見出し画像

ハラスメント量的調査白書2024への雑感

◉平田オリザ氏の弟子の、深田〝偉才〟晃司監督らが、こんなことをやっていたんですね。まぁ、調査自体はイロイロやればいいですが、こういう人達がやる調査は、最初からバイアスがかかっていて、データとしていかがなものかと思うんですよね。日本の新聞社の調査も、朝日・毎日新聞と読売・産経新聞では、統計学的に問題があるぐらいの数字のズレが起きますしね。で、記事を呼んだら、調査はまともでも解釈と分析が偏っていました。

【女性表現者にとって「表現の現場」は「排除と搾取のハイブリッド構造」。表現の現場調査団が「ハラスメント量的調査白書2024」を公開】TOKYO ART BEAT

美術、演劇、映画、音楽、デザイン、マンガ、ゲーム、工芸など「表現の現場」で活動した経験のある人を対象に、ハラスメントの実態やキャリアにおけるジェンダーギャップを明らかにすることを目的とした調査を行われた。

https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/hyogen-genba-hakusho2024-news-202406

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉



■女性がセクハラ?■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。問題だなぁと思ったのはコチラ、一般的なイメージとは逆に「セクシュアルハラスメント被害は男性が女性を上回る」という、結果が出たようです。本来、セクシャルハラスメントは「性的言動によって不利益を受けたり、労働環境などが害されたりするハラスメント」という意味だったのですが、あっという間に職場でいやらしいことを言う・性行為を求めてくる脂ぎったオッサンのやること、というイメージが形成されましたが。男がすることは女もやる(程度の差はあれ)というのが、世の常ですから。

セクシュアルハラスメント被害は男性が女性を上回る
セクシュアルハラスメントについては、男性の被害数値が女性を上回っている項目が多い。とくに「キス・抱きつく・性的行為を求められる」を選択した男性は19.2%という高い数値になっている。

女性から男性へのセクハラや、男性同士のセクハラは未だ認知が進んでいないこと、また触る、キスなどの行為について、「ほんの冗談だった」と加害者側が考えていることなどが原因だと考えられる。また男性が自身の性被害について声を上げることの心理的ハードルの高さについても指摘された。

https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/hyogen-genba-hakusho2024-news-202406
https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/hyogen-genba-hakusho2024-news-202406

今回、表現の現場調査団という、かなり左重心が予想される団体の『ハラスメント量的調査白書2024』でさえ、「キス・抱きつく・性的行為を求められた」で男性14.6%・女性6.1%と、ダブルスコア以上の数字に。性的マイノリティに対するからかいや見聞きが男性13.3%で女性5.1%と、これまた男性がダブルスコアで被害者。猥談を一方的に聞かされるは、いかにも中年オヤジがやりそうなイメージですが、男性19.8%の女性7.1%と、トリプルスコアに近いです。まぁ、うちの田舎とか農作業で猥談言ってるのはオバチャン、というのが常識でしたし。

そういえば、漫画家との対談で、自身の腐女子趣味を全開にして、漫画家をドン引きさせたフェミニスト方面の御仁もいらっしゃいましたね。自分のように編集者が本業で、創作を幅広く教える立場からすれば、昭和の少年少女小説や少女漫画、平成以降のBLやTLにしても、基本的に女性はエロい話が好きだと思いますよ。男性ほど即物的ではなく、そこにある種の精神性は求めますが。BL漫画家を目指す受講生も、基本的には猥談好きですしね。類人猿のボノボの擬似的な交尾行動(ホカホカ)にしても、コミュニケーションのいち形態であり、無用な争いを避ける部分がありますから。

■男女の暗数とは?■

この調査結果は、日本の男性は女性からのセクシャルハラスメントを受けても周囲に言えない状況ってのがある――という、予測と一致しているんですよね。だって、男女共同参画局の調査した夫婦間の殺人事件、その加害者の男女比率は58.6%対41.4%と、ほぼ6対4の比率に近いのですよね。ところが、傷害や暴行は94.0~94.5%と、男性が加害者に偏っています。

