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ジャニーズ帝国の黄昏:滝沢秀明氏が新会社設立

◉ああ、これは典型的な「カリスマ創業者の亡き後、短期間で崩壊する組織」のパターンですね。平清盛亡き後の平家政権、源頼朝亡き後の鎌倉幕府、織田信長・豊臣秀吉亡き後の織豊政権を筆頭に、日本ではよくある話です。逆に言えば、ちゃんと生き残った組織というのは、早くに後継者を指名し、たとえ後継者が凡庸でも組織を維持できるシステム構築を、しっかりやっていたんですよね。その中には、血縁による相続を絶対視しない、という部分もあります。鎌倉幕府は皇族将軍を迎えて合議制で維持し、あるいは江戸幕府は官僚制度を整えて対処しました。

【〈タッキーが新会社設立〉キンプリを奪われたジャニー社長は滝沢に…4年前に始まっていた事実上の“事務所分裂”】文春オンライン

 3月21日、ジャニーズ事務所を退社した滝沢秀明氏(40)が、ツイッターの生配信で、会社「TOBE」を設立したことを明らかにした。配信では「僕はもう一度エンターテイメントの人生を歩もうと決意いたしました」と表明し、新人を募集して、アーティストをプロデュースする会社を立ち上げたと発表した。

 ジャニーズ事務所のタレントを巡っては、昨年11月4日、ジャニーズの5人組アイドルグループ・King & Princeから平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太の3人が翌年5月に脱退することが電撃発表。「話し合いを重ね、全員が『お互いの人生を尊重しよう』という考えで一致」し、発表に至ったというKing & Prince。その3日前に、退任を発表していたのが、副社長であった滝沢氏だったことから、ファンや関係者には衝撃が広がっていた。滝沢氏とジャニーズ事務所の間に何が起きていたのか。滝沢氏の引退劇をどこよりも詳細に報じた「週刊文春」の特集記事を特別に無料公開する(初出:週刊文春 2018年9月27日号 年齢・肩書きは公開時のまま)。

https://bunshun.jp/articles/-/61519

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、検索したら出てきたんですが、いいデザインですね。

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■老舗の生き残り戦略■

BBCのジャニー喜多川氏への批判とか、んなもん昔からあったのに、日本のマスコミはスルーしてきたわけで。追求していたのは、週刊文春に週刊新潮、東京スポーツぐらいでしょうか? ただ、同性愛者であったジャニー喜多川氏は、それゆえにタレントの才能を見抜く、目利きだったという部分もあります。かのBeatlesも、マネージャーに同性愛者のブライアン・エプスタイン氏がつくと、巧みに人間の無意識のリビドーを喚起するような戦略で、世界的なバンドにしたわけです。

それまでは、ただ立っていたアーティスト写真が、ホッペタをくっつけた構図になったり、マッシュルーム・カットにしたり。ゲイの人に受けるポイントは、ノンケとはズレてるんですが、でも人間の深層意識では通底する部分があるんですよね。だから、ゲイのファッションデザイナーとか、男性にも女性にも受けるモノをデザインできる。それは逆に言えば、ジャニー喜多川氏の名人芸、一代限りの目利き芸なんですよね。それが、親族だからといって継承できるかといえば、そんなこともなく。

日本は創業1000年を超える企業が複数ある、世界でも稀な老舗大国なんですが。そういうところは、以下のような特徴があるそうです。
 ・外部からの血を入れる
 ・本業を軸に新規事業にシフトする
 ・時代の変化に合わせることを厭わない

逆説的に、コレができていない企業は、「売り家と 唐様で書く 三代目」ということになります。ジャニーズ事務所の場合はどうでしょうか?

■藤島泰輔氏の後ろ盾■

外部からの血を入れるという点ではジャニーズ事務所も、滝沢秀明氏を後継者に指名したんですが……藤島ジュリー景子社長と、どうにも方針で折り合いがつかなかったようで。ここらへん、甥の豊臣秀次を後継者に指名しながら、秀頼誕生で狂気に走った豊臣秀吉を、彷彿とさせます。というか、目利きの最終判断をするジャニー喜多川氏や、圧倒的な権力を持っていたメリー藤島女帝がいたときはともかく、はたして藤島ジュリー景子社長にプロデューサーとしての才覚が、本当にあるのか? 

某老舗出版社も、三代目候補だった息子の営業成績を上げるために、彼の担当地域の書店の本を母親が買い漁って、成績を上げてたなんて噂話がありましたが。藤島ジュリー景子社長に、どこまで目利きの力があるかは、不明です。また、彼女の父親である藤島泰輔氏は、ポール・ボネ名義で知られる保守派の論客であり、また上皇陛下の学習院の御学友でもあり、長者番付で何度も名前が出るような、資産家でもありました。藤島氏の援助や政財界のつながりが、初期のジャニーズ事務所を影に日向に守っていた部分もあります。

しょせん日本は、人脈やコネの世界ですからね。でも、資金で支えた藤島泰輔氏が亡くなり、目利きで支えたジャニー喜多川氏が亡くなり、そして業界ににらみがきいたメリー藤島女帝も亡くなると、藤島ジュリー景子社長には後ろ盾はおらず。母親のような苛烈な性格だと、暴走するでしょうね。実際、SMAP解散から始まったタレントの相次ぐ退所は、加速こそすれ収まる気配はなく。このままだと、栄耀栄華を誇ったジャニーズ帝国も、瓦解でしょうね。藤島ジュリー景子社長に、参謀や懐刀はいるのか、そこはわかりませんが。

■御聖断なき帝国は…■

可能性があるとしたら、藤島ジュリー景子社長が飯島三智元役員に頭を下げ、代表権を譲る or 資本と経営を分離して、経営を任せるしかないでしょうね。江戸時代の商家とか、娘に有能な番頭を婿養子として迎え、資本と経営を分離していましたが、その手法。また一ツ橋グループの本体である小学館とか、子会社をバンバン作って、そこに優秀な編集者を社長にし、小回りがきく体制を作ったんですよね(まぁ、先代は集英社などと合一化しようと、悪手を打っていましたが)。大企業病に陥らないためには、そういう分社化って実は大事なんですよね。

でも、このまま帝国が崩壊するまで、御聖断はくだらないでしょうね。それが唯一できそうな立場であったジャニー喜多川氏さえ、生前のメリー藤島女帝の暴走を、抑えられていませんでしたし。そして、ジャニーズ事務所が力を失えば、飯島三智元役員の興した株式会社CULENに、飯島派のタレントが合流するでしょう。コチラは、田辺エージェンシーが後ろ盾に付いていますし。藤島ジュリー景子社長派のタレントも、彼女に人望がなければ、そのうち滝沢秀明氏の新会社に移籍して。櫛の歯が抜けるでしょう。

そうなったとき、木村拓哉氏はどうするのか? SMAP再結成になるのか、一匹狼として活動するのか? そこはわかりませんが。彼は彼で、ジャニーズ事務所に恩義を感じて、SMAP独立の動きに抗って、メリー藤島社長側に付いたのでしょうし。木村氏が頭を下げてきたとき、飯島社長の器が、試されるかも知れませんね。個人的には、彼は時代劇の適性がある(剣道経験者で正座姿が様になっており、殺陣もそこそこ、月代姿が似合うなど)ので、そっちの方の幅を広げて欲しいと、時代劇好きとしては期待してます。

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