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読む前に、コップ1杯の水をご用意ください。

 人間の身体の多くは水で構成されているらしい。何割だったかは忘れた。6割だっけ。
 そして、そのうちのたった5%ほどが失われると「脱水症状」として体調に支障を来し始め、10%が失われると命に関わる。らしい。
 私は医学に明るいわけではないため聞きかじった知識ではあるのだが、とにかく水が失われるとまずいということはわかった。その証拠に、数々の健康法にも「水」が出てくることがある。白湯を飲みましょうだとか、1日に1.5~2リットルの水を飲みましょうだとか。
 一応毎日の食事にも水分は含まれているため、厳密に2リットル飲めば良いわけではないらしいが、とにかく水は飲んだ方が体には良いらしい。
 たしかに、水分が失われるとろくなことが無さそうだ、というのは身を持って感じたことがある。

 私は学生時代、野球場でアルバイトをしていた。宮城球場、当時はたしかKoboパーク宮城とかコボスタとか呼ばれていたはずだ。今は楽天モバイルパーク宮城というらしい。
 友人に誘われたのがきっかけで面接を受け、採用となった。仕事内容としては各応援グッズを販売することで、応援に使うバットやら7回裏や楽天イーグルスが買ったときに飛ばすジェット風船なんかを売っていた。
 その売り方というのも、駅弁を売るあのアレ(名前がわからない)みたいに首から箱を下げ、その中にいっぱいにグッズを詰め込み、観客席を練り歩くというものだ。
 野球好きの方ならご存知だろうが、宮城の球場はドームではない。そのため、夏のデーゲームのときなんかは大変だ。ギラギラと研ぎ澄まされたガラス片のように輝く陽光が降り注ぎ、それをモロに喰らうことになる。しかも、大声で「応援グッズ販売していまーす!」とか叫びながら、時には座席横の階段を登り降りする。ちなみにグッズの入った箱は結構重い。というか箱自体が結構頑丈に作られているため、箱だけでも結構重い。
 ああもう、そりゃあもう。
 貧弱な燃え滓は早々にへばりました。
 へばっただけなら良かったのだが、くらくらと目眩がして、頭もガンガンと痛くなってきた。明るい陽光は目の奥を突くようで、視界がちかちかと白飛びしたかと思えが、すっと暗くなるを繰り返す。
 言うまでもない。熱中症である。
 まだ判断能力の鈍っていなかった頭は、バイトの先輩や社員に散々言われていた「体調がおかしい、と思ったら日陰に行くように」という言葉を思い出し、私は球場のコンコースに設置されているグッズ販売のブースにふらふらとした足取りで助けを求めた。その時ブースでレジを担当していた年上の女性はひと目で私の様子がおかしいということに気付いたらしく、血相を変えて私を座らせたのだった。

 私はあの時、いったいどのくらいの時間練り歩いていたのか。ちょっとわかっていないが、たしか私は「次、回が変わったら休憩しよう」と思っていたと思う。しかしその時は試合展開がそこそこ遅めで、休憩のタイミングを逃していた。
 当然、飲み物は手元にない。飲み物を飲むのは休憩時のみで、休憩は先程言ったコンコースのブースで行うため、飲み物はそこに置いてきてしまった。
 たぶん、1時間くらいは飲み物をほとんど飲まずにいたのではないか。それもあって、熱中症になってしまったのだろう。貧弱なくせに無理をしたものだ、と、今の私は思う。
 元々インドア派で、あまり外に出ない私が熱中症になったのは、あの1回くらいだろう。その1回だけで済ませたいものだ。

 それから随分経った。もうあそこでアルバイトをしていたのは10年も前になるらしい。
 令和になった今、夏はどんどんと暑さを増している。親戚の子供が、「暑すぎてプールの授業がほとんどない」とぼやいていたのを聞いて驚いた。昔は「寒すぎて」だったのに、今となっては「暑すぎて」プールの授業が中止になるらしい。
 宮城は幸い、比較的涼しい地方のため30~33度ほどの日がほとんどだが、東京やもっと西の地方に住む友人は「今日は36度ある」「夜でも30度あるよ」とぼやいている。
 暑さが命に関わるレベルになってきた。人類が「生きやすくなるように」と作り上げてきたテクノロジーと世界は、緩やかに人類を締め付けていたのだと実感する。まるで、真綿で首を絞め上げるように。
 夏になると、救急車の音をよく聞くようになった。回数が明らかに多いような気がしている。統計等を調べたわけではないから想像でしかないのだが、熱中症で運ばれているのではないかと思う。
 流石に私も病院沙汰は避けたい。そう思って、最近水を飲むことを意識し始めた。


 こんなアプリが存在する。iPhone標準アプリであるヘルスケアと連携させることもできるアプリで、飲んだ水の量を記録するというものだ。
 私は面倒くさがりなので、いちいち「えっと、今飲んだ水の量はコップ1杯分で、このコップにはこのくらいの水が入ってるから200……っと」という風に数字を計算して打ち込むのは嫌だ。
 しかしこのアプリなら問題ない。予め「家のコップは200ml、いつも持ってるマイボトルは500ml」と登録しておけばそのボタンを押すだけでその量が記録されるのである。超便利。


 しかもこんな風に目標を設定することができ、無事達成できるとこんな感じで褒めてくれる。ちなみにどんなに少ない量でも水を飲めば「その調子!」と励ましてくれる。
 それに、こんな風に目標までの量を数字だけでなく視覚的にわかりやすい形で表示してくれるため、「あとちょっとだ……!」感がわかりやすい。
 非常におすすめです。ぜひどうぞ(案件もらってるわけではないです)

 令和の夏は暑い。命に関わるでレベルで。
 一番最適なのは、エアコンで適切な気温に保たれた室内にいることだが、そうもいかない場合もあるだろう。
 それに、エアコンを効かせた部屋というのも乾燥しやすい。「涼しい場所にいるから大丈夫」といって脱水症状に陥る人もいるらしいと聞いた。
 今年も暑い。とっても暑い。命を守るためにも、そして、健康な体を手に入れるためにも、水は欠かせない。
 これを読んだ貴方も、少し水を飲むことを意識してみてはどうだろうか。まずはコップ1杯、このnoteを閉じる前に、水を飲もう。

 ちなみに人間の体はコップ1杯程度、数字にすると200mlから250mlしか1度に水分を吸収できないそうだ。それ以上飲んでも吸収されず排出されてしまうらしい。
 飲むときはこまめに飲もう。

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