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堕落は悪くない



もう今日は何もする気にならない。

誰にも会いたくなければ、何の情報も耳に入れたくない。

そんな自堕落な一日の中で僕を襲ってくるのは自己嫌悪だ。

「何の為に生きているんだ。そんな生き方をして何になると言うんだ。」

善良な人間の仮面を被った僕が、僕自身を責め立ててくる。

「このままじゃダメだ。」

そう思って「善良な僕」が自己嫌悪から抜け出した時

つまり彼にとっての「善良な生き方」を取り戻した時、次の標的は他者になる。

「お前、そんな生き方をして恥ずかしくないのか!何の為に生きているんだ。」

ただただ善く生きようとして掴んだ生き方の物差しが、いつしか人を傷つける剣に変わってしまった。
 

  「堕落は悪くない こころを守るんだ
   ……
   気分はいつも上がったり下がったり
   理想ばかりじゃ生きられないな
   帰ろう 帰ろう 帰ろう」
         (『気分』カネコアヤノ)

張りずきた弦はぷつんと切れ、緩すぎた弦は良い音が鳴らない。常にチューニングが大切なギターのように

時には堕落がこころを守ってくれる。

「あの人もきっと今日は疲れているんだよ。」

自堕落な一日が教えてくれた他者を受け入れる優しい心。

それが揺れ動く僕の心の帰る場所なんだと思います



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