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海洋保護区と漁業

◉個人的には、欧米の自然保護や動物愛護には、とても疑問を持っているのですが。なにか、目先のことばかり見て大きなエコシステムを見ていないような自然保護で、かえってバランスを狂わせる。反捕鯨活動とかが典型例です。しかし、EUの共通漁業政策(CFP)とか、過剰な漁獲の防止による海洋資源の管理・保護や、漁業従事者の収入の確保、持続可能な海洋資源の開発に関しては、日本の農林水産省よりもよほど上手く運営しているという印象です。ビジネス的な意味でも、この海洋保護区という考えは、悪くないように思います。

【海洋保護区を設けたら漁業が潤う いったいなぜ?】日経新聞

メキシコ西岸沖の4つの火山島を囲む外洋では、サメやマンタが自由に泳ぎ回り、ザトウクジラが出産そして育児を行っている。300種を超える魚が生息し、そのうち36種はここでしか見つからない。すべての種が漁業から保護されている。
(中略)
つまり、「私たちは魚を保護しながら、同時に食べることもできるのです」と海洋生態学者のエンリック・サラ氏は話す。サラ氏はナショナル ジオグラフィック協会付き探検家で、2023年5月31日付で「Science Advances」に発表された研究論文の共著者でもある。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC164T70W3A610C2000000/

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、鎌倉の由比ヶ浜の写真だそうです。きれいですねぇ~。

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■ビジネスライクが大事■

環境保護という理念が先立つと、何か宗教じみるというか、狂信的な形になってしまうんですよね。でも、ビジネスとして持続可能な海洋資源の開発となると、そこは合理性が発揮されるわけで。将来の海洋資源を枯渇させない、という考えから逆算し、統計データなど科学的な根拠を元に、これぐらいの漁獲量なら資源は回復するが、このラインを超えると駄目とか、冷徹な計算が立つわけで。反捕鯨活動は、そこがスッポリ抜けていて、ろくに科学的データも出せず、まず反対ありきの宗教と化していましたから。

EUの漁業政策の中でも特徴的なのは、EU加盟国が、漁獲可能量(Total Allowable Catch=TAC)や、操業に関する規制をEUレベルで定めることに合意し、その権限をEUに委譲していることである。加盟各国の排他的経済水域(Exclusive Economic Zones=EEZ)は、EUの共通海域とされ、EU全体の枠組みとしてTACを定めることにより、適切な漁業資源管理を施すべく取り組んでいる。

https://eumag.jp/feature/b1012/

これができていない日本は、漁獲量が減ったからもっと獲らなきゃと、意味不明の方策を農林水産省が率先して許しているわけで。ひょっとして、漁業資源を枯渇させ、漁師を廃業させることで、族議員の影響力を削ろうって魂胆かと疑うほどです。日本でも、佐渡島の赤泊で、エビカゴ漁が個別漁獲割当(IQ)と呼ばれる資源管理方法で、成果を出しているのですから。でも、日本で海洋保護区を設けると、反社会的勢力の密漁の手段にされてしまうのか。意外と、漁業による裏経済って大きいんですよね。シラスウナギとか、アワビ・サザエ漁がそうですが。

■持続可能な漁業の方策■

海洋保護区に関しても、やはり悪影響が出るという主張はあって然るべきですが、それはちゃんと科学的なデータを揃えていくことが大事でしょう。地形や海流によっては、実際に悪影響が出る可能性もあるので、統計データ、それも長期のデータを取って研究することが大事。日本のように南北に長く、黒潮と親潮という海流の交わる地点では、食物連鎖は複雑にいる組んでいる部分があるでしょうし。30%の保護とか、そういう目標ありきに関しては疑問です。でも、現在のところは、悪くない成果のようです。

海洋保護区をつくると漁業に経済的な悪影響が出るという主張は、保護区を設定する際の一般的かつ効果的な障壁となっている。現在、世界の海の3%足らずしか完全に保護されておらず、2030年までに30%の海を保護するというグローバル・コミュニティー・イニシアチブの目標には遠く及ばない。

魚を減らすことなく獲り続けられる最大量をMSY(最大持続生産量)と余分だそうですが、日本はこれをずっと無視し続けて、気がつくと先進国の中で遅れた漁業管理の国に。1990年代から、欧州では取り組んでいたのに。繰り返しますが、自分は欧米の単純化された自然保護には、懐疑的な立場です。ですが、長いスパンでの利益を追求するが故に、シビアなデータ主義と科学主義のほうが、結果を出してる事実は、受け止めるべきでしょう。

■日本漁業の未来予想図■

漁業は不安定な商売で、豊漁の年もあれば、不漁の年もあり、そこは不安と繋がりやすい商売です。農業・林業・漁業・水産業、全部同じ。雇用的には大きくはないのですが、なくていいわけでもないので。これらの商売は将来的に、もっと就業人口が減ったら、安全保障の一環として、補助金でコントロールされる職業になるのかもしれません。ある意味で、準公務員化して、リスクを減らす形になる。現状でも、漁業は15.2万人ですから。10万人切ったら、そうなる可能性はありそうです。

「各国政府は、海域を保護すれば漁業に支障が出るという『誰もが感じる恐怖』を抱いている」とサラ氏は言う。しかし、海洋保護区はむしろ、周辺の漁場の健全性を高めるという証拠がある。卵を最も多く産むが、しばしば漁獲の対象となる大きなメスの避難場所になるためだ。

漁業は将来的には、要職がかなりのウェイトを占めるようになり、そうなると大企業のいち部門として、漁業部なんかが生まれる可能性。そうなれば、生活の安定度は上がるでしょうし。特に現在は、陸上型の養殖施設の可能性が、だいぶ見えてきましたしね。高級魚を中心に、そちらが充実すれば。個人的には、ウナギの完全養殖って可能性が高いと思いますし、それで生産量が豊富になれば、外国に売り込めばいいんですよね。外国人も、うなぎの蒲焼の旨さは認める所。シラスウナギの供給さえ安定すれば、寿司よりも外国に受けると思うので。

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