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太陽光発電よりコスト高の原発

◉毎日新聞が、数字のマジックで悦に入っていますね。原発の有利さとしてコスト面を挙げる人がいますが、自分はそれは悪手だと思います。実際こうやって、毎日新聞に揚げ足取りされていますから。24時間発電できない太陽光発電は、安定して長期間発電できる原子力発電とは、コストで単純に比較できません。それは風力発電にしても潮汐力発電にしても同じです。比較できる再生可能エネルギーは、昔ながらの水力発電や、地熱発電など限られています。

【原発の発電コスト上昇、太陽光などより高く コスト優位性揺らぐ】毎日新聞

 経済産業省は12日、2030年時点の原子力や火力、太陽光など各電源の発電コストを有識者委員会で示した。原発の発電コストは、東京電力福島第1原発事故を踏まえた安全対策費の増加などを反映し、1キロワット時あたり「11円台後半以上」と算定。過去の試算では「最安値」だったが、太陽光などよりも高くなり、コスト面での優位性が大きく揺らぎそうだ。

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■大躍進政策の愚行■

さて、この太陽光発電と原子力発電のコストの単純比較がなぜダメかといえば、左翼のアイドル毛沢東主席の、大躍進政策の愚を考えればいいです。毛沢東主席は、工業生産と農業生産の数字のみを、英米に追いつけ追い越せと目標を立てて、過剰なノルマを国民に課したのですが。これって、韓国や北朝鮮でもよく見られる一点豪華主義みたいなもので、国力ってそういう一部分だけを切り取ってもダメで、総合的な判断が必要です。毎日新聞のコスト比較も、根っこは同じです。

「鉄は国家なり」という言葉を薄っぺらく理解した毛沢東主席は、鉄鋼の大増産を目指し、原始的な溶鉱炉(土法炉)を用いた製鉄を全国の都市・農村で展開させます。確かに、アメリカやイギリスなど当時の先進国は鋼鉄を大量に生産していましたが。残念ながら、その生産は需要に支えられていたからこそ。生産しても使う当てがなければ、意味がないわけです。毛沢東主席は経済学を理解できず、マルクス経済学という疑似科学を信奉していたので、当然の本末転倒なのですが。

■質の議論を無視した暴論■

なぜ鋼鉄が必要かといえば、巨大な鉄橋を作ったり、長大な鉄道を作ったり、鉄筋コンクリートの高層建築物を造るから。なぜそのようなものが必要かといえば、輸送とか消費のために必要。なぜ消費が起きるかといえば、そこには勤勉や勤労による資本の蓄積と可処分所得が生まれているからで。鉄だけ作ってもしょうがないわけです。しかも長大な鉄橋や高層建築には、ただの鉄では使用に耐えない。その自重に耐える強度がある、良質な鋼鉄でないと意味がないです。

毛沢東主席の大失敗は、鋼鉄の生産が上がれば先進国になれると、本末転倒な考えに取り憑かれ、結局は大量のクズ鉄を作り、人民を苦しめただけだったわけですが。クズ鉄を作るために、森林が伐採され、時にはノルマを達成するために貴重な農具の鉄を溶かして、生産したことにする帳尻併せが横行し、自然にも環境にも人間にも大打撃。大躍進政策に関しては、Wikipediaレベルでもかなりの情報が手に入ります。興味が湧いたら専門書を読むと、独裁者の愚行の典型例として、得るものが大きいです。

■太陽光発電と環境破壊■

そう、コスト面で太陽光発電と原子力発電を単純比較するのは、金属工学に無知な農民が土法炉で作ったクズ鉄と、高度の原材料や技術で作られた高性能な鋼鉄を、コストで比較するようなもの。いくら値段が安くても、クズ鉄では神戸大橋のようなダブルデッキアーチ型鋼橋を作れません。太陽光発電が前者で、原子力発電所が後者です。熱海市伊豆山の災害が起きてるこの時期に、こういう記事を出すなら、太陽光発電のリスクにも触れるべきかと。

毎日新聞としては、経済産業省の発表を報じただけだと言うでしょうけれど。単純にコストの比較はできない旨の一言を加えず、見出しや構成でミスリードするのは、新聞のいつもの手法です。毎日新聞は以前に、太陽光発電による自然破壊の記事を書いていますが、社内的にはまだまだ毛沢東の大躍進政策の時代から、知識や思考をアップデートできていない人が、主流派なんでしょうかねぇ……。市井の人間としては、微力ながらもこういう指摘を続けるしかないのですが。

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