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ショートショート

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シロクマ文芸部に参加して書いたショートショートや、単発で書いたショートショートです。 ※ すべてフィクション ※ ジャンルはごちゃまぜ ※ 一話完結です。ショートショート同士の繋…
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【目次】 ショートショート 【マガジン】

ショートショートのマガジンを作りました。 ここは目次のようなものです。随時更新していきます。 ◎ すべてフィクションです。 ◎ ジャンルはごちゃまぜです。 ◎ 1話完結です。ショートショート同士の繋がりはありません。 ◎ 年齢指定になるような極端な描写はありません。 順番通りに読むも良し、気になるタイトル、お題から読むもよし、ランダムにえいやっと読むも良し。 好きなように楽しんでもらえたらいいなと思います。 ▶ シロクマ文芸部 企画参加ショートショート▶ 2023年

香りの思い出 #シロクマ文芸部

 秋桜が揺れている。  秋桜を見ると、僕はどうしたって思い出さずにはいられない。   * * * 「秋桜の香りを知ってる?」  ひとりきりで泣いていたら、突然声をかけられて驚いた。  小学校に入る前。家族で遊びに行った公園で、みんなとはぐれてしまったのだ。  パパやママに会えない、もう帰れない。  泣きながら歩いていた時だった。  驚いて顔を上げると涙もひっこんだ。  見ると、僕よりも少し大きいくらいの女の子。  シパシパと瞬きすれば、まつげに残っていた涙がひとつだ

走るか、走らないか、その先にあるのは #シロクマ文芸部

 走らない選択肢は俺にはない。  だが同時に、走るという選択肢もない。  正反対の事象が成立するなんてありえないと思うだろう?  そうでもないんだ。  走らなければならない、でも走るわけにはいかない。  俺の心を読んでいるひとがいるなら、この気持ちがわかるだろうか。  走るか、走らないか。  心を読んでいるひとよ、君ならどっちを選ぶ?  ……誰が俺の心を読んでいるというのだ。  むしろ読まないでくれ、頼む。  俺はただ、トイレに行きたいだけなんだ。  今、すぐに