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行く年 来る年          (4人目のバーテンダースタイル)

あるところで

「よわったなああ」

「どうしたのじゃ」

「あっ」
つぶやいた者がひれ伏した
 
「かまわぬ 来年はおぬしの番じゃの」

「ええ その宴に用意しておりました神社が大改修でして・・・どうしたものかと・・・」

「そうであったか よし まかせておけ よいところを知っておる」

「とんでもございませぬ そのようなことで御手を煩わせるわけには・・・」

「かまわん かまわん どじゃ わしらの仲間も参加してかまわぬか そだな あのかたにも声をかけよう」

「おそれ多いことを・・・でもありがたき幸せでございまする」
※彼らの世界で『あの方』という場合、『あの方』以外にいないのである
 
 
 
 
 
 
店の電話が鳴った
古老のバーテンダーが受話器をとった
年明け早々、パーティーの予約だ
ゲストを含めかっきり20名の貸切り
 
途中電話の相手が変わり打ち合わせが始まった
 
乾杯はマウントフジ・カクテルで、あとは飲みたいカクテルがマシンガンのようにまくし立てられた

ビールは恵比寿限定だそうだ
 
 
「おーい レシピ事典もってきてくれぇ~」
古老のバーテンダーは受話器を置いて叫んだ
年内に仕入れの手配をしなくてはならない
 
魅惑担当のバーテンダーは、なにげにリストを見た
 
 
 
二度見した
 
 
「オールジャパン?」
 
オーダーリストを三度見しながら
「どこの人達?いいセンスしてんじゃん」
ニヤリと笑った 
 
 
「なんでも ワンダースアニマルズとセブンハッピーズとかいう なんだ サークルみたいなもんかねえ なんでもメインゲストはスイートライトとかの女性会長でミカミさんとか 「お」を付けてたから偉い人なんじゃないかねえ」
 
「ナンジャそりゃ  族じゃねえの?」
若手のバーテンダーがブルッた 
 
 
「そこそこ 年配だったよ  声が」
 
 
 
  
 
黙って聞いていた、かのバーテンダーが一人
ふんどしの紐を締めなおしていた・・・・・・少し気が早い
 
 
まっ とりあえず ハッキリしたのは
来年年もこの店は、ビジー&ハッピーということだ



have fun


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