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志茂田景樹さん

少し前、志茂田景樹さんの新刊が出た。
"生きる力 83歳車いすからのメッセージ"という
タイトルだ。

景樹さんの本を読んだのは、これで3冊目。

景樹さんの文は、自然体で読みやすい。
心に響く言葉を、沢山書く人だと思う。
共感することも多い。

当初、要介護3で始まった介護サービス生活は、現在は、要介護4です。介護サービスの種類も増え、内容も濃くなっています。
もともとが楽観的で、成り行きまかせの性格でしたが、さすがにこのときは『思うように仕事ができなくなったなぁ』『徹夜なんかも平気だったのになぁ』『もう、あの頃には帰れないのかなぁ』と、ぼやいたことが何度かありました。

ところが、そんな気持ちを一瞬で断ち切ることができた日がありました。たまたまその日は、雲ひとつない晩秋の秋晴れで、家のなかからその風景を眺めているうちに気持ちが切り替わったのです。
『そっか、今の自分をそのまま受け入れればいいのか』『過去は過去、引きずったら邪魔になるだけだ』 そう思えると、『過去』に対しての自分の考え方が180度変わっていきました。『その過去からは、役に立つものだけをどんどん引き出していこう。そうすれば、大事にすべきは、まさに今このときなんだ』 そう思えるようになりました。
『元気いっぱいだったときと違って、今はとても小さな世界にいる。でも、その気になれば、たった今地球の裏側で起きたことの情報を知ることができる時代だ。その情報をもとに想像力と創造力をたくましく働かせていけば、でっかい世界になるじゃないか。自分がまだ見つけられないでいる鉱脈がいくらでもあるはずだ。それをひとつまたひとつと掘り起こして、小さな世界でも大きな世界に負けないよう膨らませていこう』

今を膨らましていく。そうすれば、今の自分を豊かに潤わせていくことも可能ではないか。そして、それは明日の自分を創ることになる。そういう考えに立つと、過去は今の自分を豊かに充実させるための宝庫になるんですね。
たとえ小さな世界でも、過去、現在、未来がスムーズにつながってくる。そのことから何が生まれるのか。その期待感が僕をワクワクさせるのです。どんな状態であっても、今の自分を素直に受け入れる。それこそが本当の原点だ、と今の僕は実感しています。

志茂田景樹『生きる力 83歳車いすからのメッセージ』、214〜216pより引用。



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