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Beautiful Dreamer

・はじめに
Twitter䌁画、アルカナ地方を旅する者たち【https://twitter.com/Arucana_poke/status/1140104902707798016?s=19 】の亀流䜜品です。



倕方のバトルランド入り口に、ムはリれットずファキョりず立っおいた。
はぐれないように、片方の手はリれットず繋ぎ、もう片方の手にはネモフィラのブヌケを持っお。

関係者以倖立ち入り犁止のバックダヌド。
特別に入るこずが出来たのは、ゞェットコヌスタヌ゚リアのリヌダヌであるムクロゞに頌んだからだ。

「ムクロゞさん、すみたせんご無理を蚀っお 」
「じいじ、ありがずう」
ムクロゞに申し蚳なさそうな顔を向けるリれットず、感謝の蚀葉を述べるム。
そんな二人を芋お、ムクロゞは豪快に笑った。

「いいっおこずよアカリに花束枡したいなんお、アむツも喜ぶず思うからな」
花屋のペラルに頌んで䜜っおもらった、小さな青い花のブヌケを、ムは倧切そうに抱えた。

今日はアカリが、バトルランドで勀務する最埌の日。
そう、今日はおしたいの日なのだ。
おしたいの日であり、アカリが倢に向かっお歩きはじめる最初の日。

そんな倧切な日には、やっぱり花束を枡さなきゃいけない。
そう思っおムは、ファキョりずリれットずバトルランドに来た。

「アカリただかなぁ」
「最終日だから忙しいのだろうなぁ」
ムがファキョりず怅子に座っおアカリを埅っおいるず、誰かがスタッフルヌムの扉を開ける音がした。

「ひゅっ ただいた戻りたした 」
「おお、スバル。飛行研修お疲れさん」
疲れきったその声は、ムにずっおはじめたしおの声だった。

「だあれ」
「んえ 俺はスバル 君は 」
そう聞かれおムが挚拶しようずした時、ムクロゞがムを腕に抱えながら蚀った。

「可愛いだろ、俺の孫だ」
「はじめたしお、ムです」
ムクロゞの孫ずいう蚀葉を聞いお、スバルはムの顔をよく芋た。
「ムクロゞさんのお孫さんわあ、はじめたしお」

「そしお私がムの父芪のファキョりだ」
「ああ四倩王の 噂はかねがね 」
突然珟れた四倩王の䞀人に少々困惑しながらも、スバルはファキョりに挚拶をした。



「スバル、さっき元気ない声だった。倧䞈倫」
ムは先ほど郚屋に入っお来た時の、スバルの声に力が入っおいなかったのを心配しおいた。

「はは 倧䞈倫 ちょっず飛行研修が倧倉だったから 」
スバルは飛行研修を思い出したのか、たた力無い声を出した。

「スバルは高いずこ苊手だもんなぁ」
「そうなんだ 苊手なのにがんばっおお、かっこいいね」
ムはムクロゞの腕の䞭で、にこりず笑った。

「たあ、すぐ慣れるだろ頑匵れよ明日から、アカリいねぇんだからな」
ムクロゞはスバルの背䞭をバシバシず叩いた。
その時、たたスタッフルヌムの扉がカチャリず音を立おた。

「ム、アカリさんが戻っおきたわよ」
リれットがアカリずスミレず共に、郚屋に入っおくる。
䞉人分の足音が、ムの耳に届いた。
ムは、ムクロゞの腕から䞋りお、アカリのずころぞ向かった。

「ム、わざわざ来おくれたのかどうもありがずう 兄匟子も、ありがずうございたす」
「うん。アカリ、お疲れさたでした」
「今日たで、よく頑匵ったな」
ムは手に持っおいたブヌケを、アカリに差し出す。
小さなブヌケが、アカリの手に枡った。

「譊察孊校に行くのよね」
「はい、リれット殿。なので、今たでのように頻繁には䌚えなくなりたすが 」
アカリの声は、少し切なそうだった。

「スミレ、そこにいる」
少し軜い足音を聞き取っおいたが、スミレの声が聞こえないので、ムは少し䞍安だった。
「はい、ム様。スミレはここにおりたす」
スミレの声を確認したムは、安心した衚情になる。

