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ゼレンスキー大統領が国会演説

◉本日18時から、ウクライナのゼレンスキー大統領の演説が、日本の国会で中継されました。どんな内容に言及するか、事前にイロイロと予想されていましたが、ドイツのような厳しい批判もなく、日本への感謝の言葉が多く、物腰も口調も穏やかに感じましたね。それぞれの国の状況を考え、イギリスにはイギリス向きの、アメリカにはアメリカ向きの、それぞれ考えられた演説で、これは相当にブレーンが優秀で、それをきちんと言葉にできるリーダーの凄みも感じました。

【ゼレンスキー大統領が国会演説 ロシアに対する制裁継続求める】NHKニュース

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日午後6時から日本の国会でオンライン形式で演説し、ウクライナの惨状を訴えたうえで「日本はアジアで初めてロシアに圧力をかけた」と述べ、日本の対応を評価したうえで、ロシアに対する制裁の継続を呼びかけました。
(中略)
また「ロシアがサリンなどの化学兵器を使った攻撃を準備しているという報告を受けています。さらに核兵器が使われた場合の世界の反応が話題になっています」と述べ、ロシアが大量破壊兵器を使用することに強い危機感を示しました。
そのうえでゼレンスキー大統領は「日本はアジアで初めてロシアに圧力をかけました」と述べ、日本の対応を評価したうえで、ロシアに対する制裁の継続を呼びかけました。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ウクライナ侵攻関係の専用ヘッダーとして使わせていただいています。

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■ドイツとは違った対応■

さすがに「本日のウクライナはとても良い天気でしたが、黒海の波は高ったです」とか、そういう事は言いませんでしたが。左派を刺激しますしね。しかし日本が日露戦争で帝政ロシアと対峙し、辛勝とは言え勝利を収めたことにも遠回しに触れ、日本はアジアのリーダーになったと持ち上げ、さらに日本の各種の支援にも感謝の辞を述べる。隙がないですね。これには右派も左派も批判は難しいでしょう。ドイツへの批判に比較して、相当に練られた演説に思えます。

さらに、ロシアがウクライナ東部に化学兵器日帯を投入したという情報が出てきたタイミングで、サリンに触れて日本人の地下鉄サリン事件の記憶を呼び起こし。チェルノブイリ原発事故と東日本大震災とロシア軍の原子力発電所攻撃を絡めて、その危険性を訴えと、実に巧みです。そして、津波。これは日本人の金銭にも触れます。突然起きた出来事という点では、真珠湾攻撃や9.11テロとも同じ文脈ですね。そういう部分ではゼレンスキー大統領、一貫しています。

■硬軟を使い分ける巧みさ■

そして、日本との関わりも、奥さんの文化交流を例に出し、日本=マンガ・アニメ・ゲームのコンテンツ輸出国であり、そういう部分でのつながりを語って、日本人の情に訴える。日本人は理路を説くよりも、情に訴えたほうが心が動かされますしね。最初に日本とウクライナの距離の遠さを語り、こうやって文化的な近さ、情緒部分での近さを訴える対称構造。巧みさを気づかせない、自然な上手さという点で、演説のお手本のような巧みさです。

そして、国連の機能不全を訴える。ここらへんは、うまいなと思いましたね。ドイツへは直接の避難でしたが、日本での演説では日本への批判は避け、常任理事国の拒否権という存在についての批判。逆に言えば、ドイツには相当に腹に据えかねていたということでしょうし、こうやって硬軟を使い分ける。時代が英雄を作るのか、英雄が時代をつくるのか。短期間でしたたかで有能なリーダーに成長したなぁという印象です。

■戦後を見据えるゼ大統領■

逆に言えば、こういう人物が独裁に走ったりすると、危険ではあるのですが。ウクライナに関しては、中国にアドミラル・クズネツォフ級航空母艦ヴァリャーグを売り払ったりと、良い感情を持っていない人もいます。でもあれは、中国が軍事転用するとは言わず、中国本国で海上カジノとして使用する予定とペーパーカンパニーに嘘をつかせて、購入していますしね。承知の上での売買だったかもしれませんが、1997~98年の出来事ですからね。四半世紀前の話ですし。

ロシアの問題が今回の侵攻で炙り出され、親ロ派の右の国会議員や文化人、左の政党や文化人とまとめて問題が可視化されたのは、大きいですね。今回の演説、侵攻終了後の復興についても言及していますから、ロシアとの話が付く可能性を、間接的に匂わせているような。だとするなら、とても優れた政治家ですね。好き嫌いは別にして。日本としては、今はウクライナにベットするほうが有利。それとは別に、ロシアとの今後を睨んだ布石は必要ですが。

まさにコレですねえ。本当によく考えられている。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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