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コロネーションと117

先日の事です
いつものお客様がいて
  
   
当店では『常連様』は存在しません
というか、それらしい対応をしません
勿論、初めてのお客様か、よくおいでくださるお客様かはわかります
でも、少しお話しして、皆さんご自分の世界に入っていかれます
癒しやら後悔やら決断やら・・・・いろいろだと思います
  
  
話しを戻しますが
初めてのお客様でした
お若い女性です
  
「いらっしゃいませ どうぞこちらへ」
御歳を尋ねたくなるほどお若い方でした
 
 
「何かお決まりですか」

「いえ でもちょっとだけ時間をください あと2分くらい」

「どなたかと、お待ち合わせですか」

「あと2分くらいで 20歳になるんです私」

「そうでしたか おめでとうございます ではその瞬間に 当店から一杯さしあげましょう」
「ほんと? 嬉しいです お願いします」
  
   
すると
するとですよ
その時居合わせた野郎ども(ごめんあそばせ^^)が一斉に、携帯をいじり始め
・・・午後23時58分40秒をお知らせします・・・・午後23時58分50秒をお知らせします・・・
スピーカーモードで3人の女性が時の刻みを告げ始めたんです
  
  
私は 笑いをこらえながら

「0時ちょうどですか?」

「0時1分だって母から聞いています」

「では なんとか間に合わせましょう」

私は大急ぎで人数分のグラスを並べ
ミキシンググラスに氷を滑り込ませました
 
・・・午前0時40秒をお知らせします・・・午前0時50秒をお知らせします・・・・
・・・午前0時1分ちょどをお知らせします・・・・・

「お誕生日おめでとうございます コロネーションでございます」

「今宵のナイトの皆様もどうぞ」
  
  
「おめでと」

「ハッピーバースデー 」

「成人おめでとうございます」
  
「ありがとうございます なんだか照れくさい コロネーション?」

「はい 戴冠式 という意味のカクテルでございます」
 
柔らかい時間が流れて
そしてまた静まりました
これがきっかけでワイワイ盛り上がらないのが、当店のお客様たちの素晴らしいところです
  
  
気遣いつつも踏み込まない
『かっこいいなあ』
と思ってしまうのでした
  
たまにはこんなこともあるのです
おっさんばっかり(ごめんあそばせ^^)のBARですが・・・・


have fun


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