今の東京の地下鉄路線図を昔の様式で描いてみる(その1)

東京の地下鉄は路線が多く、複雑に入り組んでいて碁盤の目状になってないので、見るのも描くのも最高に楽しい。

これまでの東京の地下鉄路線図で最も美しかったのは、1970年代後半から1990年代前半まで使用されていた営団の路線図だと思う(営団は東京メトロの前身「帝都高速度交通営団」のこと:念のため)。

東京地下鉄v80s -1988

上の図は1988年の路線図を模写したもの。基本的に全ての線が縦横と斜め45°の線で描かれており、角には丸みが付いている。各路線はそれぞれ必要最低限の箇所で折れており、できる限り直線で表現することでスッキリ整理されている。

例えば、銀座線が北上するところでは、実際は神田駅のところで山手線の外側から内側へ入っていくが、山手線の方を斜めに描くことで日本橋を出て折れたところから上野の手前までを直線で表現。日比谷線は人形町を出て南下するところで斜めになり、築地を出て北東へ折れる。これは実際の路線と一致しているリアルな線。さらに銀座・日比谷を出てまた斜めに折れて、こちらも斜めに折れた丸ノ内線・千代田線と再会する。斜めに上がった丸ノ内線はそのまま新宿まで真っ直ぐ伸びる。並行する有楽町線も市ヶ谷まで真っ直ぐ。複雑に絡み合う複数の路線がスッキリ整理されている。複雑なのにリアルさとシンプルさを兼ね備えた美しい路線図である。

オークションサイトなどを探すと、B7サイズの紙やB5サイズの下敷き、あるいはメトロカードにこのタイプの路線図が描かれたものを見つけることができる。自分が見つけられたもので一番新しいものは、メトロカードに描かれた1996年の路線図。

東京地下鉄v80s -1996

上の図はメトロカードに描かれたものそのままではなく、先に掲げた1988年の路線図をベースに加筆したもの(メトロカードの路線図はB7版より横長になっており、例えば有楽町線は池袋から真っ直ぐ西へ伸びていたが、B7版では少し上に上がっているので、上図のような描き方にした)。これ以降は別のタイプの路線図(東西線が一直線に描かれたタイプ)に置き換わっていったものと思われる。この翌年には大江戸線(当時の呼称は都営12号線)が新宿駅まで延伸し、2000年には三田線・南北線の目黒駅までの延伸と、大江戸線の全通があり、元の形を生かしたままでの加筆修正が難しくなってきたのだろう。

例えば、三田線は三田駅を出て目黒駅へ向かうが、上の路線図では三田駅で浅草線に対して垂直に入っており、そこから目黒駅へ行くにはスイッチバックのような形になってしまう。大江戸線も中野坂上から新宿までの間に2駅設ける必要があるが、京王線が邪魔をしている。大幅に修正するのなら全く新しいタイプのものに置き換えた方がいいという判断だったと推測する。

しかし、個人的にはもったいないと思ってしまう。路線図を眺めていると、丸の内線と有楽町線の間が少し空いている。このスペースには丁度南北線を追加することができる。四ツ谷を出て丸ノ内線と並行に進んで永田町を通り、国会議事堂の手前で折れて銀座線と交わる、下図の様なルートが見えてくる。

東京地下鉄v80s -1996+

これを見つけたら「このままでもよかったのではないか」と思えてきて、このまま続きを描くことができないか試してみたくなってきた(その2に続く)。

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