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最高のチームにメンバーは重要ではない?

◉Googleが、興味深い調査を発表しているようです。社内で最高のチームを作るには、実はそのチームを構成するメンバーは重要ではない、というお話。普通は最高のメンバーを集めれば、最高の結果が出ると考えがちですが。でもこれは、自分のサラリーマン経験からも、個人的に思い当たる部分があります。

【Googleが行なった「最高のチームをつくる」調査の意外な結果。メンバーは重要ではなかった】ライフハッカー

Google(正確にはその親会社のAlphabet)は2023年1月、約1万2000人をレイオフする長期計画を発表しました。これは、全従業員の6%に相当する数です。

判断を正当化できるかどうかはともかくとして、この経費削減策は、同社株価に影響を与えていません(見方によっては、「影響を受けたからこそ、この株価なのだ」と言う人もいるかもしれませんが)。

Alphabetの株価は、2023年と比べて50%近く上昇しています。

こうした事情を考えると、Googleの幹部が「従業員は我が社のもっとも大切な財産です」というようなことを言っているのを聞いたら、そのあまりの言行不一致ぶりに目を剥いても無理ないでしょう。

しかし、同社が従業員をもっとも大切な財産と考えていることは確かなのです。

https://www.lifehacker.jp/article/2407-google-research-reveals-5reasonsa-team-will-be-effective-productive-feel-satisfied-fulfilled/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、チーム作業のイラストです。

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■チームスポーツと類似■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。Googleという会社は、非常にユニークな企業だと思うのです。それは単なる営利追求ではなく、もうちょっと人間とか社会の在り方について、探求しようという姿勢を感じるからでしょう。人間学が、ベースにあるというか。これは、故スティーブ・ジョブズにも感じた部分です。Microsoft社やFacebookにはあまり感じないのですが、テスラやAmazonにも、そこを感じます。

Googleは、社内のあらゆる部署を対象として、合計で180チームを評価しました。その結果、チームを構成する「メンバー」は問題ではないことがわかりました。

性格や背景、ジェンダー、やる気の源、経験などについて、「正解」の組み合わせは存在しなかったのです。

この話でまず思い出すのが、プロ野球の読売ジャイアンツの第二次長嶋茂雄政権。第一次政権の時には、伝説の 伊東キャンプで、後に主力となる若手を鍛えた長嶋茂雄監督ですが、第二次政権ではFA制度を利用して、他球団の4番打者を次々と獲得するという、金満野球にシフト。清原、江藤、広沢などが松井や高橋と並ぶ打線は、確かに豪華ではありました。では圧倒的に強かったかと言われれば、何連覇もするような感じではなかったですね。打線は、その名の通り線であって、点がどれほど素晴らしくても、線に繋がらなければ機能しない。

■選手の役割で考えると■

1番バッターは、長打力はなくても選球眼が良くて出塁率が高く、2番バッターは送りバントなど小技ができて、3番は長打力があるホームランバッター、4番は勝負強い打点王タイプ、5番は長打力と勝負強さのバランスタイプといった感じで、それぞれの役割があるわけで。4番バッターは確かに 長打力と勝負強さはありますが、打率まで兼ね備えた三冠をタイプは、そんなにはいませんからね。結果的に第二次長嶋政権は、野村監督のID野球に苦しめられることになるわけで。

Googleの説明によれば、チームは「特定のプロジェクトのために仕事を計画し、問題を解決し、決断を下し、進捗をチェックする」ために、お互いに頼りあう部分が大きく、それゆえに「タスクを完遂するためにお互いを必要として」います。

そのため、チーム内の力学のほうが、個々のメンバーのスキルセットやものの見方、性格、背景よりもずっと重要になるというのです。

プロスポーツの場合も、チーム競技はそれぞれの選手の能力や特性を理解した上で、それぞれがどれだけカバーできるかが大事。勝利という目的のために、それぞれが 臨機応変に・有機的に動けるチームがベストなわけで。自分の成績と記録のことしか考えていない、そんな選手がのさばるようなチームは、だいたい弱いですね。正解の組み合わせはなかった、ここが非常に重要ですね。今ある戦力で、個々のメンバーのキャラクターの組み合わせによって、チームの成果は上がりもすれば下がりもする。

