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誤審について

ブラジリアン柔術で昨今、審判員の誤審がいろいろ話題になっておりますが誤審についての考えを述べたいと思います。

誤審について考えてみたら誤審の思い出というと海外の試合が最初です。

当時ブラジルで行われていたムンジアルだったと思うんですが一緒に遠征していたピュアブレッドの関口さんの試合。
ポイントをリードした状態での終盤。
セコンドの吉岡大さんがそのまま終わらせるためキープを指示し、試合がそのまま終了。
勝ったと思った瞬間、レフリーが得点係になんか言ってるなぁと思った瞬間にまさかの得点が逆になるというその名の通りの逆転負け。
吉岡さんの『負けてたらキープなんてさせなかった』が印象的な言葉でした。

同じパターンでいつかのパンナム、パラエストラ八王子の荻原くんの試合。
試合開始早々にテイクダウンでポイントを取ったのにまさかの相手にポイントだかアドバンテージだかが入る展開。
時間がまだあったのでお菓子を食べながらの得点係に間違いを伝えるも無視されたあげくお菓子をボリボリ。
試合はそれを取り返すために行ったところカウンターされて敗退。
吉岡さん『自分で取ったポイントを取り返すためにポイント取られましたね』

そんな吉岡さんもブラジルのムンジアルで試合開始早々に引き込みにタックルをあわされてテイクダウンを取られる。
これは誤審とかではなくまあ微妙なところだったのですが問題はそのあと。
相手はそのあとがっしり頭をつけて動く気配もなし。
ルール的には10人レフリーがいたら10人が膠着の反則なんだけどそのレフリーはなんにもしない。
衝撃だったのはレフリーに吉岡さんが抑えられながら指を指して「この人動かないよ」的なアピールをしたその時でした。
吉岡さんのアピールを見てレフリーが天井をゃそ見するという。。。
誤審というかもはやプロレスの阿部四郎並みにレフリーも敵だったパターン。

この話で思い出したのは中井祐樹先生の話。
試合して勝った時の相手選手が次の試合のレフリーだったという話。
誤審ではないのですが。

思うに誤審と言っても3つのパターンがあると思うんです。

ひとつ目はしっかり判定しているけど見る角度などから観客やセコンドなどの第三者との判断が違うパターン。

もう一つはレフリー自身が不勉強で細かいルールを知らないパターン。

最後は前出のように特定アカデミーや特定国籍に甘いレフリー。あんまり言いたくはないけど日本人には勝たせたくない的な悪意を感じるレフリーも海外にはいました。

3つ目に比べたらほかの2つなんてかわいいもんだと思いませんか?
そんな馬鹿なことあるわけないだろうと思われるかもしれないですがスポーツ界ではよくあることだと思います。

野球のWBCでもありましたね?


もちろん誤審はあってはならないことだと思います。
そして誤審がなくなることはないと思います。
ではどうしたら誤審がなくなるかについて考えてみました。

まずは試合に関わる登場人物の役割から。
選手=試合する人
レフリー=試合を判定する人
コーチ=試合で選手が勝つことを助ける人

選手は試合で勝つためにプレーします。
レフリーはそれをルールに基づいて判定します。
コーチの役割は選手を勝たせるために時間を伝えたりポイントを伝えて試合の流れを補助することです。

誤審問題がおこるのはレフリーが試合の判定をめぐり選手&コーチとの認識の差からおこるものです。

選手は試合のために自分の貴重な時間を削って頑張って練習し、安くないエントリー費を支払って試合会場のマットの上にいます。

そしてコーチの役割はそんな選手を試合で勝たせる補助をすることです。
間違った判定や怪しい判定をされた時に選手のために声を上げるのも勝たせてあげたい気持ちの現れですし、そんな選手が誤審で負けるのなんてとんでもない、その気持ちはわかります。

