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可視光全域での人工光合成技術を北大が開発

◉TOYOTAの研究所が人工光合成の効率を一気に上げて話題になったのですが。今度は北海道大学が、可視光全域での光の吸収が可能な、酸化チタンを利用した技術を開発したようですね。

【北大、可視光全域での光吸収が可能な「人工光合成」向け技術を開発】マイナビニュース

北海道大学(北大)は6月23日、金の反射フィルム上に厚さ約30nmの酸化チタンを成膜し、その上に金銀合金ナノ粒子を担持した光電極を用い、可視光全域の光吸収と、それに伴う光電流発生および水酸化反応の高効率化に成功したと発表した。
同成果は、北大 電子科学研究所の菅浪誉騎大学院生、同・押切友也助教、北大 創成研究機構の石旭助教、北大 電子科学研究所の三澤弘明特任教授らの研究チームによるもの。詳細は、独化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載されるに先立ち、オンライン掲載された。

元々チタンは、光触媒として研究がされていました。光触媒───太陽光を受けて、電力を発生したり、色素の漂泊に使えたりする作用全般のことで、光合成も天然の光触媒による作用です。チタンにまつわる雑学と駄話を。

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■チタンは卑金属■

酸化チタンと白金の電極の間で、水の電気化学的光分解が発生していることを、日本の研究者が発見して、一気にチタンに注目が集まりました。チタンを貴金属と書いている記事を見かけますが。 地球を構成する地殻の成分として9番目に多い元素なんだそうで。つまり、酸素・珪素・アルミニウム・鉄・カルシウム・ナトリウム・カリウム・マグネシウムの次に多い、ありふれた存在です。

金属としてはアルミニウム・鉄・マグネシウムに次ぐ4番目ですから、普通に考えれば卑金属。でも、チタンって酸化しやすいため、酸素や窒素がない、特殊な環境でないと鋳造や加工が出来ないんだそうで。ここら辺は、もっとありふれていたアルミニウムが、清廉な難しく大量生産に向かなかったのに、似ていますね。チタンは軽くて強度が高く、しかも合金として有効なのですが。利用が送れた理由です。

■チタン合金の応用範囲■

利用が遅れたぶん、研究での新発見があるのでしょうけれど。光触媒としては、チタン酸ストロンチウムの表面で水素の生成が起こること、エタノール中で水素とメタンの生成が起こることが発見されました。この結果、光触媒として有用な金属として、利用と研究が進んだわけですが。当初はゴルフクラブのヘッドに使うと、軽くて硬いので飛距離が増すと、持て囃されていた印象です。

個人的には、化合物によって多種多様な発色をするチタンは、耐熱性の高さも相まって有望な金属。AppleがPowerBookG4で筐体にチタンを採用したときは、ワクワクしたもんです。マグネシウムを使うメーカーもありましたし。けっきょくAppleはアルミニウムの方に舵を切り、Power MacG5もiMacもMac miniもアルミ筐体になってしまいました。できれば、復活して欲しいのですが。

■光触媒としての可能性■

光触媒としてのチタン化合物は、そういう部分で元々研究されていたのですが。人工光合成の方でも可能性が見えてきたのは、大きいですね。日本人は素材研究が強く、特に化合物を利用して、あれこれ研究するのに驚異の粘りを発揮しますから。コレが活かされたのが、高温超伝導物質の発見競争でした。いろんな素材を配合して、違いを検証するのは、漢方薬の調合に似ていますね。

個人的には、TOYOTAの研究と蛇とセットで、効率がアップすれば良いのですが。0.04%だったエネルギーの変換効率が7.2%までアップしたのですが。本当の意味で商用利用となると、10%がラインだそうですから。7.2%が8.0%になるだけでも、大きな前進ですからね。こういう研究は学際的に、いろんな分野の研究の総合力みたいなところがありますので。さらなる研究に期待です。

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