「泣き声」
どうしてもと駄々をこねる
あなたの大きな声に
追い詰められ
責められているような気がして
割れんばかりの
声を上げてしまう
するとあなたも
割れんばかりに泣き叫び
いっそう大きく空気が震える
そのたびに
わたしのこころが粉々になる
剥がれるようにばらばらになる
いつもなら
あなたを抱きあげ
なだめられるのに
砕けたわたしは飛び散って
かけらを集めることもできず
ただ立ち尽くす
散らばるかけらに
かまうことなく
あなたは泣きながら走り寄り
力強く
わたしに抱きつく
粉々になった
わたしに抱きつく
砕けたかけらは
拾えないまま
泣き声と溶けていき
わたしはあなたに腕をまわす
まだ響いている泣き声が
かけら全部を震わせて
未知のわたしの輪郭を
涙のなかから洗い出す
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