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フルタイム担任の流出

    令和5年末、私の知る職場でも例に漏れず教員不足だ。そこへ人事の面談時期になると、赤ちゃんを抱いた育休中の教員がこぞって学校へやってくる。
 皆、時短勤務を希望して担任を持たないポジションを得るために校長室に交渉に行くのだ。
    そこで「申し訳ないがこの学校の時短で担任外のポジションはもう空いていない、時短で良いが担任を持ってもらうことになる」などど言われたりして余計に憤慨することになる。

 この時期同じ話ばかり聞くことになり、正直うんざりしてきて、教員になりての頃のガッツはどこに行ったの・・・と腹立たしい気持ちもあるし、担任の時に人間らしい生活ができなかったことが原因であろうと考えると、悲しくなってくる。

 担任とは、学校現場の花形だと思う。その子の学校生活全般に責任を持つことは、苦しいことも多いが、年齢が若くとも家族を除いてその子の第1番の責任者としての存在そのものがやり甲斐でもある。学級という約30人もの子ども達を同時に教えるというのもそれ自体が専門性である。
 
 それなのに。
 育休から復帰する際、とにかく担任を持たないポジションを希望する人が多いこと。

 担任を持たないポジションとなると小学校では専科教員として急に専門性を問われ慌てたり、教務補佐として雑用係のようになることもある。それでも担任を持たないポジションは大人気で空きがなく、可能な限り担任を持たない年数が延びるよう画策するような状況もある。

 そして、今日学校は非常勤の教職員であふれている。
 週に数日の勤務の者、1日に数時間の勤務の者など、毎日は出勤しない教職員が半分以上を占める。子育て期に退職して非常勤で復職する現役の方は、
「私にはどうしてもできなかった」
「家族が犠牲になっているのが辛かった」「担任と家事育児が忙しすぎて自分が体調を崩し続けた」
「最初から長くは続けられないと思っていた」
などと聞くことが多い。そして、担任の時にどうしてもできなかった定時帰りより少しだけ早い自分の勤務終了時間に職場を出る。

 職員室では非常勤の教職員の机の場所が足りず、非常勤同士で机を兼用している。非常勤の教職員は時間的曜日的制約によって職員会議に出られず、校務分掌の役割は毎日いなくても務まるようなものになる。当然連携の取れなさからくる行き違いが起こる。現状では結局、常勤の教職員が非常勤教職員が出勤した際に必要な情報を必死で伝え回っているところがある。
 このままフルタイム担任の業務量削減や定時帰り(定時に帰れれば保育園のお迎えが可能なはず)が進まないと、非常勤や時短の担任が当たり前になっていくかもしれない。
 とはいえ小学校でも非常勤や時短教職員のような多様な働き方もあらねばいけない。
    非常勤や時短教職員にとってはもっと職場への所属感を高められるように、常勤教職員にとってはチーム学校として協同性を感じられるように、申し送りや打ち合わせの時間の確保ややり方が大事になってくる。

 皆が少しずつではあるが自分の担当する箇所に深い責任を感じ、己の持ち場をしっかり守る集団になっていかないといけない。

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