「おかえり」

家に帰ってくると息子は
大きな声で元気よく
「ただいま」じゃなくて
「おかえり」っていう

ふたつ年下の妹が
「ただいま」というその隣で
少し、にやにやしながら
「おかえり」っていう

彼らを「おかえり」と出迎えながら
そうだよな、とふと思う

わたしの方が帰ってきたのだ
ちいさなきみの目の前に
世界の方が帰ってきたのだ
すべてが新しく見えるきみの前に
だからわたしが
きみの世界に言う「ただいま」

いつだって
「おかえり、この目の前の世界」

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