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娘が生まれた1年と1日前のこと

今日は1年前(+1日前。日付越えてしまった…)に
娘が生まれた時のことを書き留めていたのでまとめる。
生々しい表現があります。

2020年4月10日。
新型コロナウィルスが猛威を振るいはじめ、初めての緊急事態宣言が出た直後。
私は里帰り出産のため、地元に帰省していた。

23:30 破水

寝ようと思った時、突然の破水。
一気に寝巻きがびしゃびしゃになったので一瞬でこれだ!と理解した。
産婦人科に直行し、そのまま入院になる。

出産の痛みの話をたくさん見聞きしていたので私はかなり怯えていた。
けど、このときの痛みはちょっと重い生理痛っぽい感覚。
あれ、意外と大丈夫かも。

そう思ったのはこの時まで…。

4月11日 AM1:00 ずしんと痛む

子宮口2cm。程なく少しずつ痛みが強くなる。
我慢できなくはないが、5分おきくらいにずしんとお腹が痛むので寝られない…。
そのまま朝を迎えてしまった。

AM6:00 眠れないまま朝に

このとき子宮口4cm。
いい陣痛がきていて、経過は順調ですと助産師さん。
終わりが見えなくてただただ不安だったが、
産むために必要な痛みだと気をしっかり持とうとする。

AM8:00 それでも食べたい

こんな状態でも食べたい欲求はある。
ひじき。魚。白米。温泉卵。味噌汁。ヨーグルト。美味しそうって感じる。人間ってすごい。
陣痛の痛みの合間に朝食を流し込む。ガツガツ食べて陣痛来てうずくまる、の繰り返し。忙しい。


AM9:00 いつまで続くかわからない

子宮口8cm。
痛みといきみたい感覚がまじでつらい。時計が全然進まない…。
先が見えなくてどうしようもなくなる。いきみのがし(鼻から吸う、口から吐く)がうまくできなずに、口呼吸になり息が荒くなる。

振り返ってみて一番つらかったのはこれだった。
はっきり言ってしまえば、
お通じを半日くらいずーーーっと我慢しつづけている感じ。

母や夫、助産師さんの労りや励ましはとてもありがい…けど感謝を表現する余裕がない。
うまく反応できなくて水…とか暑い…とか最低限の要望しかいえない。羊水なのか出血なのかわからないけど、何かドバドバ漏れてる。でもそんなの気にしてられない。

AM11:00 限界

子宮口9cm。
同じ姿勢でいると足の付け根が圧迫されるのがつらいので体の向きを変えたり、赤ちゃんが出てきやすくなるように四つん這いになってひたすら耐える。
背中から腰をさすってもらうと辛さが紛れてよかった。かなり強めにしてもらうのがコツ。

口呼吸で息があがると赤ちゃんも苦しいから鼻で吸ってね、と言われるが、そんなこと言われてもうまくいかないんだよ、ごめん娘。焦る。必死。

つらい。まだですか…。早く踏ん張りたい。。
体をよじって、唸って、情けない姿を晒している。どう見られてるのかとかよぎるけど、それどころじゃない。

PM0:00 分娩室にはいるも…

分娩室に入る。ようやく!!やっといきめる…と思ったが、ふんばる力が足りない。なんでこんな肝心なときに…。
7、8回は試しただろうか。睡眠朝食がしっかりとれていない中、お産が長引き体力が限界だったよう。

うまくできないのが本当に苦しい。
もう勘弁してくれとか考えてしまい、生まれる前から母親失格だなって自己嫌悪と諦めの気持ちに陥りそうになる。体も心もぼろぼろ。


PM1:30 最終手段

周りが切羽詰まっているのがわかる。バタバタと次の手次の手を打たれている。
注射をされ、会陰切開(会陰を切って分娩をスムーズにする処置)されるんだなとわかる。
麻酔をうって、いきんだ時にさっと切られたけど必死で何も感じなかった。手際がめちゃいいな、、とかぼんやり思う。

そしてとうとう吸引器が出てきた。
(これでうまくいかないかったら、帝王切開は別の病院に搬送されることになっていた)
私はそのとき機材を見る余裕がなかったが、夫いわく「掃除機的なすごそうなやつ」だったそうだ。
「これでほんとに最後と思っていきんでください」と言われる。うまくいかなかったらどうしよう、、力尽きてかけてた気持ちに焦りと火がつく…ふんばる…まだふんばる…

ぱーーーん、となにかはじけた。


PM1:53 誕生

産まれた!!産声。血。女の子ですよ!早く足開いて!わーーっっと周りが動く。呆然。放心。うぶごえ。夫がへその緒を切る。安堵。
子供を初めてお腹に乗せて抱かせてくれる。初乳あげる。
今までの辛さはこの子の痛みでもあったんだと思う
お互いおつかれさま。。

小さい、けど、大きい!ちゃんと人間。
自分の体の中からこの子が出てきたとは思えない…不思議すぎる。

ケース越しに見る彼女は手足をゆっくり動かして、目をキョロキョロさせながらまわりを観察している(見えてはないと思う)
どういう気持ちなんだろう。
とても愛おしい生きもの!ようこそ外の世界へ。

————

ふりかえって。

自分で産んだというより周りにはちゃめちゃにサポートされたお産だった。
それから1年経って、誕生日をお祝いした。
言葉はまだ出ないけど感情表現がとても豊かになった。

両親から「生まれてきてくれてありがとう」と言われるたびに大げさな…と思っていたが、
親って生まれた瞬間から子どもを見てきた、子ども自身より前から子どもを知ってる人なんだ、というのを肌感覚で理解した今日だった。



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