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線香花火が落ちる時。
身体に響く振動。人混み。騒がしい屋台。
私はずっと、打ち上げ花火が嫌いだった。
ー
風呂上がりに大砲みたいな音がして驚く。
今日はどこかで花火大会が開催されているようだった。
マンションの廊下に出てみると、ベストポジション。
誰も居ない特等席。
あの大砲みたいな音をここ数年聞いていなかったから
花火大会が開催されるのも久しぶりだろう。
ちょっとだけ見てみることにした。
ー
歳を重ねて物事に感慨深くなったからせいか。
久しぶり花火はとても綺麗で儚くて
時間を忘れるくらい見惚れてしまった。
一瞬で消えてしまうから、いい。
一瞬一瞬を見逃さないように時間を大切にできるから、いい。
終りがあるから花火はいい。
ー
私は終りに希望を感じている。
終りがあるから今を大切にできる。
永遠なんてないから今が愛おしい。
…何事にもね。
そう、ネガティブすぎてポジティブなのだ。
遅かれ早かれ。いずれ勝手にやって来る終りに希望を抱いている。
私にもいつか終りが来るだろうから
その時は線香花火の落ちる一瞬を見守るように
見守ってくれる誰かがひとり居ていたらうれしい。
そんなことを想い、部屋に帰る。
暗くて気が付かなかったが、とんでもなく蚊にさされていた。
…やっぱり打ち上げ花火なんかだいっきらいだ。
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