幸楽苑V字回復の理由
◉近所に幸楽苑はないため、そんなに頻繁に利用するわけではないのですが。福しんとか幸楽苑とか日高屋は、安くてそこそこのレベルの食事ができる中華料理店、というイメージがあります。しかし先代社長の時代に赤字に転落し、社長が交代したのですが。新体制になって業績が回復したようです。デフレを脱却して、賃金アップの時代に外食産業はどうあるべきか、参考になりますね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、幸楽苑のラーメンです。
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■ブルーオーシャンは何処に■
詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。なるほど郊外のロードサイド店が主軸の店舗展開だったから、さほど郊外に出かけない自分が、あまり幸楽苑を見かけなかった理由ですね。逆に日高屋は、どこにでもある印象です。都心部の店舗は確かに利益率は高いのですが、東京の異常な地価と賃料をカバーできる企業は、そんなに多くないですからね。ここら辺の事業展開の基本的な戦略は、とても重要です。都心の方が儲かるという単純な戦略では、回復もおぼつかなかったでしょう。
郊外店の場合は、出店自体が容易ですし、土地代や賃料の圧迫が少ないですからね。かつて、ザ・グレート・サスケ選手がみちのくプロレスを立ち上げた時、数百人程度の客入りで大丈夫なのかと疑問を持ったライターが、その点を質問すると。地方の体育館や公民館を借りての興行なので、使用料金が5000円とか1万円で済むこともあるんだそうで。東京ドームや後楽園ホールの高額な使用料金を考えれば、確かにその使用料金なら2000円の客が100人でも、ペイできますからね。その経営戦略の目の付け所に、驚いたものです。1992年に旗揚げして、今も存続しているのですから。
■チョコレートラーメンの愚■
日本の場合は、怪しげなコンサルタント業が、効果も疑わしい方法論を経営者に吹き込み、迷走させることがしばしば起こります。経営なんて、そんな劇的な変化は難しく。地道な改善と工夫の積み重ねが、経営の王道なのですが……。幸楽苑は前社長時代、チョコレートラーメンなんて、馬鹿なことをやってたんですね。話題になればそれでいいという、馬鹿マーケティングの典型例ですね。郊外店が主軸のチェーン店に、そんなメニューで嬉々としてやってくる新規客が、リピーターとして定着するはずもなし。まさに目先の話題を追った結果。
地方の村興しイベントなどでも、東京のコンサル会社がやってきて補助金を食い物にし、何の成果も残せないどころか、ダメージさえ 与えることもしばしば。極端な話、これが都心中心の日高屋であったならば、チョコレートラーメンも多少は、成功した可能性はあるでしょう。セントラルキッチンでやるにしても、柔軟な対応が可能でしょうから。でも、郊外店が主力では、各店舗でチョコレートラーメンを用意するのは、負担でしかありませんからね。
どうにも、プロの漫画家になるにはpixivやTwitterやInstagramなどのSNSでのフォロワー数を増やしましょう系の、マーケティングと同じで。数だけ増やしても、質を考慮しないと無意味ですから。100円を払ってくれるファン10000人と、10000万円を払ってくれるファン100人では、同じ100万円の売上でも、その内実は大きく変わりますから。何が正解かではなく、どこにブルーオーシャンがあるのか、そこを見極めて、ニッチを見つけるのが大事であって。軽佻浮薄なコンサルに騙されない、そこが大事かと。
■デフレの呪縛を解き放つ時■
値上げをすれば客が離れる、だから値上げできないで、デフレのスパイラルに苦しみ続けた、平成の30年間。マスコミがまた、デフレの時代にインフレは悪という、江戸時代や戦後の狂乱物価の時代の価値観で、値上げを攻撃してきましたから。でも重要なのは、適度なインフレ状態の方が経済が回っているということ。値上げしたら売れなくなる商品に固執するのではなく、値上げしてもお客さんが納得するような商品に注力すること。何度も書いていますが、安いというのは絶対的な価値ではなく、相対的な価値でしかないです。
経営者に求められるのは、値上げによって離れる客と、そこで得られる利益を天秤にかけ、利益を優先する姿勢でしょう。かつて、Apple社のMacintoshが、シェアが低かった頃。経営コンサルタントは値段を下げてシェアを取りに行くべきだと、口を揃えていました。でも天才経営者スティーブ・ジョブズは、ポルシェやフェラーリのシェアはもっと低くても誰も気にしないと、値下げを拒み続けました。結果、安さが売りだったDellはシェアトップから転落。IBMはパソコン事業を中国に売却し、多くのパソコンメーカーが事業撤退しました。
Microsoft社は、Windows機に比べてMacはこんなに高いと、莫大な広告費をかけてネガティブ・キャンペーンを張りましたが。その結果、Macは高級機というブランドイメージが高まり、逆にパソコンショップでは利益率の高い高級機種が売れなくなる、なんて状況が生まれ青息吐息。そりゃあ、高級機種も低価格機も、同じ1ライセンスのMicrosoft社としては、50万円の高級機種 1台 よりも、5万円の低価格機 10台が売れた方が、儲かりますからね。でも、正しかったのはジョブズの経営戦略だったわけで。
そんなことを思い出しました。
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