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小説ですわよ第2部ですわよ

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#愛助

図解!これがマルチアヌスだ!!

https://note.com/modern_willet907/m/m4569c540eb38 ※↑の趣味小説にて描かれるマルチアヌスという設定を図にしました。

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※↑の続きです。  視界がホワイトアウトした中、石坂浩二のような語り口でマサヨの声が聞こえてくる。 「これから30分、あなたの目はあなたの体を離れ、この不思議な時間の中に入って行くのです」  ただただ純白があたり一面を覆い、声だけが聞こえてくる――普通の人間なら混乱して叫び出しそうなものだが、舞は落ち着いていた。この感覚は相撲の精霊が降臨するときと似ていたからだ。  どうもこれがマサヨの超常能力らしい。相手とビジョンを共有する、あるいは強制的にビジョンを提示するといったとこ

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※↑の続きです。  マサヨは黒服たちに、近くに駐車している車へ案内された。一見すると黒いリムジンだが、タイヤはなく車体が浮いている。マサヨの世界では、いわゆるエアカーと呼ばれ、よくある未来世界のイメージに登場するものだ。無数のエアカーが薄暗い都会の中を立体的に交差するような映像を、古い映画の中で観たような気がする。 「マサヨ、乗るナリ」  愛助が後部座席のドアをあけて先に乗りこみ、中から手招きをする。大人しく従い、腰を下ろした。クッションに背を預けたかったが、初対面、それ

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「あたしと、田代まさしの因子が近い? 名前が似てるだけでしょ。子供のころ、よくイジられたわ」 「田代マサヨ。その名を授かった時点で、君と田代まさしは繋がれているのだよ。名は人の運命を決定づける重要な因子だ。君が田代マサヨでなければ、名前をイジラられることもなかった。君も田代まさしを意識することなどなかった」  神沼は飴玉を転がす舌を止めた。頬に飴玉が当たり、ぷっくり膨らんで気持ち悪い。低く落ち着いた声から、真剣に語っているのは確からしい。表情は相変わらず人形みたいな笑顔だが。

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※↑の続きです。 「回路解放、安全装置解除……」  駆動音が強まると同時に、カーナビの案内音声が小さくなっていく。そんな中、マサヨの唾を飲みこむ音はハッキリと聞こえてくる。舞も手のひらにじわりと汗が浮かんでくるのがわかった。 「ターゲット・スコープ、表示。電影クロスゲージ、明度20……」  運転席正面のフロントガラスに、〇と十字を重ねたターゲット・スコープが映し出される。同時に車体前面へ展開していたミラーが、アームの誘導で両側面へと収まる。前方の視界が開けた。しかし目標は未