オーボエをはじめたきっかけ
今でこそ、メイン楽器としてとても大事に思っているオーボエですが、もともと不思議なきっかけではじめた楽器でした。オーボエの音色が大好きだから、どうしてもやりたい!なんていう理由ではじめたわけでは、まったくなかったのです。
トランペットで大会に出たかった
中学に入学して、吹奏楽部に入りました。選んだ楽器は、実はトランペット。見た目のカッコよさが決め手でした。それまで両親の影響でピアノやアコーディオンを習っていましたが、当時は親に反発してしまう年頃だったので、自分で楽器を選んではじめたい、という思いが強かったのです。
しかしたった数ヶ月の経験で、夏の吹奏楽コンクールに出られるわけもなく、中1の夏は打楽器を担当することになりました。来年こそは絶対に自分の選んだ楽器でコンクールに出たい、と強く思って、それからトランペットの練習に打ち込みました。
ただ、どういうことが原因だったのか今ではわかりませんが、私はトランペットとの相性がすこぶる悪かったのです。もしかしたらコンプレックスに思っている受け口のせいで、口の形がうまく作れなかったのかもしれません。何をしてもまったく進歩しないのです。あまりに上手にならないので、部活の時間もみんなと合奏することが許されず、ひとりで別室で基礎練習をしなければならないぐらいでした。
それでも中2の夏こそは、トランペットで出られるはずでした。3番トランペットに席をもらい、合奏練習にもようやく参加していました。それが、大会の一ヶ月前に、打楽器の部員がひとり、退部してしまったのです。その穴を埋められるのは私しかいないようでした。急に、私が大太鼓を叩くことに決まってしまいました。
その夏は、自宅に帰って毎晩泣いていました。そのときに母が、「人生に無駄な経験はないよ」と言ってなぐさめてくれていました。今でもたまにその言葉を思い出します。
ダブルリードのパートに入りたかったのは
大会が終わり、金管楽器も打楽器ももうこれ以上やりたくない気持ちになっていました。そこで、木管楽器にパートを替えよう、と思いました。
ただ、フルートやクラリネットなど、たくさん部員がいるパートだと、厳しく指導してくるタイプの先輩も多いので、それは自分に向いていない気がしました。ダブルリードの楽器であるオーボエやファゴットならば、吹奏楽にそこまで人数はいないので、マイペースにできると思ったのです。それでオーボエかファゴット、と希望を出しました。結果、中2の秋に、私が手にしたのはオーボエでした。
オーボエの練習が楽しかった理由
オーボエをはじめて、とにかく練習がめちゃくちゃ楽しかったです。というのも、もともとピアノやアコーディオンで演奏の楽しさを知っていたのに、不向きだったトランペットを吹くことでそれが長い間抑圧されていた、というのが大きな原因だったのだと思います。好きな音が好きなように出せる気がして、すごくテンションが上がりました。
はじめて数週間で、オーボエで音大に行けたらいいなあと、漠然と思っていた記憶があります。そのぐらい、楽しかったのでしょう。そんなわけで、非常に不純な動機ではじめたオーボエでしたが、自分にはとても合っているように感じられました。
その後、中高の大先輩でもある恩師と出会い、レッスンを受けてすくすくと成長するわけですが、それはまた別の話。
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