MANZEMI小説講座のこと
◉芦辺拓先生をメイン講師に迎えての小説講座。オンライン講座としては第一期ですが、小説講座としては第2回です。受講生の熱量があるので、楽しみですね。まぁ、漫画志望者も多いですが、山上たつひこ先生やすがやみつる先生、あさぎり夕先生など、漫画家をやりながら小説でも波の作家以上に出版されている方もいますし、自分は漫画を、絵も使って紡ぐ小説と思っていますので、ここらへんはクロスオーバーして然るべきかと。
自分自身は日本文学かで近代文学専攻ですからね。小説に関しては、平均以上には読んでいますし、推理小説も好き。少なくとも道場を開く資格を持っているブラジリアン柔術の紫帯よりは、深く関わってきたと思いますので。というか、本業は今でも編集者ですからね。原作者もライターも講師もしますが。講座で何をやってるか、ちょびっと解説を。
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■上手い文章って何?■
芦辺先生は、現役の小説家の立場から、作品作り全般について、深く広く、豊富な実例と実体験を交えて。自分は、文章の書き方について。───と書くと、「喜多野は文章下手クソなのに、何を教えてるんだよwww」とせせら笑ってくる人もいるでしょうけれど。まぁ、そういう人はそもそも、上手い文章と下手な文章の違いの、定義がないんですが。
あるいは、絵の上手い下手を言うタイプが、写実的な絵が上手いと言うのと同じレベルだったり。酷いレベルになると、誤字脱字誤変換を以て、巧拙を言う人もいますが。少なくとも、こういう本↓を読めばそれで充分に学べる文章表現技術の内容は、講義で語る意味がないんですよね。本多勝一氏の主義主張にはあまり賛成できませんが、文章読本としてはかなり出来が良いので、オススメです。
■上手い文章の⑩分類■
さて、上手い下手という基準に関しては、少なくともコレ↓ぐらいの分類は、基礎の基礎としてうちの講座はやっています。そして、上手い文章は目指していません。ココ大事。大事なので、もう一度書いた上に太字で強調しちゃいます。当講座では上手い文章は目指していません。そもそも、上手い下手はしょせん、主観的なモノですから。でも、下記の②や⑥や⑩も教えていません。
①広告文的な、人々の印象に残ったり想像を刺激する上手さ
②説明書的な、情報を誤解なく精確に読み手に伝える上手さ
③詩文的な、視覚的イメージや経験・記憶を刺激する上手さ
④詞文的な、リズムや口に心地よい語呂の良さを選ぶ上手さ
⑤落語的な、セリフの選択と各キャラ性を演じ分ける上手さ
⑥論文的な、ロジックの厳密さや記述ルールに沿った上手さ
⑦檄文的な、感情を揺さぶり読んだ人間の行動を促す上手さ
⑧小説的な、作品世界に引き込む語り口や人物描写の上手さ
⑨脚本的な、小説的な要素を時間軸に沿って構成する上手さ
⑩散文的な、上記の要素を過不足なく持った総合的な上手さ
こういう上手さって、素人には解りやすいですけれど、基礎をしっかりやらないプリレスラーが繰り出す大技のようなモノ。松浪健四郎教授が学生プロレスを評して、技は凄いのに滑稽に見えるのは、プロのような身体ができていないからだと、自分が学生時代の90年代の深夜番組で評していました。自分が教えるのは、プロレスラーの身体作りのようなもの。こういう話については、コチラのnoteも参照してください。
■ニュアンスが伝わる■
では、何を教えているかといえば、下手ではない文章……というより、ニュアンスが伝わる文章表現技術、とでも言いますか。有名小説家が書いた文章読本の多くは、どう伝えるかのテクニックが中心になりがちですが、そもそも何を伝えるか、が大事。で、何を伝えるか、では感情を伝えるか情報を伝えるか、この2つに大別できますね。情報を伝える技術は、前述の本多勝一氏の本で充分。
一方、感情を伝える技術って、あんまり無いんですよね。感情と言っても、喜怒哀楽などの表現技術って、そういう単純な話ではないです。怒りと言っても、激怒もあればちょっとムッとした程度まで、多種多様。その時に生じる、微妙な違いを、どう表現するか。そりゃあ千変万化。そこで、こういう記号によるニュアンスの違いから、段階的にやっていきましょうというのが、眼目です。
■枝葉の技術は目立つ■
なんですかね、三島由紀夫的な修飾の派手さを以て、文章の上手い下手を論じる人がいますが。そういうのって、漫画で言えばスクリーントーンの削りとかホワイトとか、仕上げの技術なんですよね。そこが上手いと、絵の見栄えはものすごく良くなるんですが。それは絵自体の表現力においては枝葉です。そもそも、デッサン的な上手ささえ、表層的なモノでしかなく。実は、コマ割り的な上手さが重要。
句読点でのニュアンスの表現とか、こういうところができたら、多少は文章の構成という面で、技術も知っておいて、損はないでしょう。コチラのnoteは、漫画で言えばコマ割りの上手さ的な?(語尾上がり)。ウチは修辞法的な部分での技術は教えません。だってそれは個々人の感性に任される部分ですから。そこは教えるだけ無駄というか、教えても劣化コピーになるだけですから。
■カンカラコモデケア■
この、毎日新聞の文章作法は、新聞記事の書き方としては、最低最悪です。報道は冷静客観中立な文章をできる限り目指すべきなのに、論外です。しかし、コラムやエッセイや小説では逆に、利用できるポイントはあります。コレもまた、修辞のテクニックとは別の、文章そのものの器官というか。漫画で言えば、ストーリーの中のエピソードやアイデアを考えるようなモノ……なんですよね。
しゅうじ【修辞】
言葉を効果的に使って、適切に表現すること。また、美しく巧みな言葉で飾って表現すること。また、その技術。「━を凝らした文章」
大辞林による修辞の定義はこんなモノですが。この、美しく巧みな言葉で飾って表現云々の部分が、一般人が考える、上手い文章と言うことなんでしょうが。それって、月の美しさを〝凍れる青い光の源〟とか〝夜の女神が住まう銀の宮〟とか、ビジュアル系バンドの歌詞のように表現することだと思ってる人が多そうですが。それこそ、ホワイトとかスクリーントーンの削りとかですので。
どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ
売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