記憶の中の匂い

私は時々そこにない匂いの記憶が蘇る。
今日パソコンに向かっていると、焼けつくような太陽の光と濃い影の匂いがした。

すでに梅雨入りしてるし今日は雨。
何の記憶だろうと、ぼーっとしてるうちに思いだした。母が竹ざるに一粒づつ並べて干していた梅干しだ。

梅雨が明けた頃に数日かけ、干しては瓶に漬け戻すを繰り返しながら赤紫蘇色に染まっていく梅。

雨の見張りをしながら匂いを嗅ぐのが好きだった。匂いに誘われつまみ食いした紫蘇の葉が私の指を赤く染めた。

幸せな記憶。
しょっぱくって美味しかったな。
母の記憶の中には残っているのだろうか。
怖くて聞けない。

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