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日韓の意識差

◉シャインマスカットや紅はるかの韓国持ち出しの問題と、日本の種苗法改正の問題に絡めて、韓国の最大部数を誇る朝鮮日報が興味深い報道をしています。日本語版は時に、元記事の表現を和らげたり付け加えたり、場合によっては削除したりして、日本人や日本の読者に配慮しているのですが。本国の記者やデスクは韓国の読者しか見ていませんから、お構いなしに書き殴っちゃいますねぇ……。

【「シャインマスカットに続き、紅はるかも韓国に奪われた」と法改正した日本】朝鮮日報日本語版

 韓国と日本の「種子戦争」がついに本格化するのだろうか。韓国が保有する植物種子の資源規模が日本を超え、世界5位に浮上して4年がたち、日本が「韓国にこれ以上種子資源を奪われるのを阻止する」として、法改正を行うなど積極的に自国の種子資源保護に乗り出した。
(中略)
 日本はシャインマスカットの海外での品種出願に手をこまぬいていたため、登録期限の12年を過ぎ、韓国からロイヤルティー(使用料)を徴収する権利も失った。黄金色の果肉に高い糖度で知られ、韓国で「ハチミツサツマイモ」として有名な日本の「紅はるか」もシャインマスカットと同様の状況だ。

 ちょうど韓国は植物種子資源では日本を超える世界的大国となった。韓国農業振興庁によると、昨年7月現在で韓国が登録した植物資源件数は26万3690件で、米国(59万6031件)、インド(44万3921件)、中国(44万1041件)、ロシア(31万1000件)に次ぐ世界5位だ。日本は22万9000件で6位だった。

日本人の感覚だと、「日本人の研究者や農業試験場、農家の皆さんが苦労して開発した品種を、横からかっさらっておいて勝ち誇ってやがる。なぁに植物種子資源の世界的大国だ!」と、怒り心頭に発すでしょうけれど。誤解して欲しくないのは、自分は嫌韓ネット民のように、だから韓国は民度が低いとか、そういうことを言いたいわけではないのです。

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喜多野はネトウヨだとか、定義も曖昧なレッテルを貼られがちですが。例えば「韓国は三権分立がまだ定着していない人治国家」というのは、法制度に対する評価であって、近代法治国家としての評価軸内部での話。悪口に感じるのはコンプレックスの裏返し。でも民度とか道徳というのは感情の問題です。その違いは指摘できても、優劣は同じ道徳律の中でしか論じられないということです。ココが理解できないと、議論にならない訳で。

例えるなら「クジラを食べるのは野蛮だ」というのが批判ではなく、別の道徳律を持つ文化からの他文化へのエスノセントリズム、自文化優位主義であるのと同じです。こういう人はすぐ循環論法に陥るから、分かり易いです。「クジラを食べるのは悪だから悪だ」とか「韓国を批判するのは悪だから悪だ」とか「喜多野はネトウヨだからネトウヨだ」とか。

では、この種苗法に絡む問題は何が論点かと言えば、
・日本の作物に対する知的財産の認識は甘い
・さらに国民の知的財産への理解が自体浅い
・韓国を感情的に批判してもあまり益はない
・韓国とは文化が違うことを前提に付き合う

以上です。他にもあるでしょうけれど、ザックリと。

■批判は同じ系の中でのみ成立する■

韓国を批判してる人のけっこうな割合が、実際は韓国と日本を同一視し、日本の情緒的ルール内で批判してるんですよね。それって、「クジラを食べるのは悪だから悪だ」で日本を批判してる異文化と同じ。そっちはムカつくし、言われてイヤだというなら、己の欲せざること人に施すなかれ、です。倫理観などの文化が異なるのですから、そういう批判はただの情緒論、ほぼ無意味です。

確かに韓国は日本が苦労して開発した品種を、幾つも盗んでいますが、盗んだことを罰する法律にも国際的な条約にも対応していなかった日本の落ち度。残念ながら、盗んで罰せられない状況なら盗むのが韓国の文化──ではなく、国際標準なんですよね。渇すれど盗泉の水は飲まずとか、異文化から見たら盗泉だろうが麗泉だろうが、同じ水でしょって話です。飲んで差があるわけではないのです。

で、盗んだ品種を改良して、それをさらに自国オリジナルとして品種登録するのも、これまた国際的には合法なそうで。というか、盗んだ作物をただ韓国が栽培してるだけならまだしも、脅威ではないです。韓国自体は品種改良に余念がなく、それ登録数自体は3万5000件近くも日本を上回っているわけです。そんなライバルがいて、種を取った取られたは情緒の問題ではなく、産業スパイの攻防なのです。

