城県知事の、このような疑義が。

【「心情的に違和感」 宮城県知事が関西電力の風力計画に反発】産経新聞

 宮城県の村井嘉浩知事は13日の定例会見で、関西電力が同県川崎町の山間部に計画する風力発電事業について「東北にわざわざ出てきて、設置せずとも、関西でおやりになればよろしいのではないか」と述べ、不快感をにじませた。
 村井氏は「法的に問題はないが、心情的に違和感がある。再生可能エネルギーの普及は極めて重要だが、長年守り続けてきた山林の価値を失うことには危惧を持っている」と強調した。

ハッキリ言って、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーは、ベース電源にはなりえません。少なくとも現在では。夜間には発電できない太陽光発電、日中でも風が止めば発電できない風力発電は、安定性に欠けます。もっと言えば、日本の平均日照時間って世界平均より低いと、知らない人がほとんどでしょうし。こんな、北海道まで台風が上陸する温帯の島国に、風力発電は無意味。自民党などの利権になっていますが、先の雹《ひょう》でもその脆弱さを見せましたしね。

■毎日新聞の情緒的な記事■

なのに、毎日新聞はこんな記事を書いています。マスコミの嘘・大げさ・紛らわしいを見抜くひとつのコツとして、文学青年崩れの情緒的なことを書く場合、情に訴えて科学を誤魔化そうとしていることが多いです。この記事も、リード部分だけ読んでも、プロジェクトX症候群が見え隠れしますね。本当に科学的なら、日経テックのように、具体的な数字を挙げて、淡々と説明すればいいだけですから。

【風力発電を海に浮かべよ 国内初の設置に挑んだ土木エンジニア】毎日新聞

 政府が再生可能エネルギー推進の切り札にしたい洋上風力発電。日本の沿岸では遠浅の海が少なく、海底に風車の土台を固定できる海域は限られている。そこで期待されているのが海上に風車を浮かべる「浮体式(ふたいしき)」だ。国内で初めての実用化に奔走したのは「昔はトンネルを造っていた」という土木エンジニアだった。

以前も書きましたが、洋上風力発電では、福島県沖の洋上風力発電施設のおよそ600億円もつぎ込んで検証し、やっぱ無理という結論が出ています。民間への譲渡を模索していたのですが、採算が見込めないと判断して断念するレベル。風力発電は、台風が来ないヨーロッパ北部の、偏西風が安定して副地域では有効ですが。日本では、北海道の一部でしか好適地がないですからね。もういい加減、過剰な幻想を持つのは止めましょう。中国のメーカーも絡んで、怪しい動きもありますし。

■青森でも森林伐採に疑義が■

宮城県知事のみならず、青森県でも風力発電のために、「県民の命と暮らしを守る大切な水を蓄えている森林を無秩序に開発して良いというわけではない」という質問が出たようですが。当たり前ですね。日本各地で、太陽光発電のパネルが山の木々を切り払って設置され、挙げ句に熱海では土砂崩れが起きちゃったわけで。そういう地域は、日本各地で報告されていますね。ハッキリ言って、そういう写真をTwitterやFacebookなどのSNS上で見るたびに、ヒヤヒヤします。

【知事、八甲田周辺の風力発電「無秩序」に懸念】Web東奥

 八甲田周辺などで計画されている二つの風力発電事業を巡り、三村申吾知事が10日の青森県議会一般質問で、「県民の命と暮らしを守る大切な水を蓄えている森林を無秩序に開発して良いというわけではない」「観光資源としても非常に貴重な自然景観」と懸念を示す場面があった。一方、「どうしても役所なので、法律や手続き論でやりとりしなければ」として県の立場に理解を求めた。

ハッキリ言えば、自民党のみならず、いろんな団体の利権が保革ともに入り乱れているので、この問題は大きいのですが。つくづく、無能な方の菅元総理大臣のおかげで、民主党政権のダメージは現在進行系で、日本にダメージを与えています。現状では、原子力発電所の順次再稼働、これしかこの夏の電力不足を止め、10年間で40兆円とも言われる国富の流出に、ストップを欠けねば。今夏の参院選では、単純な保革の枠を離れ、個別に是々非々で考えていきたいですね。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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