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[修行日記⑪] 接茶寮(せっちゃりょう)①

 大庫院での修行は約六ヶ月続き、一度衆寮に戻りました。そして次に配属されたのは「接茶寮」
 接茶寮の仕事はわかりやすく言えば「永平寺のホテルマン」です。
 永平寺は事前に予約さえすれば一泊二食(精進料理)付きで宿泊する事ができます(参籠という)。旅館ではないのでのんびりとくつろぐことはできませんが凛とした空気に包まれて食事をし、講話・坐禅等を体験することができます。翌朝は80名を超える修行僧がお経を読む朝課を参拝し焼香していただきますが参籠者の方々はこの体験が特に印象に残っているようでした。終了後は小食(朝食)を食べてお帰りいただきます。このように参籠者をお迎えし無事にお見送りをするまで、少々厳しい規則に沿ってお世話をすることが接茶寮の仕事と言えます。
 永平寺は行ってみたいけど階段が多いから拝観は無理・・・と断念される方が多いと聞きます。現在はバリアフリー化が進んでいて車椅子で拝観できるエリアが広がっているようです。ただ傾斜地の建物ですのでスロープも若干きついかもしれません。介助者同伴のほうが良いでしょう。事前に問い合わせをすればなおスムーズに拝観できると思います。
 先日、久しぶりに永平寺へ伺いましたが安居当時と変わらない空気感と香りに包まれ一瞬で記憶がよみがえってきました。大本山永平寺は自分にとって特別な場所なのだと改めて感じさせられました。
 三月には北陸新幹線が敦賀まで開通し福井県へも足を延ばしやすくなります。ご先祖様のご供養、観光で永平寺を訪れてみてはいかがでしょうか。
(第十二回に続く)

本山での規則、指導内容は当時のものです。


大庫院前にて撮影したもの

齊藤崇広
平成2年新庄市生まれ。曹洞宗大本山永平寺での修行を経て、現在は横浜の寳袋寺で納所中。

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