■友好は対等の関係から生まれる■

そんな中、産業スパイを罰する法律がない・防ぐ法律が無い国は、まともですかという話です。そんなの信頼関係の問題だとか、仁義の問題だとか、道徳の問題だとか、民度の問題だとか言っても、そうだね信頼関係も仁義もなく道徳も民度も韓国は低いねと言っても、種の権利が国際的には認め直されるわけでもなく。批判してスッとはしても、実利はない。スッとするなとは言いませんが、そこで終わりじゃ、繰り返すだけでしょ。

信頼関係を韓国に裏切られたとかいいたい人は、あきまん先生のこのツイートはどうでしょう? 相手に必要以上の期待を掛けているから、裏切られたのなんのと騒ぐ。いや、韓国に期待なんかしていないというなら、なんに怒っているのか? けっきょく、日本人がクジラを食うのは不快だというのと同じ、情緒の問題にしかならないです。おまえは何に怒りたいんだ、と。

韓国の文化的には、相手を出し抜いたり、してやったりは良い文化という系に属しているのですから。それはもう、良い悪いではなく、そういう異文化。で、それを嫌って距離を取るのも自由。やれ友好だ交流だと、相手の文化を一方的に受け容れるべきだってのは、単に相手を見下し、大人の態度で許容すべきだという、歪んだ優越主義じゃないですか。ここは不快・ここは妥協できる・ここは無理と、すり合わせるのが本当の友好かと。

■無能な味方は有能な敵より危険■

残念ながら、日韓友好を口にする人間は、ここら辺で都合良く日本の贖罪意識を突いてマウントを取ってきたり、逆に卑屈になったり、鵺的な対応をすることが多いですね。で、韓国の「我が国は日本より道徳的優位性に立っている」とか「我が国は日本に文化を教えてやった」とか「中国が父で韓国が兄で日本が弟だ」とか、勝手な序列を押し付けてくるのを肯定しちゃうんですよね。

少なくとも、近代法治国家は対等の主権を有する国家が前提。現実にはそうではなくても。韓国に対しては、それはおかしいという点は、しつこく言い続けないと、ウソを事実にされちゃいますしね。これは別に韓国だけでなくすべての国に対しても同じ。同時に、アホンダラなことを口走る限界右派界隈にも、間違ったことを言ったら、指摘していかないと、広義のしばき隊界隈のようなダブスタに陥るわけで。

自分など、格闘技繋がり以外にも、昔から在日コリアンの知り合いは多い方ですし。彼らの情の厚さは、良く知っています。ただ、その情の厚さが公私の別や正義不正義を塗りつぶす党派性に陥るのも、良く知ってます。実際、広義のしばき隊界隈とかもう党派性だけで聖者の判断してるので、自家撞着のダブスタまみれでしょ? ああなっちゃ、かえって韓国への嫌悪感を増すだけ。背中に隠したナイフの意味を問わないことが友情だろうか?

■限界右派こそが迷惑な存在だ■

文化が違う国という点、韓国の事大主義や序列意識など、理解した上で付き合う。断交断交と連呼する連中には、自分は与しません。北朝鮮と断交していても、朝鮮総連は昔ほどではなくても相変わらずデモを繰り返し日本批判に余念がなく、台湾とも断交していても、関係は民間も国政も友好。園遊会で上皇后陛下が台湾人選手と結婚した卓球の愛ちゃんに台湾への謝意を伝えるほどに。そんなもんです。

断交という言葉に、何やら幻想を持ってるのが限界右派。断交したら在日韓国人を国外追放にでもできると思ってるのでしょうか? 現実には、殺人を含む重犯罪者ですら、ほぼ強制送還にできないんですから。それどころか、断交したら永住資格を持つオールドカマー以外の、ニューカマーの在日韓国人の犯罪者を強制送還や国外追放にできなくなりますが、それでいいんですかね?

自分はあんがい、限界右派の方々のほうが、激しいバトルや粘着をされてるんですよね。上のリンクの二人に、軍事ヲタさん、高須医院長など。まぁ、端から見れば右派の内ゲバに見えるかもしれませんが。むしろ限界右派の方が粘着質です。広義のしばき隊界隈とか、負けそうだとなるとすぐ逃げますから。限界右派が脳内でどんな妄想を描こうとも、自由ですが、それが現実と一致するか? 現実はそうじゃない。
どっとはらい


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