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『MANZEMI電子書籍版』発売

◉エイプリルフールのネタではなく。集英社から印刷書籍版が出てから11年ほど。ようやく『MANZEMI電子書籍版』の登場です。

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ヘッダーは書影より、

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■本を出すためのハードル■

この本自体は、この手の書籍としては、普通の売れ行きでしたが。集英社が期待するハードルには届かず。でも、いくつかの出版社からは、集英社の契約が満了したら、ウチで出しませんかとお誘いを受け。でも、思うところあってお断りしていました。まぁ、結果的にそれが別の本の企画に繋がり、部数的には初版をサクッと売り切り2版3版と重ね、Amazonのランキングでも何度か1位を取り。次の本の企画もサクッと決まりました。

餅は餅屋、やはり技術書を長年出してきた出版社は、ジャンルのブランド力や独自のノウハウや販路、データがあるのでしょう。これは医療系の出版社も、同じでしょうけれど。2011年当時はまだ、電子書籍がそこまで普及していませんでしたし。集英社……というか一ツ橋グループ全体が、電子書籍を軽視していましたからね。でもこの10年でスマートフォンが爆発的に普及し、一昨年2020年は電子書籍が出版業界の売上を、16年ぶりに記録更新するほどの存在に。

自分自身も、電子書籍発売を見据えて、いろいろと勉強してノウハウ蓄積。でも、決め手は電子書籍制作アプリLeMEとの出会いが決定的でした。Photoshop・Illustrator・InDesignの、AdobeのDTPアプリ三種の神器を使える自分としては、もうこのアプリさえあれば、データのビルドは簡単。電子書籍配信会社ナンバーナインさんとの出会いもあり、昨年実験的に出してもらった『祖母から聞いた不思議な話』が、Amazon電子書籍総合ランキングで31位に入る大健闘。

■電子書籍への期待■

講座のOBであるカメントツ先生の『こぐまのケーキ屋さん』もSNS発でヒットし、『赤信号わたるの漫画交差点』もAmazonランキングトップ100に入るヒットしと、電子書籍の人気は安定していますし。このnoteでも何度か書いているように、出版社・取次会社・書店の、強固な流通経路の独占状態が、電子書籍の出現によって、一気に変わってしまった。それどころか、Kindle Direct Publishingで、個人が本を出せる。

しかも、世界を相手に。実際、Amazon以外にもDMM同人やDLsiteなど、個人が本を出せますし。友人の故郷の離島のように、雑貨屋兼用で文房具屋を兼ねた本屋が8畳間ぐらいしかないど田舎でも、ほしいと思ったら、スマホですぐ買って読める。この手軽さとスピード感は、圧倒的。加えて、再販制度の外にあるため、定価で売れなくなった作品を、30%オフや50%オフ、時には90%オフなんて売り方も可能に。

さらに分冊版や単話販売など、従来の形式に囚われない柔軟な販売方法も取れますから。ここら辺は、いろんな出版社の手法など、自分なりに観察してみたり。そして、今回は無料お試し版と分冊版を同時に出してみる、というチャレンジに着手。読者は、内容がわかりきった作品のほうが、安心して購入するという特性から、内容的には無料なのに52ページもあるという、かなりサービスした内容です。

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■個人出版と編集ノウハウ■

あくまでも実験的、どちらかといえばノウハウを貯めるためのものですが。でも、そのためには色々な点を考慮して、データを取るに必要な要素も加えてみました。そのノウハウはここで明かすことはできませんが。誤解してる人も多いでしょうけれど、自分の本業はあくまでも編集者。本好きが昂じて、それを一生の仕事にしてしまった人間ですから。素人に印刷書籍や本屋の良さを説教をされる筋合いはございません。釈迦に説法はご遠慮くださいm(_ _)m

確かに、自分で同人誌を作って商業誌よりも儲けている漫画家は多数いらっしゃいます。しかし出版社に10年と2ヶ月勤務し、フリーランスとしてトータル30年ほど業界に関わって生きていますから。そこで蓄積されたノウハウは、作家の側からはなかなか見えづらくても、実は結構膨大なものがあります。文字組みや組版、デザイン、校閲、法務などなど。そういう部分でのノウハウも、将来的には作家の側に共有してもいいかなとは思っています。

ただそれを、作家が全部覚えきれるかと言うと、それは分かりません。アメリカのボクサーとマネージャーのように、分業した方が良いと自分は思います。そういう意味では、出版社の本当に優秀な編集者はサッカーを引き連れて独立し、小規模出版社がこれからどんどん増えるでしょう。出版社の編集者を抱えるリスクを減らし、同人誌や自費出版で売れて実績のある作家を起用する方向に、シフトしつつありますし。そういう意味では、自分のやってることは新しくはありません。

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本来はもっと早く動いておきたかったのですが、自分自身も色々とバタバタしていたので。でも個人的には色々と仕事を整理し、今年は本業の編集者としていろんな作品を世に送り出す仕事の方に、受信を半分ほど移そうかと思っております。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