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春の夢には終わりがない。 目が覚めてもまだ夢の中にいるみたいに。 ずっとぽかぽかとしていて、どこかふわふわとしている。 朝になってベッドから起き上がって、朝ご飯を食べて、学校へ行く。 授業を受けて、友だちと笑って、家に帰る。 ご飯を食べて、お風呂に入って、ベッドに入る。 そうしてまた朝になって、ベッドから抜け出す。 窓の外は澄んだ青。 太陽の光はキラキラと新緑を照らしている。 同じような毎日でも、春はずっと夢の中にいるみたいだ。 今までこんなにも
花吹雪が舞い散る道を通勤できるとは思ってもいなかった。 就活で訪れたときはもちろん、引っ越してきたときにも花はついていなかった。 それが、こんなにも綺麗な桜並木だったなんて。 春の強い風に乗って花びらがあちこちに舞う。 それは雑然としているようで、けれどとても幻想的で美しい。現実世界とは切り離されていると錯覚しそうだ。 桜はすぐにでも散ってしまうだろう。 残されたわずかな桜を惜しむように、心なしかゆっくりと歩を進める。 学生のときに友だちと見た桜とは少し
風車は穏やかに、しかし力強くその羽根を回し続けている。 風車の前には一体の像があった。風車に手を伸ばす姿をしている。その像は時の経過を映し出してはいたが、その細工の精緻さは疑いようがなかった。 隠れた農村に立つ堅牢な風車。ひっそりとした村に似つかわしくなくも見える。 その風車を観光に使えないかと考えた僕は、土地開発の交渉のためにこの村を訪れた。ただ、どうやってこの村にたどり着いたのかは今ではひどく曖昧だ。 交渉はうまくいかなかった。 あの風車には不思議な力が