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Rabbit's Eye Red Ruby

ラビットアイルビー。その名の通りウサギの目のような赤いルビーのこと。昨日国際宝飾展で聞いてきたお話です。

ルビーの最高峰カラー、”ビジョンブラッド”までいかない、もう少し明るめのカラーやピンキッシュな色合いを、新たに《ラビットアイレッド》と名付けてブランディングしていこう、という、GIT が昨年末にリリースした試みだそう。ちなみに GIT とは The Gem and Jewelry Institute of Thailand 、タイ国立宝石研究所のことです。

要は、鑑別で ”ピジョンブラッド落ち” するルビーも、ブランド価値をつけて売っていこうということだと思うのですが、私個人も含めて若い世代にはそちらの色の方が好まれそうですし、”鳩の血” という残酷なネーミングよりも"ウサギの目" の方が可愛くていいんじゃないかと、ウサギ好きとしては思ってしまいました。

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写真は実際GITの方が持ってきてくれていたラビットアイの基準となるマスターピース。上段がモゴックの加熱、下段がモザンビークの加熱だそう。ちなみにこういったマスターピースというのはとても重要で、なぜなら国が違えば光の色味も違うので、例えば赤道に近いタイで買ったルビーが北よりの日本ではちょっと暗く見えたりするのです。これは欧米バイヤーのタイ仕入れ失敗アルアル。でも実物があればどの土地でもそのマスターと比べて同じ色だと断定できるわけですね。

私がバンコクで宝石の勉強していた時の先生がコランダムとスピネルのディーラーで、ルビーを主に扱うなら合成石でも良いからマスターをつくっておくと良いよと言われました。私はそういう仕入れはしないですけどね。

さて話を戻してピジョンブラッドが何かを知らない方のために補足しておくと、ルビーの中でも最高品質とされるのが ”鳩の血” のように鮮やかな赤色で、 ピジョンブラッドレッドと鑑別書に書かれているだけで値段は桁が変わります。これは主にミャンマー、モゴック産のものを指していて、その他に色が濃いめのビーフブラッド(主にタイ産)や、チェリーピンク (主にスリランカ産) という呼び名もあります。

元々は色味だけでなく産地やその他の品質の含めて、良質のルビーにつけられる称号みたいなものだったんだと思いますが、昨今はアフリカからも綺麗なルビーが採れるようになったので、鑑別機関によっては産地に関わらず色だけでその呼び名をつけるところも。世の中に浸透するかわかりませんが、ここにいずれはラビットアイレッドも追加されるのでしょうか。ラビットアイというネーミングは、宝石の町であるチャンタブリー県のシンボルがウサギであることにも由来するそうです。

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こういった品質に関するブランディングは専門知識のない一般の方達にとっては、一つのわかりやすい判断基準になりますね。でも私個人の感覚としては宝飾品としての価値や価格が、ほんの少しの色の差だけでひっくり返るっておかしな話だといつも思っていました。

例えば目の前に美しい深紅のルビーがあったとして、それが自分の感性に響いて目を奪った、聞けばそれを世の中ではピジョンブラッドと呼ぶらしい、ということなら良いのです。でも、鑑別書にピジョンブラッドレッドと書いてある、だからこれは美しいんだという判断が私は好きではありません。品質の保証でありブランド力=信頼ですが、自分の中に判断軸があってこそ、それを選ぶ価値があると思うのです。

ものを売る場合、こちらが提案するブランド価値を疑問も持たず受け入れて買ってくれるのが一番簡単です。でも私はそれに対していつもうーん...って思ってしまう。だから私は商売に向いていない 笑。

私はMOEMI SUGIMURA という活動を通して、お客様それぞれの価値観や美的感覚も自分と一緒にアップデートされていくことが理想です。それはジュエリーや宝石に限らず、結果的には人に流されないことだったり、自分に自信がつくことだったり、あるいは多様性を受け入れて人を思いやれることだったり、私のジュエリーがそういうことに綱がっていくヒントやきっかけになれば良いなと思っているからです。

本質に目を向けるというのは、まず疑問を持つこと、問いかけること。今回のIJTはタイの方が講演するということで聞きに行ったのですが、ラビットアイ以外にも色々とヒントを得られたりして充実の1日になりました。

余談、会場で配られたノベルティーがタイ感満載で思わず笑ってしまった。久々に聞くタイ語になんだか癒されました。

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息子をおいて初めての長時間外出。IJTでの滞在時間は4時間だけ、分刻みで用事を済ませ、お昼は味わうことなくスタバで済ませ、トイレで搾乳をして。運良くばったり前職の同期に会えたり、新米ママの初外仕事としては上出来だったかな。帰って息子の顔を見てどっと安堵感が押し寄せてきました。ちょっとずつ慣れていきます。次回の長時間外出は新幹線で名古屋へ!名古屋近郊の皆様良いお知らせがありますよ〜お楽しみに!


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