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そして、私も運ばれる

それは突然に。

朝一番に、麦茶を飲む。
数分後、排便痛とは違う違和感の腹痛に見舞われた。トイレで排便は出来たが、一向に腹痛は治まらない。ベッドで横になるが痛みは増す一方。
もう一度、トイレに行くのが胃を掴まれるような激しい痛みと、吐き気。

麦茶にあたった。。。
と思いながら、冷や汗、吐き気が止まらない。
激しい痛みで朦朧とする中、我慢できるレベルの痛みではないこと、手のかかる子供2人と旦那がいる土曜日の現状、色々なことを瞬時に計算して、

「救急車呼んで!」
と旦那に伝える。

旦那は、朝から妻のいきなりの有様に戸惑う。
あたふたせんと、早よ救急車や!
と心の中で思って、言葉に怒気をはらんで再度、救急車を要求する私。

トイレに座っているのもやっとで、
トイレから出てすぐの玄関で、2つ折れになって横たわる。腹痛は際限なく押し寄せて、いっそ気を失ってしまいたいと思うが、そうもいかない。

先日、舅の為に救急車を手配をした人間が、この有様。ミイラ取りがミイラになる。

救急隊が駆けつける前に、旦那に財布と保険証を用意する指示を出す。
あっという間に、救急隊が到着。

財布と保険証とスマホをカバンに入れて、
バスタオル1枚を手に、フラフラの足取りでストレッチャーまで歩く。

2歳の娘の泣き声が、聞こえた。



救急車に運ばれるストレッチャーの上は、眩しい太陽が照りつけて、目も開けられない。
そして、思いの外、救急車が遠く、ストレッチャーに乗っている時間が長かった。

救急車の中では、舅がそうであったように、
バイタル(血圧とSPO2)と問診、触診。
腹痛で、冷静に答えつつ、
「痛い、痛い、痛いーーーーー」
と叫び、体を捩らせる。


あっという間に病院に着くが、
痛みは簡単に治まらない。


さらなる問診、触診。
便意を訴え、車イスでトイレへ。
排便出来ても、今度は座ってる事が辛い。
そして、腹痛はとめどなく続く。
痛みの波が引いたほんの僅かの間に、トイレから脱出。近くの待合ソファに転がり込む。

看護師さんに発見されて、
MRIの検査へ。車イスはまさに超特急。
次は、レントゲン室に行くが、また便意のため、トイレに行く。
そして、今度は嘔吐。
看護師さんの瞬時の機転の良さで、エチケット袋を手渡される。

また、車イス超特急でレントゲン室に行くが、立つことが出来ず、立位でのレントゲンは諦めて、臥床でのレントゲン撮影。

車イス超特急で、処置室に戻り、
MRIとレントゲンの結果は問題なく、
当初、麦茶にあたったと思われたが、それも違うとのこと。

五苓散の漢方を処方されて一口飲み込むが、
数分後に嘔吐。
先生いわく、胃に少しでも入れば体内に吸収されるから、嘔吐しても大丈夫だそうで、
飲んで
吐いて
痛みで悶える
繰り返す。
悶えて動きすぎて、看護師さんが
「暴れて危ないから、採血と点滴はまだ出来ない」と言う。
冷静で懸命な判断だと思う。


そして、
やっと落ち着いてきて、
「今ならいけます」
と宣言して、採血と点滴をしてもらう。



やっと目を閉じて、体を捩ることなく、
横たわることができた。


病名は特にないが、
夏風邪、暑気あたり
らしい。

麦茶が胃に入ったのが、引き金だったとはと思うが、原因物質ではないそうだ。
冷静に考えて、傷んだような味はしていなかったと思い出す。

盲腸の可能もあるので1日入院して、
造影検査をして詳しく調べるか、
このまま状態が落ち着いたら帰るか、
と聞かれて、
迷うことなく
「帰ります」
と伝える。

家族を呼ぶかと聞かれて
「子供が居るので、タクシーで1人で帰ります」
と答えていると、事務の方が旦那から電話がかかってると電話を代わってもらい、
回復したこととタクシーで1人で帰ることを伝えて、電話をきる。

処方薬の説明を聞き、
「すみませんでした」
と何度も平謝りをした。

持参した鞄を渡してもらい、スマホからタクシーアプリでタクシーを手配した。

つい数十分前まで、スマホを見ることはおろか、まともに横たわることも出来ず、悶え苦しんでいたなんて。


先生と看護師にお世話になったお礼と、
大のおとなが、腹痛で大暴れしたことをお詫びして、お会計へ。


しめて、16,000円也。

元気があれば目でも飛び出していたが、
そんな元気もなく、淡々と
「カード使えますか」
と聞き、カード決算を済ませてタクシーへ。


家では、旦那と子供達が待っていてくれた。

その後、激しい腹痛には見舞われなかったが、多少の腹痛はあり体調を鑑みて、
翌日の帰省とお墓参りをキャンセルした。


そんな、お盆を過ごした。




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