名古屋市営100周年記念 名古屋市電系統図の52年(2):運行系統の基本が定まるまで(1937〜1952)

1940〜1950年は戦中・戦後の混乱期であったためか、正確な系統が分かる資料が入手しづらく、推測の域を出ていない系統図が多いことをお詫びしておく。

1937(S12) (1)から再掲
1938(S13) 運転系統を27に整理、ひらがなの系統符号をアラビア数字に変更(12月)
(「市営三十年史」(名古屋市交通局, 1952)p.110を元に作成)
1939(S14) 運転系統改正(「名古屋市電の現状」(名古屋市電気局, 1939)を元に作成)
1940(S15) 上図は推測によるもの。「市営三十年史」p.117表-38からこの年は系統数26、最長系統長27.4km、平均16.2kmと読み取れる。5.28の笹島町〜六反小学校前と内田橋〜南陽通八丁目開業、内田橋〜南陽館前廃止を反映(3系統経路変更、6系統延長)した上で、27の系統があった前年から16系統が廃止されたものと推測した。なお、最長は尾頭橋〜築地口の17系統。
1941(S16) 上図も推測によるもの。「市営三十年史」p.117表-38からこの年は系統数19、最長22km、平均14.284kmであることが読み取れ、大曽根〜堀田、市役所〜築港、浄心〜千種、八事〜今池、浄心〜熱田の各系統の存在が推測できる。上記系統を含みつつ、前年の系統からいくつかの系統を除いて系統数と平均系統長を満足する組み合わせを推測した。運転系統改正は同表から5.16で、その後の12.30に西稲永〜稲永新田が開業し、15・16系統の経路が変更されたと推測。
「名古屋市電(上)」(服部重敬 著, RM LIBRARY 170, ネコ・パブリッシング, 2013)p.11表3によると、この年の改正から系統番号の番代が車庫ごとに変更されたので、1943年の系統図の番号を参考に推測した(一桁:池下、10番代:浄心、20番代:沢上、30番代:高辻、40番代:老松)。
1942(S17) 上図は前年の推測を踏襲し、「市営三十年史」p.117表-38にあった大曽根〜堀田を東尾大曽根〜堀田に変更(6.25)の記述を反映させたもの。
1943(S18) 運転系統改正、系統数19を22に変更(5.28)(「市営三十年史」p.117表-38より)。上図は「電車運転系統図」(名古屋市電気局, 1943.8)を元に、6.30時点を想定して作成。6系統はトロリーバス路線(5.10開業)。10・11系統は8の字運行する同一線上の順方向と逆方向であるため、線の両末端に別の数字を記した。
1943(S18) 新瑞橋〜笠寺西門開業(10.1)、運転系統改正、市役所前〜大津橋、千種駅前〜西裏運転休止(12.1)、系統は「市営五十年史」(名古屋市交通局, 1972)p.54による。上図は12.1時点を想定。系統番号は推測。

 「市営三十年史」p.118によると、1944.12.20、1945.4.28、1945.10.23にも運転系統を変更しているが、詳細は不明。1943.12.30に八熊通〜沢上町開業。1944年には高辻〜沢下町(3.1)〜金山橋開業(12.30)、矢場町〜千早町〜大久手廃止(7.2)、大曽根〜上飯田開業(7.11)、東橋〜六号地〜大江〜北頭〜笠寺駅前〜笠寺西門開業(7.31〜11.30)。1945年には浄心前〜柳橋と東片端〜鶴舞公園(3.27)、六号地〜大江が休止している(5.17)。
 1946〜1950の系統図は「市営三十年史」に拠る。系統番号は推測。

1946(S21) 運転系統改正、東片端〜鶴舞公園再開(4.1)、上図は4.1時点のもの
1947(S22) 運転系統改正, 浄心〜明道町再開, 西稲永〜稲永新田休止(8.5)
12系統(推測)が堺町経由から大津橋経由に経路変更
3月に安田運輸事務所が開設されたため、この系統改正で60・70番代が設定されたと推測
1947(S22) 運転系統再改正(9.3) 、10系統(推測)が熱田駅前まで、20系統が築港まで延長し、最盛期の姿に近づいている。名古屋駅前が始点の系統は、その時々の都合で始点が笹島町に変更になることが多いようだ。
1948(S23) 運転系統改正(8.20)、13・34・52系統(推測)新設
1949(S24) 清水口〜黒川開業(7.15), 運転系統改正(12.15)、40系統(推測)が再び環状に
1950(S25) トロリーバス 今池〜桜山町軌条化(10.14), 運転系統改正, 老松運輸事務所廃止(12.15)、これに伴い、40番代の系統番号廃止で40→3、41→14に変更(推測)
1951(S26) トロリーバス廃止(1.26)、運転系統改正により 「運行系統の基本が定まった」(「名古屋市電(上)」p.38より)(4.10)、系統図および系統番号は市営三十年史p.133表-40に拠る。36・37系統は常時系統として記載されているが、以降の資料でこれらの系統が常時系統として記載されているものは見つかっていない。両系統はそれぞれ30・32系統の一部(高辻〜堀田駅前を運行しない)であるため、各系統に重ねて表示した。
1952(S27) 系統図・系統番号は「市営三十年史」添付電車運転系統図(昭和27年3月現在)に拠る。六号地〜大江再開は5.3。

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(序)
(1):1922〜1937
(3):1952〜1974

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