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アクティブラーニングのしんどさ

 保健室に行った子がしばらく休んで教室へ戻る際、小学校では何の授業をやっているかが、戻れる・戻れないに関わる。体育の場合は体調不良なら見学になるので、冬の極寒の運動場や体育館で見学するならば、体育が終わるまで延長して休むことがある。また、頭痛が取れないまま楽器を演奏する系の音楽はかなり辛いのでそれも休養を延長することがある。
 その他、図工は戻れる率が高い。道徳・英語はかなりしんどい。国語・算数・理科・社会については場合による。 
 
 なぜか。

 保健室に行って、ベッドで寝るほどではないが、座れても教室や授業は無理という子が結構いる。理由を聞くと、発表しないといけないし、教室の中をあっちこっち動かないといけないからと言う。

 これは、子ども達が、教室の、授業の、忙しないアクティブラーニングがしんどいと伝えているのではないかと思う。

 大人で言えば忙しい仕事の合間のちょっとしたコーヒータイム、ちょっとタバコを一服、のようなことなのではないだろうか。
 
 アクティブラーニングが出だした頃「廊下を歩いていて教師の声ばかり聞こえたら良くない授業。子ども達が活動する声が聞こえていないといけない。」というようなことを廊下を歩きながら当時の校長先生から聞いた。ざっくりしてる。
 今大体のアクティブだとされる授業は、教室の大型TVにタイマーを写し、出されたテーマについて隣の人や班で数分~十数分程度小刻みに話し合い、班で誰か一人がそれを全体に発表して交流する。さらにその後自分でも振り返りを書く。やりっぱなしの授業は良くないと言われるし、振り返りを書いた方が今日何を学んだか整理でき、教師の授業の改善にもなるので良いとはされるも、毎回毎回発表する上に書く方は負担である。道徳と英語は小学校ではかなりアクティブだ。
 
 これが6時間続くのは無理がある。元気な時は数時間は耐えうるも、疲れる。時間割にもバランスが必要だが、小学校でも教科担任制が進んでいく中、今後誰が1日のバランスを整えてくれるか心配だ。
 
 大人も毎回こんなグループワーク式の研修ばかりだと用事があっても抜けにくく、受講後は疲労感がある。さらにやや体調不良を抱えていたらどうか。腹痛で下痢しそうな気配があったり、喉が痛かったり、偏頭痛があったりすると、ボーッとしていたい。

 そういう時、講義型の一斉授業は気持ちが楽だ。良い先生の講義は知識のシャワーで、聞いているだけも勉強になるし、言葉がきれいだと聴き心地がよく、しんどかったのが元気になることすらある。また、時には聞き流しながら運動場で体育をしている気になる同級生を窓から見たりする時間もあって、そういう無駄な時間も含めてが学校生活ではないかと思う。

 高学年の図工で校舎の中を描く単元があり、それぞれが決めた場所に腰を下ろしてゆったりとデッサンをしていることがある。それをしている時の白い画用紙に向かう子達の穏やかで優しい表情が好きだ。創作活動に浸れる図工のようにゆったりした授業の割合が増えてほしい。

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