北朝鮮とコロナ禍と無責任独裁体制

◉今までコロナの感染がなかったとか、それ自体が普通に考えれば嘘の可能性が大ですからね。そもそも、コロナウィルス発祥の地である中国と地続きの国家で、関係も深く、国境を超えての密輸入が頻繁な国で、しかも医療体制は脆弱で、首都平壌と地方の格差が恐ろしく巨大な国で、情報は遮断されてる世襲独裁国家。たとえ強権で患者を隔離していても、蔓延防止は難しいですからね。ここに来ての発表も、その意図を勘ぐらざるを得ません。

【金正恩氏「建国以来の大動乱だ」…感染ペース急加速か、1日だけで北朝鮮全土17万人超が発熱】読売新聞

 【ソウル=豊浦潤一】朝鮮中央通信は14日、北朝鮮で新型コロナウイルスの感染が拡大していることに関連し、13日の1日だけで全国で17万4440人が発熱し、21人が死亡したと報じた。前日12日の発熱者は1万8000人、死者は6人で、感染のペースが急加速している模様だ。
(中略)
 国家非常防疫司令部は、「大部分の場合、科学的な治療方法をよく知らないことから、薬物の服用過多をはじめ、過失によって人命被害がもたらされた」と報告したという。人命被害の責任は、金正恩政権にはないことを示唆したものとみられる。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、初代独裁者様の銅像。元の写真が正方形なので、トリミングしたらこうなりました。

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■北朝鮮の苦境には裏がある■

北朝鮮が、国際社会にヘルプを言い出したことが、過去にもありました。それは、飢饉による飢餓が表面化した時。元々、大日本帝国は満州に隣接していたため、朝鮮半島北部へのインフラ投資に力を入れていました。発電所とか、そういう部分は特に。結果、第二次世界大戦が終わり半島が南北に分断された時、北朝鮮のほうが大日本帝国の遺産によって、当初は裕福でした。北朝鮮も60年代や70年代は、この点を強くアピールしていました。

ところが、朴正煕という傑物がクーデターで政権を握ると、アメリカからのベトナム戦争参戦などに伴う援助・日本からの日韓基本条約による円借款や技術供与・国民の出稼ぎなどによる外貨獲得を三本柱に、「漢江の奇跡」と呼ばれるほど、経済的に発展します。実際は奇跡でも何でもなく、日米による莫大な援助が大きかったんですが、それは本題ではないので。そして、北朝鮮は独裁体制のお決まりコースで、農業生産がうまくいかず、飢餓が繰り返し囁かれる状況に。

■人道支援は独裁政権延命■

結果的に、90年代に飢餓を逆に喧伝し、人道的援助を韓国や日本を始め、各国から引き出したのですが。けっきょくは、共産主義国での世襲という奇妙な軍事独裁国家の延命に、手を貸しただけでした。それで、金大中大統領はノーベル平和賞を受賞したのですが。今回の、突然のこのアナウンスも、何か良からぬ企みの上での、カミングアウトではないかと疑うのは当然です。それこそ、援助しても軍と平壌の上級国民に独占され、大衆には届かない危険性が高いですし。中抜して中国に売ったりしそうですしね。

確かに、悪いには金日成一族による世襲独裁であって、国民には罪がないのだから人道援助すべきという言い分は、一部理解はできますよ? でもその援助は、世襲軍事独裁国家を延命させるだけだというのは、もう結論は出ています。厳し言い方ですが、内部でハードランディングするかソフトランディングするまで、他国は見守るしかないです。もちろん、暴走して外に向かって暴発するかもしれないことを、計算に入れた上で、ですが。

■王の役目は責任を取ること■

そもそも、上の記事にもあるように、この世襲独裁国家の三代目将軍様、〝人命被害の責任は、金正恩政権にはないことを示唆したものとみられる。〟なんて、無責任極まりないことを言ってるわけで。世の中には、民主政が正しくて王政は間違ってる・古臭い制度と思う人もいますが。そんな間違った制度なら、人類の文明が9000年ほど前に起こってからほとんどの期間、王政を人類が採用してきたはずも無し。王政の利点をあげるなら、それは責任の所在の明確化。

フレイザーの古典的名著『金枝篇』には殺され王という概念が登場しますが。魏志倭人伝に登場する持衰という航海中の穢れを引き受ける役もこの殺され王に近く、政治の結果責任を王は問われ、殺される。カール・マルクスとか、絶対王権をモデルに王権を語っていますが、実際は王政というのは責任の所在が明確で、失政は死に直結するもの。軍事独裁国家において、王が責任を散らない、というのはあり得ないので。軍部がクーデターを起こすにしても、政権交代の御首みしるしとして必要。

もう、嘔吐しての責任も放棄したのですから、そんな人物が居座る限り、人道支援は無意味。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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