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縄文農耕の証拠発見

◉福岡県糟屋郡粕屋町にある江辻遺跡から出土した縄文土器に、アワの種が見つかったそうです。農耕=稲作のイメージが強いですが、実際は粟やヒエのほうが古くから栽培されています。弥生時代から農耕が始まった、と我々の時代は小学校で教えられてきたのですが。近年の研究で、縄文農耕の証拠はどんどん見つかっていて、ひょっとしたら将来的には、弥生時代という区分が消えてしまうか、あるいは縄文時代のけっこうな部分が、弥生時代に編入されてしまうのかもしれません。

【縄文土器から穀物の種 弥生いつから?議論波及も】産経新聞

 熊本大と北海道大の研究チームは10日までに、縄文時代末期の土器から稲やアワの種を多数発見し、縄文時代の穀物の存在を初めて科学的に立証したと明らかにした。稲作伝来により始まったとされる弥生時代の「定義の見直しにも波及し得る、重要な成果」としている。
(中略)
 さらに、炭化した種を取り出し炭素年代測定の手法で調べたところ、紀元前10~9世紀ごろのもので、弥生時代早期とされてきた時期から約50~80年さかのぼることが分かったという。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、三内丸山遺跡の写真だそうです。

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■縄文時代はあったのか?■

ウィキペディア先生によれば、弥生時代とは「紀元前10世紀または紀元前5世紀、紀元前4世紀頃から、紀元後3世紀中頃までにあたる時代の名称」ということになります。こういう記述になっているのは、元々は紀元前4世紀頃から紀元後3世紀中頃と言われていた弥生時代が、いや紀元前5世紀だいやいや紀元前10世紀だと、どんどん遡ってるからでしょうね。ただ農耕を重視するなら、三内丸山遺跡とか栗の木で実が大きいものを選んで植林しており、これも一種の農業かと。

ちなみに縄文時代は、「始期と終期とについては多くの議論があり、始期に関しては一般的に1万6000±850年前と考えられている。終期は概ね約3000年前 とされる(諸説あり)」という記述になっていますが。コレに関しても、岡山の遺跡から稲のプラントオパールが見つかっており、現在の浙江省下流域の漁労農耕民が稲作を伝えたという研究もあります。中国浙江省寧波市近郊の河姆渡遺跡では、約 7000年前にすでに稲作が行われていたことがわかっています。

■五穀豊穣の五穀とは?■

さてさて、一般に五穀豊穣という言葉が使われますが。一般には米・麦・粟・豆・キビまたは稗を言います。日本書紀では稲・麦・粟・稗・豆のことを指しますし、『孟子』では稲・黍・稷・麦・菽(豆類の総称)とされますし。実際問題として、中国では紀元前2700年頃には粟の栽培が行われていたとされます。4700年以上前ですから、3000年前の日本に伝わっていないほうが、おかしいでしょうね。寒い地方でも育つので、本来は米とは粟の意味だったという指摘も。

寒さに強い稗は、縄文時代前期から冷涼な北海道と東北地方で栽培されたことがわかっています。そうなると、農業の伝播は実は北からのルートもあったわけです。ハッキリ言えば、日本の学者の一部に、稲作の伝播の過剰な重視、もっと言えば稲作が半島経由で伝わったことに、異常に拘る人がいます。でも、自分はコレには疑問。地図を見ればわかりますが、浙江省の河姆渡遺跡(下記Google Mapの赤い点)から、北上して寒冷な朝鮮半島を経由して、稲作が伝播するのは無理があります。

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■環日本海貿易圏■

例えば長野県の和田峠の黒曜石とか、新潟県北部から日本海側の伊豆半島まで、1万年ほども昔から交易されていたことが解っています。また隠岐の黒曜石とか、海を渡ったウラジオストクやナホトカの1万8000年前の遺跡や朝鮮半島からも発見されていますから。伊豆諸島の神津島産出の黒曜石に至っては後期旧石器時代、つまり紀元前2万年の南関東の遺跡で発見されています。古代人はアクティブで、航海技術も陸路の交易も、普通にあったわけで。

新潟の糸魚川は翡翠の硬玉(翡翠輝石=ジェダイト)の産地。軟玉(ネフライト)は中国でも算出されるのですが、硬玉は日本とビルマのみ。縄文時代前期後葉の約7000年前には糸魚川から各地に交易品として翡翠が流通し、三内丸山遺跡や八丈島でも出土。卑弥呼が翡翠を献上した記録も残っています。農耕以前に、日本は黒曜石に翡翠に琥珀に真珠にと、貴石を算出する土地として、大陸との交易が活発だったんです。そりゃあ、粟や黍や稗の北方からの伝播も、普通にあったでしょう。

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というわけで、弥生時代の見直しが今後、どんどん進むでしょう。後期(4400年前 - 3200年前)や晩期(3200年前 - 2400年前)を別名弥生期なんて呼ぶ日が来そうです。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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