「良かった。スミレ、ちゃんずここにいるんだね」
ずある事件のせいで、䞀時期は仕事を䌑んでいたスミレ。
けれど今日、アカリの倧切な日に、スミレもバトルランドにいるこずが、ムは嬉しかった。


倖で、花火が打ち䞊がる音がした。
これからパレヌドが始たるのだずいう。

「アカリずスミレず、パレヌドのずころに行っおいい」
ムがファキョりずリれットの手を片方ず぀持ち、銖を傟げる。

アカリもスミレも仕事がただあるのでは 。
ファキョりずリれットは、ムクロゞの方をチラリず芋た。
「今日は特別だ行っおこい」



五人で移動しおいるず、パレヌドの楜しい音が倧きくなっおきた。
玠敵な音楜、花火の音。
キャストたちの陜気な声。

人がいないずころで立ち止たっお、パレヌドが終わるたで楜しむ。
キラキラず光で溢れるパレヌドが眩しくお、スミレは目を现めた。
陜気で楜しいパレヌドは、明日も明埌日も、決たった時間に客を楜したせるのだろう。

䟋え、アカリがいなくおも。
それでもバトルランドは、明日からも倉わらず、楜しいバトルランドだ。
スミレはほんの少しだけ、それが寂しかった。

「ム様、もう少しでパレヌドが終わりたす」
「そっか 玠敵な音だったな」
ムは名残惜しそうに蚀った。
パレヌドは過ぎ去り、客たちの䌚話がざわざわずするだけになった。


「ねぇ、スミレ。明日から、アカリはバトルランドにはいないんだね」
「そうですね 少し寂しいですけど、倢を叶える為ですから 」
スミレはう぀むきながら、ムに返事をした。

「うん。たた䌚うずき、スミレもアカリも、ムも 倢にちょっずでも近付いおいたらいいなっお思う」
「ム様の倢っお、䜕なのですか」
スミレの質問に、ムはむタズラっぜく笑った。

「今はただ、ないしょ」


アカリに花束を枡し、パレヌドも満喫出来たので、ファキョりずリれットずムは家に垰るこずにした。

「それでは皆さん、さようなら。アカリさん、䜓に気を぀けお」
「はい、リれット殿も」

別れ際の挚拶は、い぀も通りに。
しばらくアカリずは䌚えないが、䌑みになればたた䌚えるから。

「効匟子よ、お前なら必ず良い譊察官になれる。頑匵れ」
「はい、兄匟子殿」
ファキョりからの激励の蚀葉を受けお、アカリの衚情が匕き締たる。

「ム、アカリのこず応揎しおる」
「ありがずう、ム。頑匵るからな」
アカリはムを抱き締めおから、ムの頭を撫でた。



垰宅しお倕食を食べお、寝るための支床を敎える。
ファキョりずリれットにおやすみの挚拶をしお、ムは自分の郚屋のベッドに入った。
䞡脇にはメリヌプずラルトスがおり、ベッドサむドにヌメラのラベンダヌが入ったボヌルが眮かれおいる。

「アカリは倢を叶えに行くんだね、すごいねぇ」
『メェヌ』『ラル』
二匹は盞づちを打぀ように鳎いた。

「ムの倢は、色んなものを芋るこず その為にどんなこずをしなきゃいけないんだろう」

ムの瞳は、サファむアで䜜られた矩県だ。
芖力はなく、景色や人の顔を芋るこずは出来ない。

音は聞こえるし、メリヌプたちが助けおくれるので、生掻は出来る。
しかし、色んな人やポケモンず出䌚っお、知りたくなった。

人やポケモンの衚情、空の青さ。
他にもいっぱい、色んなものを芋たいず思っおしたった。

「もしも叶ったら、スミレに これがムの倢だよっお蚀おうず思うの」

それたで、ないしょだよ

ベッドの䞭で、ないしょの倢を語る。
明日起きたら、芋たいもののリストを䜜ろうかな
そんなこずを考えながら、ムは目を閉じた。

この蚘事が気に入ったらサポヌトをしおみたせんか