■成果に至る5ポイント■

それでは、チームの成果を決めるものの正体とは何か? Googleが到達したのは、以下の5つのポイント。個々の内容については、上記リンクをお読みいただくとして。個人的には、思い当たる部分が多々ありますので。ゴールの設定が明確で、その貢献に対する評価基準が、明確かどうか。成果に対する不当な評価は、相互の信頼関係を失わせ、不信感を生む。プロ野球では、広岡達朗監督は管理野球で選手に嫌われましたが、でも送りバントや守備固めなど、地味な貢献をした選手を高く評価していました。結果、優勝請負人の名声を得たわけで。

1心理的安全性
2相互信頼
3構造と明確さ
4仕事の意味
5インパクト

平岡監督が西武ライオンズ監督時代、試合後のミーティングで、年俸に見合った仕事をしていない選手がいると、嫌味なことを言ってたそうですが。選手としては不満でも、それ自体は事実で。田淵幸一さん など、当時は腹が立ったそうですが。チームメイトに、優勝して胴上げの途中で監督を地面に落としてやろうぜと提案し、チームが一致団結したとか。もっとも、実際に優勝したら嬉しさのあまり、そんなことも忘れてしまい。激しい 優勝争いを勝ち抜いて初めて、プロ野球選手としての本当のあり方を実感したと、後に語っておられますね。

阪神タイガース時代の田淵さんは、ある意味で自分のタイトルのことしか考えていなかったのでしょう。それは、読売ジャイアンツという圧倒的なチームがライバルで、球団は優勝したら年俸を上げないといけないから2位でいい、みたいなところでしたからね。そうなれば自然に、自分の個人的な成績にしか興味が行かなくなる。でも、弱小の新球団西武ライオンズにトレードに出され、そこからチームが強くなり、ついには優勝争いに。ようやく、チームとして勝つという、プロ野球の本気に立ち返ったわけで。

■常識を疑うことが大事■

日本プロ野球史上最高の名将とされる三原脩監督は、アマチュアは団結力で勝つがプロは勝って団結力が生まれる、と語っています。まさに、コレなわけで。さらに田淵さんは後に、自分自身が監督やコーチなど指導者の立場になって、広岡達朗さんの凄さが理解できたと、語っておられますね。それを聞いた広岡さんも、ようやくわかってくれたかと喜んだとか。トップは嫌われ役になってでも、目的遂行のために最適解を実行すべきで。八方美人で選手に愛されても、勝てなければ意味がないわけで(具体的な人物を思い出しながら)。

Googleが示した、これまで重要と思われていたけれど 実は重要ではなかったポイントも、価値観が揺さぶられる内容ではあります。でもコレも、個人的に思い当たる部分はあります。

・同じオフィス内で机を並べて働くこと(これは、リモートワーカーが、オフィスで働く人を上回る成果を出していることを示す、さらなる証拠にもなりそうです)
・合意に基づく意思決定
・メンバーの外向的な性格
・メンバー個人の実績
・メンバーの役職や在職期間
・期待、あるいは必要とされる仕事量
・チームの大きさ

こうなると、個々のメンバーの実績とか、ほとんど関係ないというGoogleの結論も、納得です。野村克也監督の、弱者は敗者ではない、という言葉にも、通じますが。ステレオタイプ的な最適の組み合わせがあるわけではなく。それぞれの力を有機的に結合できる、潤滑タイプのメンバーの力によって、様々な最適解があるような気がしますね。アメリカのNASAの研究では、俺がが俺がのアクが強いアメリカ人のチームの中に、調整型の日本人スタッフを入れると、チームがぐっと機能するように。興味深いレポートでした。


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