こちらの統計データが、とても重要ですね。

つまりこれは、「妻に殴られたり精神的な虐待を受けていても、周囲に相談さえ出来ない男性の暗数こそ、かなり多い可能性」をこのグラフは示しているわけで。ところが、世間的には、女性の被害者がもっと多いはずだという案数の話にすり替えられるんですよね。今回の調査結果は、表現の現場という限定的な場所ですが、一般のイメージとは逆に、むしろ表現者のほうが女性がセクハラ体質だという点を、はからずも示してしまった。なのに結論としては「ジェンダー間の圧倒的なパワーバランス」という話になってしまうんですから、強引にもほどがあるなと思います。

本調査に関わった社会調査支援機構チキラボは、「3回の調査を経て鮮明になったのは、女性表現者にとって『表現の現場』は「排除と搾取のハイブリッド構造」になっている」と指摘。今回の調査でわかったこととして、「(1)女性表現者は男性表現者と比べ、そもそも最多年収が低い」「(2)他方で高年収帯に足を踏み入れた女性表現者は、男性以上にハラスメントに遭いやすくなるという傾向」「(3)逆に、最多年収が低い女性表現者は、ハラスメント被害が抑制される」ということを挙げた。

https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/hyogen-genba-hakusho2024-news-202406

■先ず結論ありき?■

これ、逆に言えば地位や収入的には、女性の方が男性よりも低い傾向が顕著なのに、セクハラをするのは女性の方が多いという、まさに相対的に立場が上になったら、男性相手にセクハラする女性の実態が、浮き彫りになっているでしょうに。で、最後に「本調査に関わった社会調査支援機構チキラボ」と出てくるんですが。……チキラボ? イヤな予感がしたんですが、荻上チキ氏が所長の組織でした。まぁ、データ改竄せずに出したのは、立派ですが。結論がこれでは。

「セクシュアルハラスメント被害は男性が女性を上回る」というデータの結論が「ジェンダー間の圧倒的なパワーバランス」として、男性のセクハラ被害が消えた!?さすが荻上チキやw
https://tokyoartbeat.com/articles/-/hyogen-genba-hakusho2024-news-202406

女性表現者にとって「表現の現場」は「排除と搾取のハイブリッド構造」。表現の現場調査団が「ハラスメント量的調査白書2024」を公開

、「3回の調査を経て鮮明になったのは、女性表現者にとって『表現の現場』は「排除と搾取のハイブリッド構造」になっている」の例として秋葉原のメイドカフェも対象となる。実際に私も所謂萌えブームの頃から労働の現場としての問題を指摘してきた。と同時に外部からの偏見や差別に晒されてきた業界でもある。

その偏見や差別を助長させてしまい加害を長期化させたのが秋葉原に児童ポルノが溢れている。メイド喫茶は児童援交の温床などのデマを国内外に喧伝した人権団体、社会活動家たちだったのは言うまでもない。

https://x.com/mogura2001/status/1805579495103250959

けっきょく、まず結論ありきなんですよね、荻上チキ氏は。まだ彼のラジオを聞いていた頃、NHK大河ドラマの歴代1位を決めるべく、投票を呼びあっけたのですが。放送時期が近かったのと、世評の評価が低かったため、その反発からか『平清盛』が1位になっちゃったんですよね。自分はこの結果には不満はなかったのですが、過去の名作が1位になることを期待していたのか、荻上チキ氏はガッカリした雰囲気を、隠しきれていませんでした。

今回の調査も、例えば漫画家の場合は女性の方が過半数を超えたという証言もあり、年収的な部分でも男性氏と女性誌の市場規模の差はあっても、そこまで負けていないと思うんですけどね。でも、そっちは調査にどれほど入っているのか? まぁ、吾峠呼世晴先生一人で、平均を押し上げるから、無理か。というか管理職云々という部分で、けっきょくは美術系大学とかの教授職とかに女性が少ないという、いつもの批判につなげたい意図が見えますね。邪推ですが。いずれにしろ、統計データ自体は今後、使えそうですね。その点は、良い調査でした。


◉…▲▼▲インフォメーション▲▼▲…◉

noteの内容が気に入った方は、サポートで投げ銭をお願いします。あるいは、下記リンクの拙著などをお買い上げくださいませ。そのお気持ちが、note執筆の励みになります。

MANZEMI電子書籍版: 表現技術解説書

MANZEMI名作映画解題講座『ローマの休日』編

MANZEMI文章表現講座① ニュアンスを伝える・感じる・創る

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