どんな役割にも価値があると、思えたならいいのに
朝6時に起きて父と弟と3人分のお弁当を作り、自転車を漕いで高校へ行って朝補習から7限目まで授業。そこから部活で7時過ぎに帰宅し、家族の食器を洗って宿題やって寝て……
そんな生活を繰り返していた高校時代。
今思えばしんどい日もあったのだろうけど、言えなかった。というか、学校に行かせてもらっておいて、そんな贅沢なこと言えないと思っていた。
私が高校生のあのときなりにどんなにしんどかろうと、お父さんの方がしんどいに決まっている。お金を稼ぐ人の方が偉いに決まっている。
そう思っていないと、何かが崩れてしまいそうだった。
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会社員になって、配属されたのは広報。ある日「営業が稼いだお金で、君は給料を貰えているんだ」というようなことを言われたときは、本当にショックだった。
家の中で、稼いでいない自分は立場が弱いと思っていた。
でもやっと働くようになったのに、日々一生懸命なのに、会社の中でも私は稼げない、弱い立場の人間なの……?
お金を作れる人は、本当にすごいと思う。
その収益で会社は成り立っているし、従業員に給料が払える。その仕組みは理解しているし、感謝もしている。私に営業はできないと思うから。
だけどやっぱり、お金だけが人生のすべてだとは思えなくて。
家庭でも働く人がいて、それを支える人がいて、ムードメーカーがいて、おいしいごはんを作る人がいて、そうやってみんなで日々を生きているように。
すべての役割にきっと意味があって、優劣はなくて……そうじゃなきゃ苦しい。そこに存在すること自体が。
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私はどうしても誰かにお金を使わせることには抵抗があるし、人の心を柔らかくすることに関心が傾いている。組織で働くのならば、表に出てお客さんと接するよりも、その役割の人たちを支える方が力を発揮できる。
そして、直接お金を作れない仕事にも、大切な役割があると信じている。
だから苦しいんだなぁ。
お金を作ることだけが価値だと言われてしまうと。
どんな仕事をしていても、していなくても、そんな一人ひとりがいてこの世界は回っている。どんな人も何かしらのエネルギーを生み出していて、この世界は動いている。
どんな役割にも価値があると、思えたならいいのに。
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