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弟が教えてくれた3つのこと

①人によって感覚は違う
②人によって得意不得意は違う
③人はみんな、それぞれの悩みを抱えて生きている

弟は私を
人間として成長させてくれた。
.
.
.
彼は学習障害(LD)をかかえている。
見た目は普通だし、
言動も普通である。

いっけん、
「障害」と名のつくものとは
無縁に見える1人の人間。

しかし、
彼の頭の中はとっても複雑。

例えば、計算。

とくに
高校生ぐらいまでは
お金の計算が苦手だった。

品物の合計金額。
これは、まだ大丈夫。

問題はお釣り。
80円切手を買いたいだけなのに
なぜか、彼は

100円玉
500円玉
千円札
五千円札には

一切、見向きもせず
自信満々に「1万円札」を差し出す。

うん、間違ってはいない。
間違ってないよ。君は。
お釣りもちゃんともらってるし。

彼に買い物を頼んだら
普通では考えられないほどの
小銭を生み出してくれる。

小銭が足りなくて困っている
飲食店の店長がいたら
きっと大喜びすると思う。

あと、何かを
暗記したりするのも苦手だし
ハプニングも苦手。

さらに
脳内のブレーカーも簡単に落ちる。

そんなだから
正直、彼の思考スタイルを
理解するまでにすごく時間がかかった。

彼が中学生
私が高校生

この頃ぐらいかな、、、
少しずつ理解できるようになってきたのは、、、

いや、、、ちがうな。
正直、今でも理解しきれてない。
だって、感覚が全然ちがうし。

でも、彼には彼の
思考スタイルや判断の理由がある
そのことを受け入れて
話を聞けるようにはなってきた。

家族だけど
そこに至るまで
10年以上かかった。

だからこそ、
他人に彼のことを理解してもらうのは
本当に難しい。

その結果
彼はたくさんの苦労を経験した。

はじめてのアルバイトは
隣町の居酒屋。

採用の連絡をもらったときは
本当に嬉しそうだった。

しかし、出勤が重なるに連れて
バイトに行くときの表情が
引きつるようになってきた。

うまくできなくて
落ち込んでるのかな?

「はじめは、大変やと思うけど
 少しずつなれるやろうから!
 応援してんで!」

家族の誰も気づいて
あげられなかった。

バイトに行くたび
店長から暴言をはかれ
皿を投げつけられ
サラダボールを投げられ
ペットボトルを投げられる。

きっと店長は、
弟が「なぜ、できないか」
まったく分からなかったんだと思う。

この経験が理由で
彼は飲食店の仕事が怖くなった。

それならばと
次は弟が大好きな動物の仕事を!!

ということで
近所のペットショップへ。

履歴書にもちゃんと
学習障害であることを記載。

結果は見事採用!!

しかし、
これも長くは続けられなかった。

ある日弟が
自分の学習障害について
少し話をしたら

突然、契約の打ち切りを
提案された。

なぜか。

弟が教えてくれた
店長の言葉はとても
ショッキングでたくさんのことを
考えさせられる一言だった。

「お前は、障害者なのに
 そのことを隠していたのか?
 働きたいからって、俺を騙したのか!」

履歴書には、たしかに
「学習障害です」と記載したはずじゃ、、、

弟が言うには
履歴書とは別に店舗で
提出した書類があったそうだ。

その書類の欄に
「障害がありますか?」という
欄があったのだが、
彼は「いいえ」と答えた。

隠したかったから?
黙っておきたかったから?

ちがう。

彼は、学習障害が
「障害」だと思っていなかった。

もっと具体的にいうと
《障害=体の障害》

学習障害➡︎体の障害じゃない
体の障害じゃない➡︎障害じゃない

これは家族だから理解を示せるけど
赤の他人の店長にはちょっと難しい。

結果、弟は大好きな
ペットショップをやめなければ
ならなくなった。

居酒屋での出来事も
ペットショップでの出来事も
誰が悪いわけでもないと思う。

でも、どちらの店長も
弟に対してすごく攻撃的だった。

その理由は、きっと
《自分が理解できない=不快》
だったからなんじゃないだろうか、、、

たとえ、イラついたり
ムカついたりすることがあっても

目の前の人には、
その人なりの何か理由が
あるのかもしれない。

そんなふうに思えたら
世界は優しくなるんじゃないだろうか、、、

わかんないけど。
これも私個人の意見にしか過ぎないし。

でも、私はこの考えに
気づかせてくれた弟に感謝してる。

仕事で困った人と出会っても
何か嫌なことがあったのかな?
感情のコントロールが苦手なのかな?
悩みがあるのかな?

相手の背景に
想いをはせる努力を
意識してできるようになった。
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【弟が教えてくれた3つのこと】

①人によって感覚は違う
②人によって得意不得意は違う
③人はみんな、それぞれの悩みを抱えて生きている

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ちなみに、弟は今
「正社員で働かないか?」

と声をかけてくれた
昔からの知り合いである
社長さんのもとで元気に働いている。

手を差し伸べてもらえる
応援してもらえる
それってここまで嬉しいものなんだな。

私も誰かを応援する人間になろう。
誰かに手を差し伸べられる人間になろう。

おしまい。


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