が、レフリーも人間。
人は間違いを犯す者です。
もしかしたらその勝利は誤審で勝てたのかもしれないし、その敗戦は誤審で負けたのかもしれない。

ここからは僕個人の話、道場論的なものになります。
僕はブラジリアン柔術で勝つためには技術、体力の練習のほかにルールを覚えることをすすめています。
ルールを知ることは出場する人ならだいたいはやっていると思います。
が、ルールを利用するところまで意識している人は少ないように感じます。
ルールを覚えているだけでなく勝利を引き寄せるためにルールを使いこなせるレベルを道場生には求めています。

そして僕自身、これまでレフリーをやっていないのでレフリーにはリスペクトするようになりました。
よくSNSなどで誤審動画をアップして批判するのを見かけます。
けどそれでまわりの同意を求めてなんになる?
レフリーをやる人がいなくなるだけだとは思わないのでしょうか?
レフリーがいなくなったら試合もなくなりますよ。

どうしたらいいでしょうか?
誤審が多いなら俺がレフリーやって変えてやるよというのならいいと思います。
間違えない自信のある人がレフリーをやれば誤審はなくなります。
踊る大捜査線の和久さんの言葉を思い出します。

それが出来ないなら安易な批判をするものではないと思います。

ではどうするか?
僕は自分の先生やコーチに相談して連盟に正式に質問するのがいいと思います。
誤審かな?と思ったらその動画を自分の先生を経由して連盟に伝えてもらいましょう。
連盟に質問して自分の間違いなのかレフリーの間違いなのかをはっきりさせて次に同じミスをしないようにした方がいいと思いませんか?
もしかしたらレフリーが正しくて自分が違う場合かもしれないですし、そうすることで自分の勉強にもなるからです。
だいたいすぐに返信をいただけます。
もし誤審だったとしても判定が変わることはまずありませんがそれでも選手、セコンド、レフリーすべての人が次につながると思います。

先日のアジア選手権での話。
アドバンテージ0-1 ペナルティ1-1で負けていたうちの選手が試合終盤に相手にペナルティが入りアドバンテージ1-1 ペナルティ1-2と逆転、試合終了しました。
逆転勝ちしたと思っていたらうちの選手は帯を結ぶのに勝ち名乗りの前にセーフティエリアを出てしまいました。

僕の中ではペナルティだと思っていたので勝ちましたがモヤモヤが残りました。
ちなみにこれがペナルティになるとアドバンテージ1-2 ペナルティ2-2で敗戦です。
しかし後日確認するとマットを降りないとペナルティではないとの回答をいただきました。
教えてもらってよかったです。
まあ自分は絶対セーフティエリア外には出ないけど笑

そりゃあ世の中には前出のようにアカデミーや国を判定に入れてくるしょうもないレフリーもいます。
これは本当に頭に来ますし、あってはならないことだと思います。

けど、安易な批判をするよりしっかりと事態を検証してレフリー育成に協力することが建設的な行いだと思います。

あとコーチとしてもう一つ、誤審をされないためにできることがあります。
選手にしっかりとルールを理解させることです。
選手がルールを理解してもレフリーが間違えていたら元も子もないじゃないか?と思いますがそうではなくて、しっかりとルールを理解していれば間違いやすい部分もみえてきます。

【君子危うき近寄らず】

例えば、相手がガードポジションなのかそうでないのかわからない時に下になる行為。
もしかしたらスイープを取られるかもしれないし取られないかもしれない。
自分の中では絶対にポイントを失うことはないと思っていてもレフリーによっては取るかもしれないと考えられれば、そんな時は下にならなければポイントを失うことはないわけです。

ルールを理解することで自分の判断が正しいかどうかではなくレフリーが自分と意見が割れそうだなと思う部分がわかるようになります。
こうした危なさそうな場面を避けることで誤審となりうる可能性を下げることができます。

誤審問題は誤審をするレフリーを責めるのではなく、選手、コーチも全体でルールの理解をしていくことで減らすことができると思います。

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